●コタツでクリスマス〜
外でイルミネーションを見ることも素敵かもしれないけれども、今日は一緒にずっといたいから、二人だけのパーティーを開く。
キッチンでは嬉しそうに料理を作っていた零が、張り切って沢山作ってしまったが、食べきれるだろうかと、作ったものを見て首をかしげている。
牡丹はといえば料理を零に任せ、コタツで料理が出来上がるのを今か今かと楽しみに待っていた。
沢山の料理がコタツに並べられていく。
どれだけ普段と変わらなくても、今日はやっぱり特別。
牡丹はこの日のために準備した色っぽいミニスカサンタ服に身を包み、やってきた零にしな垂れかかる。
色っぽい牡丹の仕草に、思わずどきりとしてうろたえてしまう零に、牡丹が楽しげににっこりと笑って見上げる。
「メリークリスマ〜ス♪ 零ちゃん、似合うかしら?」
牡丹はぎゅっと抱きついて、悩ましげに首を傾げる。
それに何か答えようとは思うが、零の口はパクパクするだけでなかなか言葉が出てこない。すると牡丹は、意味深に零を見上げる。
「プレゼントはわ・た・し……」
その一言に耳まで真っ赤になってしまう零に、牡丹はクスリと笑って用意しておいたプレゼントを取りだした。
「って冗談よ、本物はこっちです。大切にして下さいね」
綺麗にラッピングされた包みの中は、去年の愛の告白の他、容量一杯に愛の言葉の詰まった携帯音楽プレーヤー。これを聞いた零は驚いて耳まで真っ赤になるかもしれないけど、きっと幸せそうな笑みを浮かべるのだろう。
「ぼ、牡丹……さん!」
そんな牡丹の顔を零は覗き込んだ。
今日と、決めていたのだ。
この記念日にキスをしようと心に決めていた。
だから、ゆっくりと彼女の顔に、自分の顔を近づけていく。
それを感じ取って、牡丹は瞳を閉じると、少しだけ顎を上げた。
軽く触れるように重なる唇。それはすぐに離れてしまう。
「さ、さて、残りのご飯も食べちゃいましょうっ!」
照れているのを隠すように、何事もなかったかのように食事に戻ろうとする零の頭を、牡丹が掴んだ。
零の軽いキスでは納得できないから。
「貰った物は返さないといけませんね」
その言葉の後すぐに、零の唇は牡丹の唇によってふさがれる。
今はキスだけで、こんなにも幸せを感じてしまう。
だから、お姉さんが大人のキスを教えてあげる。そう意味ありげに唇を重ねたまま、牡丹は自分の唇を薄く開けた。
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