緋竜・大河 & シュヴァン・シュバルツヴァルト

●貴方の腕の中…冬のぬくもり。

 クリスマスに二人で待ち合わせ。
 実はこれで2度目のデートになる。
「やっぱり……動きにくいな」
 ぽつりと呟くようにシュヴァンは、俯く。
 本当は嫌いなスカート。でも、今日は女の子らしい格好をして驚かせてみようかと思って、この服を選んだ。
 そして、やってきた大河は、ちょっと驚きながらも。
「似合ってるぜ! 女の子っぽいな!」
 その望んでいた言葉にシュヴァンは、嬉しそうに頬を染めた。

 白い雪とイルミネーションに彩られた町並み。
「すっげー綺麗だな!」
「うん、やぱり綺麗」
 大河はシュヴァンを手を引いて、次の場所へと急ぐ。
「ちょっと、早いって大河ー」
 どうやら、シュヴァンの声は届いていないらしい。
「少し待って……うわっ……」
 案の定、スカートに慣れていないシュヴァンの足がもつれて、前のめりに……。

 ………あれ?

 痛みも衝撃もなかった。
 あるのは、抱きとめられた暖かいぬくもり。
「おっ……とと。だ、大丈夫か? シュヴァン!」
 その大河の言葉にこくりと頷いて。
「……あったかいね。……大河、もう少しこのままでもいいかな?」
 改めてシュヴァンは、ぎゅっと大河を抱きしめる。
「ん、ああ……ちょっとなら、な……」
 強がりながらも、視線を逸らして照れている大河。しかし、その手は優しく抱きとめていた。

 冷え込む冬に彼のぬくもりを感じて、シュヴァンは微笑み。
 大河も恥ずかしさを感じながらも、たまにはこんなのもいいかなと思っていたり。
 きらきらと輝くイルミネーションの側で、二人の影が重なった。




イラストレーター名:TOMOMING