ベルジャ・ネーヨ & リコリス・カラミンサ

●ずっと仲良しでいようね……

 とても素敵な森の中から、どこからともなく漂ってくる、鼻先をくすぐる甘い香り。
 その甘い香りの先にはベルジャとリコリスがいた。
 大きな石のテーブルの上に、大きなクリスマスケーキを真ん中に置いて、温かい紅茶の用意もされている。
 ふたりのクリスマスパーティーの会場は、緑豊かな森の中。
 二人とも満面の笑みで、今の幸せを噛みしめている。

 最初は切り分けて食べていたホールケーキだけれども、ちょっとした贅沢しようよ。と、ふたりは切らずにそのままホールケーキにフォークを刺して食べ出す。
「あー、そのイチゴはベルジャが狙っていたのです!」
「ほっぺにお弁当つけて、ベルジャ様ったらそそっかしいのです」
「は、はう!?」
 一番大きくて赤い苺にフォークを刺したリコリスに、食べようと思っていたのにと大きく指を指すベルジャだが、逆にリコリスに指を指されてしまう。
 どうやら頬に生クリームがついているらしいのだが、どこについているのかベルジャには分らず、掌で顔中をぺたぺた触ってみる。しかし自分ではうまくとれず、最終的にはリコリスがペーパーナフキンでそっと、ベルジャの頬をぬぐってやった。

「今年は、サンタさんがとっても素敵なプレゼントをくれたのです。大好きなお友達と過ごせるクリスマス、最高のプレゼントなのです♪」
「リコは今凄く幸せなのです」
 ベルジャがリコリスの手を取り、彼女の顔を真っ直ぐに見つめる。
 とても素敵なプレゼント。
 とても素敵なお友達。
 とても素敵な時間。
 そのどれもこれもは、相手がいてるからこそ輝くもの。
「ケーキも美味しいし、なにより大好きなベルジャ様と一緒なんだもん」
 ベルジャに答えるリコリス。
 どちらかがにっこりと笑うと、相手もにっこりと笑う。
 笑い合って、とても幸せな気分が広がる。
「これからもずっと仲良くしよーね、ベルジャ様」
「ずーっと、ずーっと、友達なのです、リコちん」
 つなぎ合った手と手。
 それがこれから先もずっと変わらない、友情の証。

 ずっとずっと。
 なかよしでいようね。




イラストレーター名:月岡ケル