●妄想が暴走?!〜聖夜の2人〜
二人で過ごす初めてのクリスマス。
お泊りは初めてでは無いものの、期待と不安てげ胸がドキドキ。
うまく表現する事が出来ないが、普段とは違う何かがありそうな予感。
ありったけの勇気を振り絞り、綾が扉をコンコンとノックした。
そして、綾は都和子に招き入れられ、一通りおしゃべりを楽しんだ後、いよいよお楽しみ……。
「電気、そろそろ消すわね」
都和子の言葉に、綾が胸をドキリとさせる。
「……え? 姉様、お布団は……」
目の前にあるのは、一枚の布団。
もう一枚の布団は……、どこにも見当たらない。
「一緒じゃ、嫌?」
都和子の言葉に、綾が再び胸をドキリとさせる。
もちろん……、断る理由はない。
明かりの消えた部屋で、寝巻きを脱ぐ音だけが響く。
上着を脱がされた状態で、綾が恥じらいの表情を浮かべる。
それでも、都和子は躊躇う事なく、彼女の下着に手を伸ばした。
「寒くない?」
共に裸で布団に入り、毛布に身体を包ませる。
……寒くないといったら、嘘になる。
次第に密着していく、ふたりの身体。
「はい、あの……や、優しくして下さいね?」
小さくコクンと頷き、綾が潤んだ視線を彼女に送る。
都和子は何も答えず不敵な笑みで返し、彼女に優しくキスをした。
やがて、ふたりは……。
「それでそれで、あーんな事や、こーんな事や、いや〜ん! そーんな事まで?!」
妄想全開で頭に浮かんだ事を口にしながら、綾が両手で真っ赤に染まった頬を押さえて悶絶した。
彼女の頭の中では行くところまで言ってしまっているが、そこまで口にするのはさすがに恥ずかしいようである。
「はぁ……、またこの子は……彩ちゃ〜ん、そろそろ戻ってきてくれないかしらねー?」
こめかみをピクピクさせながら、都和子がニッコリとした表情を浮かべてハリセンを振り上げた。
次の瞬間、軽快な音が辺りに響き、綾が情けない悲鳴を上げて、ようやく現実世界へと戻ってくる。
だが、まったくあり得ない妄想ともいえない。
クリスマスの夜は、まだこれからなのだから……。
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