●Let the snow paint us. - Christmas is here.
学園生活最後の12月24日。
クリスマスイブ。
クリスマスイブにもかかわらず、学校で勉強会に出席してきたよさみと忍。今は帰途についている途中。
イルミネーションに彩られた街路樹の横を歩いていく。
交わす言葉はない。
ただキラキラと、街路樹が光を放っていた。
出会いは3年前。
色々あった。
修学旅行での告白とか。
浮気がばれて殺されかけた事もあった。
それでもいつも隣にいてくれた。
今年になってクラスが変わり、距離は少し離れたけれど。
それでも隣にはいつもキミがいた。
来年俺達はココを卒業して別々な道を歩むけど……。
キラキラ色を変える、イルミネーションをぼんやり見ながら、歩く忍は今までの事を思い出していたが、ふっと視線を感じて隣を見る。
すると珍しく真剣な面持ちの忍を不思議そうに見つめているよさみの顔が、目に飛び込んできた。
「どうしたん忍ちゃん? 珍しく神妙な顔つきやで?」
「ん? いや別に。何だかんだいってもぅ今年も終わりなんだなーって」
「確かにそうやな。何かあっという間やった気がする」
交わすのは他愛もない会話。
その合間、はぁっと白い吐息を吐き出すよさみ。
彼女が寒いらしいことを感じ取ると、忍はだまってそのまま自らのコートの中に、彼女を抱きこむ。
「!」
心なしか驚いたようなよさみに対して、忍はニコニコとそのまま抱き込むように彼女の身体を抱きしめる。
「ど、どうしたん忍ちゃん……」
「だって寒そうだったから」
顔を真っ赤にして忍へと問いかけるよさみに、忍はにこっりと微笑み返す。
そんな彼に、更に彼女は耳まで赤くして、伏せていた視線を上げて彼を見上げる。
「……今は逆に暑いくらいや」
「……いつもありがとね」
顔を真っ赤にした彼女の言葉に、笑顔で言葉を返す。
そしてゆっくりと忍がよさみの顔に顔を近づける。
煌く街路樹の中、二人を写す影がひとつになる。
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