エトナ・ファンタリズム & 水無月・風紗

●Eternity Love

「今日は楽しかったね。ね、エトナ」
「うん。色々なお店を見て回ったりして……」
 家に帰ってきた後、風紗にそう言われてエトナは頷いた。
 今日はクリスマス。2人は大きなツリーの下で待ち合わせて、一緒にデートしてきた帰りなのだ。
 今日の為に、少しだけ化粧にもチャレンジしたエトナは、そのドレス姿もあって、とても可愛くて……本当に、お姫様みたいだと、風紗は素直な気持ちで思う。
 そう直接口にすると、エトナは恥ずかしそうにして、ちょっぴり照れるのだけど。
 ……でも、そこがまた可愛いと、その言葉は自分だけのものにして、風紗は胸の奥に飲み込む。

「歩き回って少し疲れたけど、でも、とても楽しかったよ」
 あまりに楽しくて、帰りはすっかり遅くなってしまった。
 エトナは1度体を伸ばすと、風紗のベッドをソファ代わりにするかのように座った。ぽむっと柔らかい感触が、今の疲れた体には、ちょっぴり気持ちよくて……。
 それから……。
「………」
 じっ、とエトナは風紗の事を見つめた。彼女が何を思っているのか……なんとなく、それが風紗には分かるから。だから、ただ静かにエトナの元へ近付くと、そのまま彼女に寄り添って……ぎゅっと、エトナを背中から抱きしめる。
「風紗……」
 もたれ掛かるように、エトナは自分の体を風紗に預けた。それと一緒に、自分の心も。何もかも全て彼に預けて、そっと瞳を閉ざす。
「エトナ……」
 ぎゅっと、その体を抱きしめる腕に、更に力を込めた後……風紗はそっと、エトナの体を撫でた。とてもとても大切なものを愛しむかのように、優しく触れた指先で、大切な人のすべてを。

「……私、いつまでも風紗の事、好きだよ……」
 熱を帯びて吐き出されるエトナの囁きに、風紗もまた笑みを深める。
「僕だって、エトナだけを愛し続けるよ」
 自分の腕の中で全てをさらけ出している大切な人に、そう誓いの言葉を囁いて。
 風紗はエトナの唇に強く……けれど優しく、とびきり甘い口付けを落とした。




イラストレーター名:Hisasi