ブラウ・ドネルシュラーク & ミーシャ・グローリー

●雪降る聖夜に

 今日はクリスマス。
 楽しみにしていたデートの日。
「えーっと……どこか行きたいところはありますか?」
「そうですね、デパートとかどうでしょう」
 まだちょっぴり照れ気味な2人は、まずは緊張を解きほぐすためデパートに買い物へ。
 服に靴にアクセサリー、クリスマスということもあってか、店内はいつも以上に賑やかで、つい色々なものが欲しくなってしまう。けれど、あまり買いすぎてはデートの邪魔になってしまうので、程々に。
 でもそのぶん、レストランでのランチはちょっと豪勢に。
「このスープ、とっても美味しい……!」
「パンも、焼きたてでとても柔らかですよ」
 初めのうちはどこかぎこちなかった会話も、食事が進んでゆくうちに、徐々に自然なものになってきて、デザートがテーブルの上に運ばれる頃には、笑い声も聞こえるようになってきた。

 素敵なランチを心ゆくまで味わった後は、デパート内の映画館で映画鑑賞。
 感動的なストーリーに、ちょっぴり涙を浮かべる2人。けれど映画が終わればまた笑顔を取り戻し、感想を語り合ってもう一度感動。
「さてと、次はどこに行きましょうか?」
「あっ、それなら……」
 向かった先はショッピング街。あちらことらに幸せそうな恋人達がいるけれど、彼ら2人も今はすっかりお似合いのカップル。
 色々なお店を巡り、小物やアクセサリーを眺めたり、カフェでのんびりお茶したり、ゆっくり流れる楽しい時間。

 そしていつしか、空から雪が舞い落ちはじめ、イルミネーションが点灯し出す。
 2人の足は、美しく輝く大きなクリスマスツリーへと向いていた。
「「あのっ、これっ……!」」
 ツリーの下で、顔を見合わせ頬を赤らめ、そして同時に取り出した小箱。
 中身は、どちらも素敵なシルバーアクセ。
「メリークリスマス」
「ありがとう」
 照れ笑いを浮かべつつ、暫しその場で嬉しそうに言葉を交わせば、楽しかった今日の思い出が沢山沢山浮かんでくる。
 けれど。
 まだ、今日は終わりじゃない。

 素敵なデートの締めくくりは、豪華なレストランでのクリスマスディナー。
「それじゃ、行きましょうか」
「はい」
 肩を寄せ合って、イルミネーションに照らされた道を歩く2人。
 その笑い声は、小雪舞う夜空にとても楽しげに響いていた。




イラストレーター名:笹本ユーリ