琴月・ほのり & 黒瀬・和真

●Christmas party★いつものふたりで

 ながれる優雅な音楽。
 綺麗なドレスが音楽に合わせてふわりと裾が翻る。
 沢山の生徒達が、クリスマスパーティーこの会場に訪れて、普段よりもドレスアップして、好きな相手とダンスを踊っている。

 ドレスアップしたほのりと和真も会場に到着した。
 和真の知り合いが会釈をして通り過ぎていく中、ほのりは少し期待してしまう。
(「恋人って紹介してもらえるのかなぁ〜」)
 通り過ぎていく和真の知り合いと、和真を交互に見つめるほのり。
 公認になりたいというわけではないけれども、それでもやっぱり少しだけでも、恋人という自覚が欲しかったりする……。そんな乙女心。
(「和真はどう思っているのかなぁ〜?」)
 自分はそんな風に思っているけれども、和真は一体どんな風に考えているのだろうと、ほのりの視線は和真の横顔を捉える。
 いつもと変わらない整った顔立ちの和真がそこにいて、いつもと変わらないとは思うけれども、その彼の視線の先が別の女の子を捉え、見惚れている気がした。
 もちろんそれはほのりにとって面白くないこと。
 視線を和真から外すと同時に、ぷいっとそっぽを向く。
「ん? どうした?」
「どうもしないですよぉ〜だっ」
 そんなほのりに気がつかないはずはない和真は、彼女に声をかけるものの、素っ気なくどこか拗ねている風のほのりに、困った様な苦笑いを浮べる。
(「『また』はじまった……」)
 そんな事を思うと和真は、ほのりを安心させる様に頭を撫でて、華奢なその体を抱きしめる。
「ほのりだけだから、ね?」
「ん……私もですから…………」
 この瞬間。
 彼女の体温。
 彼の体温。
 息づかいに鼓動。その全てを感じて、安心する。
 この人こそが一番の恋人だと、何度でも何度でも改めて実感する。
 そんな一時。
 ほのりの耳元に和真は唇寄せて、愛を囁けば嬉しそうにほのりもそれに応える。

 クリスマスもいつものふたりと変わらず、甘い時間が流れていく。




イラストレーター名:熊虎たつみ