●クリスマス 〜大好きなあなたと一緒に〜
何とか無事にテストも終わり、冬休みが始まった後に、迎えたクリスマス。
今日はふたりで、一日デート。
祐理と結は色違いでお揃いのロングコートを着込み、待ち合わせの場所に向かっていた。
最初に待ち合わせ場所に着いたのは、結。
祐理は普段コートを着慣れない上、結と同じサイズのコートを買ったため、まったくサイズが合わず、足元までコートに隠れた状態で、ぱたぱたと走りにくそうに駆けてきた。
そんな事もあって、結がハラハラとした様子で見守っていると案の定、祐理が派手にバランスを崩して転びそうになる。
「あっ、危ないっ!」
咄嗟に結が手を伸ばし、何とか最悪の状況を免れた。
しかし、祐理は心臓が飛び出すほど驚いており、バクバクと胸が高鳴っている。
「だから、もっと小さなコートを選べばよかったのに……」
祐理のコートを眺めながら、結がちょっとだけ嗜める。
「だって、結兄さんと同じが良かったんだもん……」
ほんの少し拗ねながら、祐理が結に答えを返す。
彼女もサイズが合っていない事くらい百も承知だが、それ以上に結と一緒のコートが着たかった。
「あー……うん、まぁ……いいか」
自分なりに納得しながら、結が深い溜息を漏らす。
「――危なっかしいのなら、その分きちんとエスコートしてあげないとな」
よたよたと歩く彼女を見つめ、結が自分自身に言い聞かせた。
その姿が何となく愛しく、そんな事を考えてしまう辺り、恋は何とやらである。
それから、ふたりは繁華街に向かい、映画を観たり、ゲームセンターでクレーンゲームを楽しんだりとおおはしゃぎ。
特にゲームセンターでは、レバーを握る手が重なり合い、ちょっと照れ臭くなった。
その後も、ファーストフード店で、御互い食事している姿を愛しく思ったり……。
ショッピングの途中で相手の意外な趣味が判明したり……。
そんな何気ない事がとても楽しく感じられ、ふたりで幸せなクリスマスを過ごすのだった。
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