槍栗・ジョーズ & 七瀬・華鈴

●聖夜のデート〜特別な時間〜

 ふたりで過ごす初めてのクリスマスは、いつものクリスマスより何倍も特別で、ドキドキしてしまう。
 物凄く照れくさいけど、物凄く嬉しいのは何故だろう。
 キラキラ光るイルミネーションと同じくらい、隣にいる相手の笑顔がまぶしい。
 風がふいたら、寒いなんて口実にして、身体をひっつけてしまおう。
 特別なクリスマスデート。
 特別だから、手を繋いじゃってもいいよね?
 特別だから、キスとかもしちゃうのかな?
 そんな事を考えながら、華鈴はちらちらと隣にいるジョーズの事を盗み見る。
 ジョーズも照れて恥ずかしいけど、嬉しいのも確か。一緒に見るイルミネーションは昨日みたときより、もっと輝いて見えて。そっと華鈴の手を握った。
 優しく握ると、花鈴もきゅっと握り返してきてくれる。
 それがたまらなく嬉しい。
 身体を寄せ合って手を繋いで歩く、イルミネーションの続く道。
 昼よりもピカピカと光り輝いて、ふたりでする他愛もない会話も、何だかとても特別な気がする。

 手を繋いで、ジョーズが華鈴をエスコートした先にあったのは、大きなクリスマスツリー。
 前もってジョーズが探して見つけておいた場所。
 彼女に見せたかった場所。
 そしてふたりで一緒に過ごしたいと思った場所。
 大きなツリーは沢山のイルミネーションで彩られて輝いている。
 その美しさに、思わずクリスマスツリーを見上げる華鈴。
 そんな彼女の横顔を見つめるジョーズは、彼女の手から自分の手を離す。
 その感覚は華鈴にも伝わるから、どうかしたのかと隣にいるジョーズを見上げると同時に、彼が彼女を優しく抱きしめた。
 そのまま華鈴は静かに瞳を閉じ、ジョーズがそっと顔を近づける。
 重なる唇。
 寒い冬の夜なのに、抱きしめあっているせいか、とても暖かく心地よい。
 優しいキスの後、照れて頬を赤く染めた華鈴が彼のほうを見上げる。
「メリークリスマス……」
「……ああ、メリークリスマス」
「ずっとずっと……大好きだよ」
「俺も……ずっと、ずっと大好きだぜ?」
 そうして、もう一度。
 今度は少しだけ深く。

 ……また来年も……こうやって過ごそうね。




イラストレーター名:Hisasi