九十九守・大樹 & 彩家・彩

●Merry&Merry!

 漆黒の空からは絶えずふわふわと白い雪が舞い落ち、世界を白に染めて。
 クリスマスを、ホワイトクリスマスへと変えた。
 そんな、聖なる雪の日の夜。
 降り積もった純白の雪と夜空に映えるイルミネーションが、キラキラと輝く中で。
 雪の中、始終彩に手を引っ張られている大樹。
(「つか寒ィィィィィ! こんな日はおこたでぬくぬく……あ、ダメ? そうですかダメですか」)
 どうやら炬燵でぬくぬくはさせてもらえないらしいが。
 今から、かまくらを作るらしい。決して幕府ではなく、普通の雪で作るやつである。
 大樹は彩とともに雪を盛っていきながらも、今年の思い出をふと振り返る。
 無人島に遊びに行ったりもしたし、色々あって楽しかったなぁ、と。
 彩もはしゃぐように笑顔を零し、雪を重ねて。大樹と一緒のこのひとときを思い切り楽しんでいた。
 大樹は大好きな先輩で。何だか一緒にいると、楽しい。
 そんな大好きな先輩と一緒に過ごすクリスマスを。彩は、楽しみにしていたのである。

 そして人がふたりほど入れるくらいの、小さなかまくらが完成する。
 彩は再び大樹の手を引き、中へと入って。
「さむい〜さむいよ〜」
 そう言いながら彼にくっつく。
 そのふたりが触れ合う感触に、何気にスーパーシャイボーイである大樹は頬を赤に染めつつ。
 彼女と談笑し、餅を焼き始めた。
 先程までの外の寒さが嘘のように、かまくらの中はほんのりと暖かい。
 彩と楽しく餅を食べたり、お喋りしたりしながら。
 彩クンと居ると楽しいねぇ〜、と。そう大樹は、改めて思う。
 しっとりとした雰囲気のクリスマスも良いけれど。
 こうやってはしゃいで過ごすクリスマスも……なかなか良いものである。

 ふたりはいろいろと今年の思い出をたくさん語り合って。
「来年はもっと楽しい一年にしようぜィ!」
 彩クンと一緒ならなりますよって、なんつって。
 大樹は少し照れたように笑みを宿してから。
(「まあ来年はもっと色々頑張ろう、うん、色々」)
 無邪気に餅をびよーんと伸ばしている彩に瞳を細めつつ、密かにそう心に思うのであった。

 子供の頃に戻ったかのようにはしゃいで。
 雪と戯れあい、たくさん目一杯遊んだ、彩と大樹。
 純白の雪が静かに降り積もる聖夜に響くのは――そんなふたりの、楽しそうな笑い声。




イラストレーター名:たぢまよしかづ