●手から伝わる貴方の温度
今日はクリスマス。
街は普段よりも断然賑やか。
行きかう人も自然と笑顔。
そんな中、暇だったから慈善事業でも、ってノリで、深柑と奈々はアルバイトをすることにした。
無事にアルバイトは終了し、着替えて帰ろうかと思ったけれども、それも何だか面倒くさく感じてしまって、二人はそのまま帰ることにする。
街はきらめき、行きかう人は笑顔。
なんとなくこっち出までウキウキしてしまう。
アルバイトが終わったばかりで、少し疲れた奈々を気遣って深柑は、公園のベンチで休憩してから帰ることにする。
「じゃーん!」
休憩するといっても、寒い冬の夜。寒いだろうと思って、深柑が奈々へと買ってきた缶コーヒーを差し出す。
ありがとうございます。と、奈々が缶コーヒーを受け取ろうとして、深柑の手に触れた奈々が笑った。
「缶コーヒーより御桜先輩の手の方が暖かいです」
にっこりとそんなことを言われるから、ここは缶コーヒーに辞退してもらって、深柑は奈々の手を取った。
軽く指と指を絡ませたりしては、二人で顔を見合わせて笑いあう。
思い出すのは去年の誓い。
二人で交わした去年の誓い。
今年のコトなんてって思って、今年はあるかなって、去年は思っていた。
だけれども今年もちゃんと、一緒にいてる。
小さな事だけれども、それがとても嬉しい。
それも奈々の隣にいられることがとても嬉しい。
少女達は繋いだ手をきゅっと握り合って笑いあう。
冬の夜はとても冷えるのに、何故だろうとても暖かく感じてしまう。
自然と相手の手を強く握り締める。
そして自然と顔を見合わせて笑ってしまう。
そして他愛もない話で盛り上がる。
やっぱり相手のコトがとても好き。
だらかもっと、きゅっと手を繋ぐ。
そうして願うのは、これからもずっといられたらいいなという事だった。
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