美咲・牡丹 & 赤城・零

●コタツでクリスマス

 同棲している牡丹と零は自分たちの家で、2人だけのささやかなクリスマスバーティを開いていた。
 牡丹がリクエストするメニューを、零は嬉しそうに作り上げていく。
「牡丹さんおまたせ! お肉あります! たくさん食べてください!」
「わぁ……すごいです零ちゃん!」
 クリスマスらしくトナカイのカチューシャを付けた零が、次々と牡丹の待つコタツへ料理を運んでくる。鳥の丸焼き、綺麗にデコレーションされたケーキ……それらに牡丹は歓声を上げた。

「張り切って作り過ぎたかと思いましたけど、食べきれましたね」
「零ちゃんの手料理ならいくらでも食べれますよ」
 料理上手な恋人に、幸せそうな笑顔で食後の紅茶を飲みながら牡丹は答えた。
「そうそう、クリスマスプレゼント渡してなかったわね」
 セクシーなミニスカサンタコスチュームの姿で妖艶に笑うと、牡丹は足を組み替える。タイトなスカートの裾から見える、白い太腿がまぶしくて、零は慌てて目をそらす。
「零ちゃん、似合うかしら?」
「似合ってます……けど、丈が……!」
 視線を天井に向けたままの恋人の耳元で、牡丹は囁く。
「プレゼントは、わ・た・し」
「ええっ!?」  真っ赤な顔でうろたえる零の様子を見て悦に浸った後、牡丹は本当のクリスマスプレゼントを取り出す。
「……冗談ですよ冗談、こっちが本物。大切にして下さいね」
 ようやく冗談だとわかり、少し落ち着いた表情で零はプレゼントを受け取る。
「こちらこそ、大切にさせてください。それと……俺のプレゼント、受け取ってくれますか?」  綺麗にラッピングされたプレゼントを牡丹に差し出し照れたように零は笑う。包まれていたのは白い花に飾られた淡い色の香水だった。
「嬉しい! ありがとう!」
 嬉しさのあまり飛びついた牡丹を受け止め、零はよかったと小さく呟く。顔を上げた牡丹の優しい笑顔があまりにも近くて、ドキドキしながらも決意を固める。
「牡丹さん」
 名前を真剣な声色で改めて呼ばれ、どきっと胸が高鳴る。何かを察しお姉さんぶった様子で目を閉じると、顔を少し上に向ける。年上の余裕を見せる牡丹だが、内心はやっぱりドキドキ!
 恋人達の顔が重なる。唇に触れるだけの軽いキス。それが零の精一杯だったが、二人にとっては何よりも甘美な瞬間だった。
「零ちゃん……」
 幸せそうな顔で牡丹は零を抱きしめる。が、元々不安定な態勢だったのが悪かったのか、そのまま絡み合うように転んでしまう。
「ぼ、牡丹さんごめんなさい!」
 二人のクリスマスは色々あったり柔らかかったりしながらも、賑やかに幸せに過ぎていった。




イラストレーター名:Hisasi