●今明かす愛と想い
零名はクリスマスの夜に紅夜を誘って遊びに行き、ふたりで公園のイルミネーションを見に行った。
公園のイルミネーションはとても美しく、宝石の如くキラキラと輝いている。
紅夜は公園のイルミネーションが綺麗だと思ったが、それ以上に零名がいつもより綺麗に見えた。
それが雰囲気のせいなのか、紅夜が彼女を好きなせいなのか分からないが、いつも以上に彼女を愛しく感じている。
「そろそろ帰ろうか」
紅夜の言葉に零名がビクッと身体を震わせた。
そして、潤んだ瞳で紅夜を見つめ、彼の服をギュッと掴む。
それがキッカケとなって、紅夜への想いが抑えきれなくなり、零名は彼に対して愛の告白をした。
例え告白したとしても、彼を困らせるだけだと分かっていたので、心の奥底に封印していた言葉。
それを口にする事が、どれだけ重いものなのか、分かっていたからこそ、今まで口にする事が出来なかった。
(「……言うべきではなかったのかも知れない」)
(「こんな事を言ったら、彼にとって重荷になるだけなのに……」)
……そんな不安が脳裏を過ぎる……。
だが、紅夜はそんな彼女の不安を振り払うかのように、迷わず好きだと応えてくれた。
その言葉を聞いた途端、涙が溢れ出しそうなほど嬉しい気持ちに包まれ、彼への愛がより一層強くなる。
零名は瞳に浮かんだ涙を拭い、ゆっくりと紅夜はに身を寄せた。
紅夜は彼女の身体を抱きしめ、あやすようにして優しく髪を撫でる。
彼女にはそれが少し可笑しく、不器用なところもあるが、とても優しいところが紅夜らしかったので、思わず彼に……キスをした。
思いがけない行動に驚く、紅夜。
今日がクリスマスだからかも知れないが、彼女には驚かされてばかりであった。
紅夜はそんな彼女を好きになれて良かったと素直に思い、零名は信じられないほど積極的だった自分が少し恥ずかしいと思いつつ、それ以上に彼に対する愛しさと、幸福感で満たされていた。
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