レムフェーナ・ロセルニア & 桜庭・龍一

●Happy Merry Merry X'mas

 イルミネーションに彩られた夜の街中をデートする、ふたり。
 今日は初めて2人一緒に過ごすクリスマス。
 年に一度しかない特別な日だからこそ、レムは思い出で埋め尽くそうと思った。
(「龍ちゃんをデートに誘ってみたまでは良かったものの……。そういえば、何も考えずに誘ってしまったので、どこに行くのか考えていませんでした……。だからと言って、このまま黙っているわけにも行かないし……。うーん、どこに行きましょうか?」)
 仲良く龍一を手を繋ぎながら、レムが頭の中でオススメスポットをピックアップする。
 いくつか候補はあるのだが、クリスマス当日に予約もなしに行って、入る事が出来るほど、人気の無いスポットが存在していない。
 だからと言って穴場スポットを知っているわけでもないので、こちらも却下。
 レムは行き先も決まらぬまま、龍一と夜の街を歩いていく。
(「……たまには、こうやってふたりで過ごすのも悪くないかもしれないな。少々、照れ臭いところもあるが……。まあ、年に1度のクリスマスだ。レムのしたい事にくらい、付き合ってやろうか……」)
 彼女の右手をギュッと握り締め、龍一が優しく微笑みかける。
 いつもならば龍一がリードして、あちこちに出掛けているところだが、今日は彼女の考えを優先して、付き添う様な形でついていこうと思った。
 そのため、龍一からはあまり意見せず、何か誘われたら、一緒に楽しむ方向性で考えを纏める。
 その間もレムは心当たりのあるデートスポットを頭の中で検索し、当日でも楽しむ事の出来る場所を探していく。
「せっかくだから……、何か思い出になりそうなものでも買ってやろう……」
 ゆっくりと辺りを見回しながら、龍一が彼女を連れて歩き出す。
 本音を言えば照れ臭い気持ちもあるのだが、初めてふたりで過ごした大切な日なので、記念になるものを買っておいた方がいいと思ったようである。
「はわっ、ありがとうございます!早くいきましょう?」
 その途端、レムの表情が明るくなり、嬉しくて思わず龍一の手を引っ張り、さっそく店を回り始めた。




イラストレーター名:かりん