●私達の歌を聴けぇー♪
「一人身なんだし、どうせ暇でしょう? クリスマスはぱーっといくわよ!! いいわね?」
「がってんだぁー♪ ボクね、りっきーと一緒にやってみたかったことがあるんだ!」
「やってみたかったこと、それは何?」
「それはね…」
力からの誘い、それに奈菜が応える。
それぞれに考えている事があるのか、ふたりともとても楽しそう。
こそこそと耳元で囁き会うと、大きな声で笑う。
だって同じ事を考えていたから。
奈菜と力は顔を見合わせて笑い合う。
ジャジャガジャーン♪
二人いっしょなら無敵。
奈菜のギターが鳴り響く。
「私達の歌を聴けぇえー♪」
サンタ服の様なゴシックスタイルで奈菜と力が元気よくステージに登場。「二人で奏でるクリスマスソング〜2008〜」と題した二人のステージが始まる。
一緒にいるととても楽しくて。
毎日がとても楽しくて。
時間は本当にあっというまに過ぎてしまって、気がつけばもう3年生。
今後どうするかなんて、どうなるかなんて、全く分らない。
楽しくて嬉しい時間はこれからもずっと続くのだろうか。
何かが変わってしまいそうな不安に時折悩まされる。
だけど、今までがあって、今がある。
うん。だからね。
奈菜と力が顔を見合わせて笑い合う。
これからも二人で一緒に、楽しい事、嬉しい事を作っていけばいい。
それは明日に、そして未来に続くことが分ったから。
もう不安じゃない。
これからも一緒。
同じ気持ちの再確認。
今を精一杯、賑やかに楽しんでいこうと、派手にギターをかき鳴らして、声を上げる。
「ボクはいつでもりっきーのそばにいるからね♪」
「奈菜、私もよ。どんなときでも、ね」
演奏が終われば、二人はステージで腕を組む二人の笑顔は、最高。
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