●鎌倉でかまくらを作ろう
「去年は雪だるまを作ったから、今年はかまくらに挑戦なんだぜ!!」
スコップをブンブンと振り回すほどの勢いで、愚焔が彼女と一緒にせっせと雪を掻き集める。
雪だるまと違って、かまくらを作るためには、大量の雪が必要であったが、ふたりで協力し合って集めたおかげで、思ったよりも早く終わった。
「やっぱり、ふたりでやると早いね。後はこれに水をかけて、終わりかな?」
山のように積まれた雪を眺め、小道が少しずつ水をかけて固めていく。
水が掛かった部分の雪は見違えるほど硬くなり、軽く触っただけでは崩れないほどの強度になった。
「いや、まだだ。しっかりと外を固めておかないと、すぐに壊れてしまう」
丹念に表面の雪を確認しながら、愚焔がかまくらを軽く叩いて強度を試す。
ここでの作業をほんの少しでも怠ると、一瞬にしてかまくらが崩れ落ちてしまうため、チェックミスがないか念入りに調べた。
「あっ、そうか。さすがに生き埋めは遠慮したいものね」
苦笑いを浮かべ、小道が納得した表情を浮かべる。
その間に愚焔が雪のチェックを終え、小道と一緒になって内側を慎重にくりぬき、ついにかまくらを完成された。
「それじゃ、早速なんか食おうぜ」
安全性を確かめるため、愚焔が先にかまくらの中に入り、ようやく彼女を招き入れる。
「それなら、持ってきた紅茶と、手作りクッキーを食べるのー♪」
満面の笑みを浮かべながら、小道がクッキーの入った包みを渡す。
「……ちゃんと美味しく出来てる、と思うけど……」
その途端に小道が自信のなさそうな表情を浮かべる。
料理はそこそこ得意だが、お菓子作りは正直苦手。
「……ん? そうか? 結構、美味いぞ、これ。ぜんざいも出来たから、こっちもどうだ?」
小道が作ったクッキーを齧り、愚焔がぜんざいの入った器を渡す。
そのぜんざいには焼いたばかりの餅が入っており、美味しそうな匂いと共に真っ白な湯気が上がっていた。
「こんな感じに来年も二人三脚でいきてーな」
しみじみとした表情を浮かべ、愚焔が餅をぱくっと食べる。
「うん、今年もこうやって2人で一緒に何かをできるって嬉しいな……。来年もまた、一緒に何かを成し遂げようね☆ 愚焔大好き!」
そう言って小道が勢いよく愚焔に抱きついた。
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