●スィート☆プレゼント
ホワイトクリスマスとなったこの日。
窓の外は白い雪が舞い散り、冷たい真冬の風が吹いているが。そんな外の様子など関係ないように、小さなキャンドルがほのかに灯るその部屋は、暖かくて明るくて。ふたつのクリスマスツリーと、ふたりの可愛いサンタクロースの姿があった。
ひとつめのツリーは、部屋をクリスマス色に彩る大きなツリー。
そしてもうひとつは、小さくてとても甘いツリー。
ふわふわの白いファーがついたサンタガールワンピにサンタケープを羽織った夢流は、緑のクリームで飾られたミニクリスマスツリー風のモンブランの端をすくって。
「はい、クラン。あーんなの……です」
もうひとりのサンタクロース・モーラットピュアのクランに、あーんとスプーンを差し出した。
『きゅぴ〜』
テーブルの上にちょこんと座って、差し出されたケーキを美味しそうにもきゅもきゅと頬張るクラン。
かぶっているサンタクロースの帽子を揺らしているそのもふもふな口元には、緑色の着色クリームが付いている。
そんな愛らしいクランの姿を微笑ましく見つめながら。夢流はふっと、口元に笑みを浮かべた。
「クランとクリスマスを一緒に過ごせて、夢流は幸せなの……ですよ」
口から自然と漏れるのは、今の素直な幸せな気持ち。
クランと一緒にこうやってお揃いのサンタクロースの格好をして、小さなツリーを模した美味しいクリスマスケーキを食べる。
そんなふたりだけの、聖夜の小さなクリスマスパーティー。
そして、ケーキを幸せそうに口いっぱいに含みながら、きゅぴっと無邪気に夢流を見上げていたクランが。
夢流の言葉に応えるかのように、しっぽの黒のリボンを揺らして、ふわりと浮き上がって。
そっと……夢流の頬に、柔らかいキスをしたのだった。
ふわふわであたたかい感触とともに、甘い香りが鼻をくすぐる。
モンブランクリーム付きの、スイートな口づけ。
夢流はそんなくすぐったいキスに思わず笑みを零して。
クランから貰ったとてもスイートなクリスマスプレゼントに、嬉しそうに瞳を細めた。
可愛いふたりのサンタクロースが、小さな小さな空間で過ごすのは。
大きな大きな……ふたりだけの、幸せなひととき。
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