●こんなふたりのクリスマス
今年のクリスマスは、ふたり一緒。
去年も一緒だったけれど、それは、ただの友達として。
けれど今年は、ちょっと違う。
だって、今のふたりは恋人同士だから。
だから今年はふたりっきりで、ふたりのためだけのパーティーをしよう。
咲夜のマンションのキッチンで、ふたりお揃いのエプロンをつけて。
ふたりで料理とケーキを作ろう。
「───こんな状況で、押し倒したりしない紳士な私を褒めて欲しいものです」
チキンにスパイスを振りかけながら、咲夜がちょっと冗談めかして言ってみる。
「………咲夜、まだ、14歳……だから、ね?」
クスッと笑ってそれをかわし、ケーキにクリームを絞る世寿。
そんな他愛のない会話さえ、ほっこり幸せを感じられる。
料理とケーキ、パーティーを始めるためには両方揃っていなくっちゃ。
ブッシュ・ド・ノエルは、比較的簡単に作れるらしいけれど、最近お菓子作りを覚えたばかりの咲夜には、それでもちょっと難しいかも。
料理は人並みに出来る世寿だけど、クリスマスの特別な料理はやっぱり少し大変そう。
けれど、ふたりで協力し合えば大丈夫。
「ここ、少し分かりにくいですね……」
「……じゃあ、ボクが……そこだけ、代わる、ね」
初心者にはちょっと難しい料理の機微は、世寿が助け船を出す。
「これ、切るの……大変……」
「それなら、私が請け負いますよ」
世寿が刃物の扱いに困ったら、咲夜が代わって作業する。
それでもどうにか出来ない時は……デコレーションで誤魔化しちゃおう!
テーブルの上にずらりと並んだ、美味しそうな料理とケーキ。
「これで、やっとパーティーが出来ますね」
「……うん、とっても……楽しみ、だね」
見た目はちょっぴり悪いかもだし、味の保証もないけれど、ふたりで協力し合って作ったのだから、きっと最高間違いナシ!
「メリークリスマス♪」
「ん……メリー、クリスマス……♪」
さぁ、ふたりで素敵なクリスマスパーティーをはじめよう。
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