御劔・学 & 竜胆路・絣

●HollyPanicParty

「頼むっ! これに着替えてくれっ!!」
 畳に頭を擦り付ける勢いで、学が深々と土下座をする。
 学は以前プレゼントした洋服を着てもらうため、何度も彼女に頼み込んでいた。
「……仕方がありませんね」
 最初は絣も渋っていたが、あまりにも学が必死だったため、とうとう断る事が出来なくなってしまったらしく、覚悟を決めた様子で着替え始める。
 その間、学がじーっと見ていたため、恥ずかしい気持ちとでいっぱいになった。
 だからと言って、ここで着替える事を止めるわけにもいかないので、恥ずかしい気持ちを顔には出さないように心掛け、学ぶからプレゼントされた洋服に着替える。
「は、恥ずかしいですから……あまりじっと見つめないでくださいませ……」
 いつも和服姿でいるため、脚を露出する事に慣れておらず、絣が着替えた後も足元がおぼつか無い様子でモジモジとし始めた。
「おおっ、いい眺めだね〜♪」
 ひらひらと揺れるスカートから見える、お尻を凝視するように眺め、学が幸せそうに溜息を漏らす。
 頑張って頼み込んだ甲斐もあってか、学は例えようの無いほど、心の中が充実感に満たされていた。
「ひゃ……っ!? な、何をなさってるんですの!!」
 スカートを覗かれている事に気づき、絣が両手でスカートの前後を押さえ、恥ずかしそうに顔を真っ赤にする。
 しかし、学の瞳には彼女の艶姿がしっかりと焼き付いていたため、いまさら何をやっても手遅れだった。
「まぁあれだ、絣……好きだぞ」
 後ろからそっと絣を抱きしめ、学が優しく愛を囁きかける。
 あまりに不意をつかれたので、絣も驚いていたが、抱きしめられた事で、だんだん落ち着いてきた。
「私も……、同じ気持ちですわ」
 彼の気持ちに応えるため、絣がゆっくりと目を閉じる。
 そして、ふたりは口付けを交わし、お互いの気持ちを確かめ合うのであった。




イラストレーター名:はろ