辻村・崇

<ファイナルナイトメア 侵攻開始!>


 1月30日朝。
 江ノ島電鉄沿線一帯は、静けさの中にあった。
 ナイトメア勢力のメガリス破壊効果、「完全幻想」によって蘇った最強のナイトメアビーストの一人、「透明城壁」万城・千里によって、戦場となる地域は完全に覆われ、外界と隔離されている。
 外にいる人々は、今日、この街で起こる戦いを知る由も無い。
 城壁の内側にあっても、動きを見せているのはこの戦争に関わる者達だけだった。

 鎌倉市某所に存在する新ジャックマキシマムハウスで、ナイトメア勢力のトップであるナイトメア王(キング)、ジャック・マキシマム『達』は最後の会議を行っていた。
「今日こそ銀誓館学園との雌雄を決する時だなジャック!」
「奴らとも長い付き合いだったが、今日でその戦いも終わる……我らの勝利という結末で!」
「その通りだジャック。ティンカーベルを手にする時、『完全幻想』は真に完璧なものとなる」
「だがジャック、敵勢力が銀誓館学園に引き篭もると厄介ではないか?」
「その心配は無いぞジャック。何故なら、ティンカーベルは元来夢の世界の存在だからだ」
「そうだなジャック。ティンカーベルの近くで一定の時間が経過すれば奪取可能……」
「だからこそ、我が配下達も『校内での探索』を行う必要がなかったのだったなジャック!」

「「そう、奴らの『生命賛歌』が終わる時こそ、ティンカーベルが我が物となる時だ!」」

「そして、その時こそ……」
 胸の内に遠大なる計画を秘め、不敵に笑うジャック・マキシマム。
 その表情は、自身の作戦を微塵も疑っていないかのようであった。

 一方、銀誓館学園のキャンパスでは、能力者達が最後の準備に取り掛かっていた。
 通い慣れた鎌倉の地図を改めて準備し、進軍に備える。
 ナイトメアビースト達が待ち受ける江ノ島電鉄の各駅は比較的狭い範囲に集中しており、凄まじい逆侵攻に晒されることが予想されていた。
「戦闘開始直後から、激戦になりそうだね……。みんな、準備はいい?」
 辻村・崇(蒼氷の牙を持つ幼き騎士・b63628)の声に、周囲の能力者達から応諾の声が返って来る。
 崇は頷くと、運ばれて来たメガリスへと向き直った。
「生命賛歌、発動!」
 銀誓館学園の能力者達の力がメガリス『ヤヌスの鏡』へと集中する。再入手されたばかりのメガリスが破壊されると共に膨大な力が渦を巻き、メガリス破壊効果「生命賛歌」は発動した。
「行こう!」
 銀誓館学園の校門を飛び出した能力者達は、江ノ島電鉄各駅に待ち受けるナイトメアビースト達の元へと向かう。
 かくして銀誓館学園が立つ古都鎌倉を舞台に、激しい戦いの幕は切って落とされた。