●クリスマスパーティにて
ヤドリギ探しに大奔走した、2008年のクリスマス。
無事にヤドリギの小枝を見つけ、両思いを確認しあった柚流とれいあは、その夜、夢見心地のままで学園主催のカフェパーティーに参加した。
片隅のテーブルで、ちょっと照れくさそうに寄り添う2人。
今までも、いつも2人一緒だったけど。
けれど、今までとはほんの少し違う関係。
変わらないのは、今までも、これからも、ずっと好きだという気持ち。
頬の熱も、高鳴る鼓動も、まだ全然おさまらない。
見つめ合えば、ヤドリギの下での記憶が色鮮やかに甦ってくる。
これって、本当に夢じゃないんだよね……?
柚流は、コッソリ自分の頬をつねってみた。
(「……痛っ」)
大丈夫、夢じゃない。
いま自分の目の前にいるのは、夢でも幻でも何でもない、正真正銘の愛しい人。
お皿の上には、ブッシュドノエルと苺ショート。
ちょっと恥ずかしいけれど、せっかく恋人同士になれたんだし……いいよね?
「はい、れいあちゃん」
「あっ……ありがとう♪」
柚流はフォークで苺ショートを一匙掬い、そっとれいあの口元へ。
それは、今まで食べたどんなケーキよりも美味しくて、心の奥までとろけてしまいそう。
「それじゃあ、今度は……柚くん」
「う、うんっ……」
れいあもブッシュドノエルを一匙掬い、柚流に甘いお返しを。
まだちょっと慣れない名前呼びだけれど、きっとそのうち慣れてくる。
そのうち、自然に感じるようになる。
そうなれたら、嬉しいね。
ヤドリギの下で想いを伝え合ってから、まだほんの数時間。
胸に溢れる「大好き」は、まだまだ止まりそうにない。
「柚くん、ずっとずっと一緒にいようね。大好きだよ」
心からの笑みを浮かべ、れいあが幸せを言葉にする。
「うん。これからもれいあちゃんとの想い出、沢山作っていきたいな……☆」
多分今夜は、緊張と興奮で眠れない。
柚流はそんな確信を持ちながらも、れいあの笑顔にこの上ない喜びと幸せを感じていた。
これからも、ずっとずっと一緒に。
素敵な楽しい想い出を、抱えきれないほどつくろうね……♪
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