●はじめてのクリスマス
初めて一緒に過ごすクリスマス。
とても嬉しいのに、何故だか照れてしまう。
何度も何度も隣にいる相手の事を確認しては、嬉しくなってしまう。
商店街もそんなカップルを羨むように、あちこちに散りばめたイルミネーションがキラキラと光り輝く。
歩き慣れた商店街のはずなのに、今日はまるで別の街みたいで、新とイローナは並んで歩きながら顔を見合わせた。
商店街を楽しんだ後は、この先にある大きなクリスマスツリーのところまで、歩いていく。
ツリーはイルミネーションで飾り付けられて、とても幻想的な輝きを放っている。
なんとなく照れくささが抜けないふたり。
「……クリスマスプレゼントだ。受け取ってほしい」
「あ、あの……! これクリスマスプレゼント、なんです」
照れくささからか、それとも相手の喜ぶ顔をもっと見たいからか、ふたりが同時に相手へとプレゼントを差し出した。
それに照れくささも抜け、思わず顔を見合わせて笑ってしまう。
「故郷ではブーツは健康のお守りなんですよ、……貴方がいつも無事で私の元に戻りますように」
貴方の無事と行く先に幸運の風を。と、浪漫を愛する故の無茶もするから、せめてこれぐらいはいいだろうと、イローナが新に風とブーツを模ったお守りを手渡す。
それに新からも可愛らしい包みをイローナに手渡すと、すぐに彼女がリボンを解こうとするから慌てて止める。
「今はまだ開けるなよ? こんなところで更に可愛くなったイローナを見せるのはもったいない!」
中に入ってるのは彼女の専用の、ネコミミ耳当て。それをつけて可愛らしくなった彼女を他の誰かに見せるのはしゃくだから、できれば自分の前だけで付けて欲しいなんていう男心。
それでもやっぱり可愛らしいイローナ。
たまらず新は彼女の体を抱き寄せる。
「……貴方とこれからもずっと一緒に居させてもらっても?」
「もちろんだ……これからもずっと……ずっと一緒に居てくれ」
「……うれしい、です」
「イローナ……大好きだ」
「ありがとう、大好きですよ新さん…」
新が抱き寄せると、そのまま彼の腕の中に収まったイローナが見上げる。
何を否定する事がある。
想いは同じで、それは新自身も彼女に伝えたい言葉。
でも、言葉で伝えきれなくて。その想いは体を寄せて、口づけに乗せた。
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