大坂・慶介 & 竜野・由紀

●2人のクリスマス 愛の贈り物

 由紀のライブが終わり、二人は街を歩いていく。
 夜も遅いため、軽くショッピングと食事を終わらせていた。
 そして、たどり着いたのはイルミネーションの見える綺麗なツリーのある公園へ。
「今日は本当に楽しかったね♪」
 由紀は輝くイルミネーションを見上げながら、瞳を細める。
「だね、最高のクリスマスだ。由紀のおかげだよ♪ ありがとう」
 そう慶介に言われて、由紀はえへへと照れ笑いを浮かべた。

「由紀」
 慶介は彼女の名を呼ぶ。
「実は渡したい物があるんだ……」
「え……なに、かな?」
 由紀は慶介の言葉にどきまぎ。期待と緊張が彼女の意識に反して高まっていく。
 慶介が手渡したのは、小さく綺麗にラッピングされた箱。
 それを震える手で由紀は受け取った。
「あ、開けていい……?」
「うん」
 慶介の承諾を得て、由紀はそっとラッピングを解いていき、箱を開ける。
 中に入っていたのは、ハート型のアクセントが付いたシルバーネックレス。
 実はこのネックレス、由紀に似合う物をと慶介が様々な店を探して見つけたものであった。
「これ、わたしに?」
 由紀の言葉に、慶介は静かに頷いた。
「……ありがとう♪」
 たくさんの感謝を込めて、由紀はその言葉を慶介に届けて。

 照れたように慶介はもう一度、口を開いた。
「実はもう一つ、由紀にプレゼントがあるんだ」
「にゅ? もうひとつ?」
 まさかもう一つプレゼントがあるなんて、思ってもみなかった。
 驚きながら、由紀は慶介の顔を見る。
「そう。ちょっと目閉じて……?」
「ん……」
 言われるままに由紀はそっと瞳を閉じる。
 と、由紀の唇に慶介の唇が重ねられた。
 びくりと由紀は体を震わせたものの、それは僅かなひとときだけ。
 落ち着きを取り戻した由紀はそのまま、拒むことなく唇を重ね続けるのであった。

 ふわりと雪が降ってくる。
 唇を重ねたときに降る雪。それはまるで二人を祝福するかのように……。
 煌びやかなイルミネーションの光を受けて、由紀の手に持っていたネックレスがキラリと輝いた。




イラストレーター名:マメ太