阿部・晴人 & 峰下・玄哉

●クリスマスのささやかなエロい奇跡

 晴人からのクリスマスプレゼントを、玄哉は不思議そうな顔で受け取った。
「クリスマスプレゼント? ……なんだこれ」
 赤いリボンで可愛くラッピングされた白い包み。それを開ける玄哉を、晴人はまるで、渡せただけで満足だと言わんばかりの、ご満悦な表情で見ている。
「服……かな?」
 入っていたのは布のようだ。赤と白を組み合わせたそれは、トップスとスカートの形になっている。
 プレゼントをもらって悪い気はしない。だから玄哉は、とりあえずそれを着てみることにした。
「少し待ってろ」
 玄哉は晴人にそう告げると、貰った服を持ってその場を離れる。
「言ってもまあ、まさか着るわけ無いけどなあ〜」
 玄哉の出て行った方向を眺めて呟く晴人。渡したものは半分冗談だったけど、それでもやっぱり期待してしまうのは男心。

 とりあえず着替えだした玄哉。
 着始めて、何か違和感がある事に気付いた。それはまだ首を傾げる程度だったが、トップスを着て、その意味が分かった。
「!!!」
 思わず言葉を失ってしまう。
 胸が見えてしまいそうなほど短いのだ。
 動けば危うい。
 しかしまだスカートが残っている。
 途中まで着てここでやめてしまうのは何だか腑に落ちず、ここまできたら全部着ないといけないような気がして、スカートも履いてみる。
「!!!!!!!!」
 思わずスカートの裾を引っ張った。
 引っ張った時はまだいいが、手を離してその長さが変わるわけではない。
 手を離せばスカートは元の位置。
 下着が見えるか見えないかぎりぎりの位置。
 着たからには、待っている晴人のところまで行かなくてはいけない。
 こんな衣装は恥ずかしいというのが本音だが、玄哉は短すぎるトップスとスカートを手で引っ張り抑えながら、晴人の前に出る。

「お、お前っ!! なんてものを!!?」
「え。ってかマジで!? ええ!? 着てくれ……うわーうわーうわあああああ!!!?」
 まさかの玄哉のミニスカサンタ姿に、晴人は耳から煙が出そうなほど真っ赤。
 晴人の反応に、玄哉は咄嗟にきつい一撃を加える。
 玄哉の一発に張り倒されて、晴人その場でばたんきゅー。
「たく、なんてクリスマスだ」
 そこでようやく息を吐き出し、落ち着く玄哉。
「……メリークリスマス」
 しかし折角のクリスマス。倒れた晴人をそっと膝枕してやる。
 晴人が起きるまで、このまま介抱してあげようと思うのだった。




イラストレーター名:Hisasi