相馬・都 & 燕糸・踊壺

●わたしがプレゼントやぁ♪

 クリスマスの夜。
「宅急便でーすっ!」
 都のところにとある荷物が届いた。
 差出人は、『秘密結社[蜘糸商会]』の踊壺からだった。
「な、なんだろう……?」
 都はまじまじと、送られて来た荷物を眺める。
 でかい。なんかとってもでかい。
 可愛らしいリボンもついている。
 首をかしげながら、都はそっとその荷物に近づいていった。

 どくんどくんどくん。
 踊壺は、心臓の音が都に聞こえていないかと、心配になった。
 真っ暗な『その場所』に、踊壺は息を潜めて隠れている。
 都はどう反応してくれるだろう?
 驚いてくれるだろうか?
 それとも………。
 考えるだけで、心臓の鼓動が早くなる。
 先ほどの宅急便の声で、都の家に着いたことは確か。
 後は……。
 ごくりと、踊壺は息を呑んだ。

 しゅるしゅると、リボンを解く。
 都は見るからに怪しげな荷物を見つめながら、緊張した面持ちで包装を解いていった。
 そして、箱を開けた、そのとき。
「メリークリスマスっ!!」
「はいっ!?」
 そんな掛け声と共に。
「みやこぉー♪」
 いつものドレス姿に、赤いリボンが巻きついている。
 そんな踊壺が荷物から飛び出し、都に抱きついた。
 都は倒れそうになりながらも、しっかりと踊壺を抱きとめる。
「え? 踊壺!?」
「ふふ、今年のプレゼントは、私や♪」
 囁くようにそう告げる踊壺の言葉に。
「踊壺が、プレゼント?」
 思わず、ぽわわんとしてはいけない妄想をしてしまう都。
 ぶんぶんと首を振って、その妄想を追い出してから。
「そ、そういうことなら……部屋でケーキでも食べて二人でぱーてぃしよう」
 その都の言葉に踊壺は嬉しそうに頷いた。

 都の頬はまだ、熱を帯びていたけれど。
 部屋の中で二人は幸せそうに、美味しいケーキを口に運ぶ。
 ちょっと驚いたけれども、楽しい時間は過ごせたようだ。
「けど、危ないから、もう荷物の中には入っちゃ駄目だよ?」
 その都の言葉に、踊壺は思わず苦笑を浮かべるのであった。




イラストレーター名:ほてやみつえ