●きらきら宝石箱の夜
クリスマスの夜。
ヴァンパイアとカイトは仲良く手を繋ぎ、夜の街を歩いていた。
「カイトさん、みてください。あっちもすごいです」
興奮した様子でイルミネーションを指さし、ヴァンパイアが満面の笑みを浮かべる。
キラキラと光るイルミネーションは、夜空の星々に負けないくらいの輝きを放ち、ヴァンパイア達の心を虜にした。
「おー! 流石クリスマス! イルミネーションすごいな」
嬉しそうな妹分(ヴァンパイア)を見て、カイトも上機嫌な様子でニコニコと笑う。
「楽しいか? ヴァンプ?」
満足げな表情を浮かべ、カイトが彼女に問いかける。
「はい! 宝石箱の中にはいったら、こんなかんじかなって!」
幸せいっぱいの表情を浮かべ、ヴァンパイアが答えを返す。
「そっか。んじゃ、ヴァンプはさしずめ……、ダイヤモンドってところか?」
『にししっ』と笑い声を響かせ、カイトが冗談混じりに呟いた。
「もう、カイトさんったらうまいんだから……! でも……えへへ、嬉しいです」
恥ずかしそうに頬を染め、ヴァンパイアが『てへっ』と笑う。
溢れる光に包まれて、今だけは二人の世界。
「さすがに寒いなー」
カイトの言葉を聞いて、ヴァンパイアはふと、抱えていた小包みを視線を送る。
なかなかタイミングが掴めず、渡す事の出来なかったプレゼント。
ここで渡さなければ、次のチャンスはない。
「ええと、カイトさん……これ、プレゼントです!」
そんな危機感を覚えながら、ヴァンパイアがプレゼントを渡す。
「うわーなんだ!? ありがとな!」
あまりにも唐突だったので、カイトが驚いた様子で包みを開ける。
そこに入っていたのは、手編みのマフラー。
「あんまりうまくないですがっ……」
そう言ってヴァンパイアが頬を染め、恥ずかしそうに顔を俯かせた。
「いやいや! すげーあったかい!」
マフラーをぐるりと首に巻き、カイトが嬉しそうにニコリと微笑んだ。
「えへへ、よかった!」
その言葉を聞いて、ヴァンパイアもホッとした表情を浮かべる。
「さあ、もっと見ようぜ!」
満面の笑みを浮かべながら、カイトがヴァンパイアの手を引いた。
「ですね! いっぱい楽しまないと」
そう答えてヴァンパイアも歩き出し、何かを思い出した様子で顔を見合わせる。
『メリークリスマス!』
そして、ふたりはイルミネーションに負けないくらいの笑顔を浮かべ、夜の街へと消えていった。
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