叢雲・識 & 葉桐・千季

●プレゼントはわ・た・し×2

 今日は年に一度のクリスマスイヴ。
 そして、恋人である千季とふたりっきりで過ごす、クリスマスパーティ。
 ……となれば、普通のプレゼントと、もうひとつ。
 用意しなければ、ならないモノがある。
 今日こそ、一度やってみたかった『アレ』を実行に移す時っ!
 そのためには、自分の着ている服を脱ぎ捨て、一糸纏わぬ姿になってから、大きなリボンを身体に巻きつけ、これで完成。
 そうしている間に千季がドアをノックしてきたので、彼女が部屋に入ってきた瞬間を見計らい、
「プレゼントはわ・た・し〜」
 と言い放つ。
「……って、あれ? 千季も同じ格好?」
 思わず識がきょとんとした。
 予想外の展開。
 特に示し合わせたつもりはないのだが、どうやら偶然に彼女と被ってしまったようである。
「う〜ん、考える事は一緒なんだね」
 そう言って苦笑いを浮かべる識。
「……ん? ああ、そうだな」
 千季も歯切れの悪い口調で答えた後、恥ずかしそうに顔を真っ赤にした。
(「あっ、恥ずかしがってる……。相変わらず、可愛いんだから……。こんな格好でそんな表情を浮かべるのは反則だよね。私……、我慢できないよ。まぁ、すぐに何かするって訳じゃないけど……」)
 ウットリとした表情を浮かべ、識が優しく彼女の頬を撫でる。
 そのせいで千季がビクンと身体を震わせた。
「今夜は二人で朝までラブラブだね」
 含みのある笑みを浮かべ、識が彼女の身体に指を這わす。
「そ、そんなつもりは……」
 千季が戸惑った表情を浮かべた。
「まさか、この状況で無いって言うの? こんな格好をして、まったく説得力がないわよ。私をその気にさせたんだから……」
 彼女の身体をぎゅっと抱きしめ、識が問答無用でキスをする。
「……今夜は寝かさないよ」
 そして、識は彼女の事を押し倒し、朝まで愛し合うのであった。




イラストレーター名:乱翠