●Affectueux ~空から舞い散るプレゼント~
想いが結ばれあったのは、夏休みの終わり。海辺での出来事。
それからもうすぐ4ヶ月。
でもまだ4ヶ月。
二人で迎える初めてのクリスマスイブ。
それはとても特別で、素敵で、記念日になってしまうくらいの1日。
だから今日1日は沢山一緒に遊んだ。
もっとあると思っていた時間は、そろそろお別れの時刻を示そうとしていた。
最後に一緒に立ち寄ったのは、街中にある大きなクリスマスツリー。
光の花が沢山彩られ、キラキラ瞬くすてきなイルミネーション。
とても綺麗で、思わず見蕩れてしまう。
とても素敵なのに、これを楽しんだら今日はもうお別れ……。
綺麗だと思うのに、心が切なく寂しく思って、クリスマスツリーを見上げていた雛の顔が自然と俯いてしまう。
もっと一緒にいたくて、しょんぼりと詰まらなさそうな表情の雛の肩を、チャールズがそっと抱き寄せる。
彼女の様子に気が付いて、優しく頭を撫でる。
ずっとこうしていたいけど、そういうわけにもいかない。
時間は確実に過ぎていき、時計は非情に進んでいく。
街の大きな時計を見上げて、雛がため息をつく。
なんとなくシンデレラの気持ちが分った様な気がする……。
もう時間いっぱい。
さようならの、時間だからとツリーから離れかけたとき、空からちらちらと細かい雪が降り出した。
「わぁ……雪………」
今まで曇っていた表情が嘘のように、雛の表情は明るくなり空を見上げる。
「こうすると、もっと空へ近づくよ」
そんな彼女の様子が可愛くて、チャールズは小さな彼女の身体を優しく抱き上げる。突然浮き上がった身体に、瞳を瞬かせる雛。
驚きながらも嬉しそうに、彼へと笑顔を返すと、両腕を空に向かって一杯に伸ばす。
「まるでお空からのプレゼントですね……」
「うん……素敵だね」
黒い天鵞絨の様な空から、儚い雪が舞い散る。
その光景に二人は目を細め、眺めていく。
二人で過ごした初めてのクリスマスイブ。
素敵な思い出が最後にまたひとつ………。
「愛してるよ……雛」
「雛も……大好きです、チャーリーさん」
耳元で囁かれる甘く切ない言葉に、雛は頬を赤らめチャールズを見つめ返す。ふわりと柔らかな微笑と共に、冷えた彼の頬に手をそえれば、静かに唇を重ねいく。
ずっとずっと忘れない、大切な思い出……。
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