●【ぼくらのデスゲーム】〜この手にあるは生か死か〜
そのきっかけは、本当に何気ない会話のひとつからだった。
「お前、凌駕率は高い方か?」
「高い方だと思う」
「それならゲームに付き合わねぇ?」
ゴーストタウンの帰り道、アルベドがテトに尋ねる。それに何気なく答えてしまったテトは、アルベドとのデスゲームに付き合うことになった。
今日、残った紐は2本。
この紐のどちらかが「アタリ」でどちらかが「ハズレ」。
アルベドに膝枕をされて、片手にナイフを握るテト。
このゲームを始めたときには、沢山のロープがあった。
しかし1日に1本。今と同じ状況で切っていき、クリスマスの今日、残り2本となったのだった。
アルベドはせかす事無く、膝枕したテトをじっと見ている。
紐を持つ手、ナイフを持つ手。
テトが持つ両方の手のひらが、じわりと汗ばんでくるのが分かる。
アタリを引けば容赦なく、落ちてくる。
今日で最終日。
最終日がクリスマスというのは仕組まれた罠か。
いつまでもこうしているわけにはいかない。
決めなければならない。
意を決して、テトが一本のロープにナイフの刃を当てる。
それだけで背中が冷たい。
一か八か!
ナイフを更にロープにあてがって、引っ張る。
ロープが切れる感触が伝わってくる。
(「――ヤバイッ!!」)
思わず、ぎゅっと目を閉じる。
ダメだと思ったものの、首にはなんの感触もない。
テトは恐る恐る、震える指先で自分の首を触ってみる。
繋がっている。
それからゆっくりと、閉じていた目を開けて見上げる。
その先には、さっきと同じようにギロチンの刃が自分の方に向いている。
そこでようやく、自分が「アタリ」を引き当てなかったことに気が付いた。
安心感と極度の緊張からどっとつかれが出て、テトはアルベドの膝に頭を預けたまま目を閉じた。
そんなテトを見下ろすアルベドは、遊びに付き合ってくれた彼を小さく笑って見下ろしていた。
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