ケイシス・ソニックス & 天空寺・愛

●ケイシスの頼みごと

「ねえねえ、愛さん。僕にケーキを食べせてくれませんか?」
 愛と向かい合いながら、ケイシスが彼女に頼み事をする。
「い、いきなり、何を……。まぁ、断る理由も……ないのだが……」
 その言葉を聞いて愛はひどく動揺したが、今日がクリスマスという事もあって、断る事が出来なかった。
「お、お前がどうしてもと言うから……、仕方なくやってるんだからな!? べ、別に私がしたい訳ではないからな!? ……ほら……あーん……」
 照れて顔を真っ赤にしながら、愛がケーキを一口サイズに切り、目線をそらして食べさせる。
「あーん……」
 ケイシスは幸せそうな表情を浮かべ、そのケーキを美味しそうにパクついた。
「全く、こんな恥ずかしい事をさせおって…今日が特別な日でなければ断ってるところだぞ?」
 未だに顔を真っ赤しながら、愛が照れ隠しでぶつぶつと愚痴を言う。
「まったく素直じゃないんですね。せっかくのクリスマスだったんだから、これくらいの事をしても罰は当たらないでしょう」
 とても嬉しそうな表情を浮かべ、ケイシスか愛の愚痴に答えを返す。
 そのため、愛もいままでイライラとしていた自分が、とても馬鹿らしく思えてきた。
「その、だな……こんな私と……一緒に居てくれて……あ、ありがとう……」
 再びケイシスと向かい合い、愛が耳まで真っ赤にしながら、少しだけ自分に素直になる。
「僕が愛さんといっしょにいるのは当然のことですよ。だって僕は愛さんの彼氏なんだからさ。でも愛さんがそういってくれるのはうれしいですね。ありがとう。愛さん」
 さすがにケイシスも恥ずかしくなって頬を染め、愛の告白に迷う事なく笑顔で答えた。
「あ、当たり前だろ。わ、私達は……恋人同士なんだからな」
 恥ずかしさを通り越して、何が何だか分からなくなり、愛が自分の気持ちを誤魔化すようにしてそっぽを向く。
 だが、自分が口にした言葉を思い出し、まるでヤカンが沸騰したように顔を真っ赤にした。




イラストレーター名:あにゅ