柊・裕也 & 柊・華蓮

●プレゼントはお互いに2つ

 雪がひらひらと舞い落ちるクリスマスの夜、待ち合わせ場所で緊張した面持ちで裕也は恋人を待っていた。
 いつも恋人と会う時とは違う、大切な告白をしようとする緊張と決心が、彼の気持ちをいっそう引き締める。
「ごめんなさい、待った?」
「いや、俺も来た所だ」
 時間ちょうどに来た華蓮の姿を見ていると自然と笑みがこぼれる。それは彼女も同じだった。
「メリークリスマス! ……それでね、クリスマスプレゼントがあるの」
 裕也に渡されたのは手編みのマフラーだった。
「なあ、華蓮。このマフラー少し長くないか? どう巻くんだ?」
 普通より長いマフラーを戸惑ったように見る裕也に、華蓮はマフラーを巻いてあげる。
「ほら……こうするとあったかい、よ」
 マフラーで二人をくるりと巻く。自然と距離が近くなりお互いの熱が伝わり暖かい。
「後……プレゼント、もう一つあるの。」
 きちんとラッピングされた箱の中には、銀の時計が光っていた。
「華蓮、ありがとうな。大切に使わせてもらうぜ。」
 早速腕にはめる裕也。自分が思っている以上に似合っていて……よかったと華蓮は小さく笑みを浮かべる。
「華蓮、実は俺も渡したいプレゼントが2つあるんだ。」
 そういって裕也が取り出したのは小さな箱。胸を高鳴らせながら開いた華蓮の目に映ったのは金剛石がはめられたぴったりのサイズの指輪。内側には『柊・裕也より柊・華蓮へ愛を込めて』と刻まれていた。
「うん……ありがとう」
 言いたいことはたくさんあるのに、言葉が胸に詰まって出てこない。
「もう一つのプレゼントなんだけど……これからも、ずっと俺と同じ景色を見続けてくれないか?」
 黙りこんだ華蓮に必死に言葉をつむぐ。その告白に華蓮は目を潤ませる。
「私はずっと裕也と同じ景色を見ていたいって思ってる。今までも……これからも……」
 指輪を左の薬指にはめて婚約者に見せる華蓮。思わず華蓮を抱き寄せる裕也。上目遣いに自分を見る婚約者のことが愛しくてたまらなくて……。
 二人の顔がそのまま近づき、長い、長いキスをする。
 将来を誓った二人を祝福するように、小さな雪の結晶が、キラキラと舞い踊る。

 舞い散る雪が解けるほど熱々の二人は、そのまま町へ出かけていった。




イラストレーター名:Ism