ワトソン・ロマノフ & メル・アンセム

●◇・.。*†遭難雪見露天でお弁当†*。.・◇

 お弁当を届けに入った山道で、ワトソンとメルは何故か遭難!
 まさか、こんなに雪が積もっているなんて……!
「メルちゃんさぶいねぇえぇええぇぇ!! 寒いけどお弁当を届けるまでがんばろおお」
 吹き荒ぶ雪は視界を遮り、容赦なく体温を奪ってゆく。
「やばい道が分らないむしろ道が無い」
「パパどうしよぉ〜!」
「今の状況、迷子と遭難とロマン飛行のどれだろう?」
 ワトソンはかじかんだ手で地図を広げて見てみたが、それはよりによって世界地図。
「寒い寒いさむい! マッチ! マッチは要りませんか」
「パパ! パパしっかり!」
 プチパニック状態のワトソンの手を、メルがきゅっと握りしめる。
 あっちもこっちも白、しろ、シロ。既に方角すらも分からない。
 けれど、こんな所で死んでたまるか……!
 その強い思いが天に届いたのか何なのか、何と2人は気力で天然露天風呂を探し当てた。
「わーい!」
「メルちゃんやったーこれで寒さが凌げるぞ!!」
 氷点下の寒さも先程までの苦労も、すべて忘れて走り出す2人。
 早速水着に着替えると、大喜びで温泉へ飛び込んだ。

 ハイテンションにお湯をかけ合い、暫し2人で大はしゃぎ。
 そして、十分に身体が温まったところで、今度はゆっくりリラックス☆
 お誂え向きに、そこにはお弁当もある。
「おおー雪見露天、お弁当もおいしいしメルちゃんと一緒で俺幸せだな〜♪」
 包みを解き、早速ご飯をぱくつくワトソン。
「冷たいジュースがあったかい温泉に美味しい〜!」
 メルもまた、キンキンに冷えたオレンジジュースをグビグビ飲み、ちょっと火照りすぎた身体を冷やす。

 気が付けば、吹雪はすっかりおさまって、かわりにふわふわの綿雪が舞っていた。
「メルちゃん背中流してあげるYO」
「もう、パパッたらぁ☆」
 雪原に、ワトソンとメルの楽しそうな笑い声だけがこだまする。

 ちょっと大変な目に遭っちゃったけど、そのお陰で見つけることの出来た素敵な場所。
 もしかしたら、これは、サンタさんから2人へのプレゼントなのかもしれない。

 ………で。
 お弁当、届けないくていいんですか?




イラストレーター名:えいとも。