乾・舞夢 & 信楽・六花

●クリスマスの始まりはのんびりと

 明日は恋人達の日。
 つまりクリスマス!
 だが、恋人のいない舞夢には、まったく関係の無い事。
 ただし、でばがめーず的には、関係ありあり。
 でばがめーずにとっても、クリスマスは特別な日。
 普段は奥手なカップルも、今日だけは大胆になる事が出来る。
 その分、でばがめーずにとっては、貴重なシーンを心のアルバムに収めるチャンス。
 そのチャンスを逃せば、でばがめーずにとって、充実した一日を送ったとは言い切れない。
 ある意味、今日しか拝む事が出来ないシーンが満載なのだから……。
 そのため、頭の中に浮かんだ地図には、でばがめポイントが細かく記され、バッチリとスケジュールまで組まれている。
 これで完璧っ!
 問題なしっ!!
 だが、これだけ困難なミッションを成功させるためには、きちんと身体を休ませておく必要があった。
 特に気合を入れて、でばがめしなければならないので、身体と心を休ませる事の出来るオアシス的な場所でないと駄目。
 その結果、六花の家が選ばれた。
 理由は……単純に『泊まりたい』から。
 一応、あれこれ理由を考えていたようだが、結論からすれば『泊まりたかった』だけ。
 そんなわけで、舞夢は半ば強引に六花の家に泊まり込んだ。  そして、あっという間に夜が開け、のんびり朝のティータイム。
 六花は軽く朝ごはんを済ませた後、ほんわかムードに包まれ、大きなソファに座って本を読んでいる。
 舞夢も六花の膝の上で同じように本を読み、のんびりだらだらムード。
 今日がクリスマスとは思えないほどのまったりとしていた。
 しばらく経った頃、舞夢がふと顔を上げる。
 何事かと思ったのか、六花も本を読む事を止めた。
「来年ものんびり楽しもうね〜」
 そう言って、舞夢が笑顔を浮かべる。
 そのため、六花も小さくこくんと頷き、『そうね』と答えを返すのだった。




イラストレーター名:山本 流