<リプレイ>

●結果が出ました!
 山本・真緒(中学生運命予報士・bn0244)は、生徒達が集計した結果発表を受け取り、にこりと微笑んだ。
「さて、今日も皆さんのところへ行きましょうか」
 真緒は軽い足取りで、廊下を駆けてゆく。
 目指すは、結社活動発表で上位の人気を獲得した結社のもとへ。
 果たして、今回の人気結社企画は……?

●まずは、3位から! アンリミテッド・しりとり
「確かここは、去年も上位に入ったところ……」
 真緒はそう呟き、扉を開けた。
「こんにちはー! しりとり同好会の結社企画は、こちらですか?」
 ひょこっと覗き込むと、そこには、和気藹々とした雰囲気で、しりとりを楽しんでいる学生達の姿が見えた。
「あれ? 真緒さんじゃないですか」
 真緒の姿に気づいて、横倉・心美(小さなたまご・b51575)がやってくる。
「ちょっとお邪魔します。とっても賑わってますね」
「はい、沢山の人が訪問してくれて嬉しいですよ」
 次から次へと人が来るので言葉が被りそうで緊張しますが、と心美は肩をすくめた。
「ほら山本、お前もしりとりに参加してくれ」
 そう、真緒を呼ぶのは、弘瀬・章人(真水練忍者・b09525)。
「じゃあ、お言葉に甘えて……えっとどこからですか?」
「【ムスク】からですから、【く】か【ぐ】ですね」
 氷采・陸(瑠璃色ニュートラル・b28712)
「えっとそれじゃあ……」
 真緒もしりとりに加わり、しばしの時間を楽しんだのであった。

「ところで……真緒殿はどうしてここに来たのでござるか?」
 巣霞・野露(鋏角野伏衆・b32975)のツッコミに、はっと真緒は思い出した。
「だ、団長さんいらっしゃいますか? えっと、このアンリミテッド・しりとりが、人気投票で3位を獲得しました!」
 ぱんぱかぱーんと真緒は、嬉しい発表を行う。
「「えええ!?」」
 驚くものの、皆、すぐに笑顔になる。
「毎年のことですが、多くの人と言葉を通じて絆を紡ぎ合えるというのは、とても楽しく、素晴らしい物だと思います。今年も多数のご来場、有難うございました! 同好会を代表して、お礼を言わせていただきます」
 真緒にマイクを向けられて、団長のファリューシング・アットホーン(宙翔る双頭の鷲の子・b57658)は、そうぺこりと頭を下げた。

「仲間と共に、次へ繋ぐ」
 そんな姿を三島・月吉(仮面の処刑人・b05892)は、瞳を細めて眺めていた。
「まるでしりとりは俺達銀誓館の在り方を体現しているようだ……」
 票を入れた者達からは、手軽で参加しやすかったこと、団員のフォローがよかった、和気藹々とした雰囲気がよかったなどの言葉が添えられていた。

●次は、2位! GT「銀誓館学園〜TRPG同好会の宝〜」
 名残惜しそうにしりとり同好会の部屋を後にすると、次に向かったのは、クラブ棟。
「たのもーですよ」
 がらりと扉を開くと……他にも扉がいっぱい。
「こ、これは……」
 戦慄する真緒の前にイセス・ストロームガルド(己を識る旅路の道半ば・b47362)がやってくる。
「いらっしゃい、真緒ちゃん。ゆっくり遊んでいってよ」
「この扉は……?」
 こほんと咳払いして、イセスは説明しはじめた。
「ようこそ、GT(ゴールドタウン)「銀誓館学園〜TRPG同好会の宝〜」へ!」
 このゴールドタウンは、TRPG同好会が主催する、ゲームブック形式で遊べるイベントスペースだ。つまり、扉の先にある部屋を廻り、ゴールの部屋を目指すというイベントらしい。
 どこかの部屋で何か、必殺技っぽいのを叫んでいるのが聞こえたが、きっと気のせいだろう。きっと。
「うわ、まただよ〜」
「だ、大丈夫ですよ。きっとゴールへ行けますから」
 無髪・萌芽(路傍の草・b53356)が、またスタートに戻されてくじけそうになるのを、松永・小草(中学生真鋏角衆・b77892)が励ましている。
「うちの企画が一番ですよ〜♪」
 裏方で参加者のフォローをしていた三永・法子(中学生水練忍者・b79255)が嬉しそうにそう告げる。
 ふと、辺りを見渡すと、自分のペースで進んでいく九原・終(新世紀スタンダード真妖狐・b73832)や、結局、必殺技を叫べなくてまごまごしている綾之瀬・キッカ(エンジェルマヌーヴァ・b05633)らの姿が見えた。
 ゴールにたどり着いた天神・錬(銀誓館ヲ憎ムモノ・b63046)は。
「すげぇ、発想が面白かった♪」
 と、ご満悦のよう。どうやら、このイベントに参加した者の多くは、満足して帰っていった様子。
 真緒はにっこりと微笑み、イセスに告げた。
「おめでとうございます! イセスさんのGT「銀誓館学園〜TRPG同好会の宝〜」が、2位に選ばれました!」
「そうそう、宝が……て、それ、ホント!?」
 ニコニコ顔が驚愕に変わって。
 けれど最後には、笑顔を取り戻した。
「選ばれるなんて、嬉しいよ。とっても」
 真緒はその笑顔だけで充分だと思いながら、その部屋も後にした。
 もちろん、楽しかったというお客さんのたくさんの言葉も伝えて。

●ちょっと休憩? 特別賞! 銀誓剣術士団SSM
 ふと、真緒が足を止めたのは、とあるステージ。
 観客席には、小さな屋台が置かれ、ちょっと休憩しながら、劇を見られるようになっていた。
「今はどんな劇をやっているんでしょうか?」
 ひょっこりと覗いてみると。
「にゃにゃにゃー」
 縞猫が楽しげに劇を見ていた。ちなみにこの縞猫、エリオット・アーチボルト(高校生魔弾術士・b56934)が変身した姿だったりする。
 いやいやそれよりも、ステージを見よ!!
「ふう、どなた様もこなた様も散らかしすぎですわ。……いっそ、掃除なんてやめて爆破して、立て直させればいいのかしら」
 綾川・紗耶(青き薔薇の輝きを具現せし者・b64932)が演じる、その……かなり個性的なシンデレラが行われていた。
 シンデレラによって、義理の兄はけり倒されるわ、魔法使いは魔法を使わずにドレスをやったりするわ、王様はノリノリのラップで登場するは、王子は王子で魔法使いの回し蹴りを見事に喰らってる!? といった、御伽噺のシンデレラとは、かなり趣が異なっている様子。
「これは面白いですっ!!」
 普通のミネラルウォーターとSSMポップコーンを片手に真緒は見入っていた。
「まぁ、劇と言うのは新鮮ですわね」
 訪れていた八条院・伊織(小学生ヘリオン・b68861)は、そう呟きながら、劇を見ていた。噂によると、1日目で行われたのは。
「桃太郎トゥエルブ! これは――流行らないな、うん……」
 リリィ・アーチボルト(中学生クルースニク・b63921)がそう話していたが、本当に流行らなかったのか?
 ちなみに一日目に桃太郎を演じた緋山・律(焔の謡い手・b67971)は、こう語る。
「行ったら突然、桃太郎やってーとせがまれた。しかし、普通の桃太郎ではなかった。そのくらいネタ要素に満ちた演劇だった」
 かなり面白そうな内容だったらしく。
 最後まで見た真緒は、立ち上がり割れんばかりの拍手を送った。
「決めました。今、決めましたよ! 特別賞はシンデレラですっ!!」
 正式には、銀誓剣術士団SSMの演じた劇に、だ。
「あらまあ……」
 落ち着いた雰囲気で、紗耶はステージ上で優雅にお辞儀をしたのであった。

●そして、気になる1位は? 星廻喫茶〜Galactic Railroad〜
 その部屋に入ったとたんに、真緒は思わず感嘆の声をあげた。
「わあ……」
 窓の外を見てしまうが、今はまだ夕方。
 けれど、この部屋の中だけは違う。
 銀河鉄道。
 その鉄道を模した店内は、素敵な夜を演出していた。喫茶ブースに置かれたメニューには、星座をモチーフにしたお洒落なメインやドルチェ、ドリンクがならび、展示車両には、探査機やスペースシャトルの小さなジオラマが置かれていた。
 真緒が訪れたときは行われていなかったが、進堂・崇之(シナモンシンディ・b42128)、夏目・弥子(歌うな危険・b63987)、高輪・水華(列車に揺られてどこまでも・b69466)らの話によると、この車両で熱くも楽しいミニライブも行われていたらしい。
 ムードあふれる、この場所は、デートをするには、ぴったりの場所とも言えよう。
「とっても素敵ですね……」
 そんな真緒の言葉を遮るかのように。
「えと、小道、ここに来たきねんにもらったのです♪ お店はお星さまのしゃしんとかもけいでいっぱいで、ほわーってあったかくなれるのです♪」
 瞳を輝かせて、たんぽぽ色のリボンがついた切符を両手で大切に抱えているのは、伏見・小道(命漆に護られた子供・b28297)。名残惜しそうに、けれど嬉しそうに店を後にした。
「おっきいわんちゃんのぬいぐるみっ!!」
 展示車両から嬉しそうな声をあげるのは、一番星・ひかる(マスクド正義マン・b81282)。奥に置いてある宇宙飛行犬のぬいぐるみに大興奮な様子。ぱちぱちと楽しげに一緒の写真を撮っている。
「切符を拝見いたします」
 食券を買い、席に着いた真緒のところに、水城・月依(水葬幽月・b74740)がやってきた。真緒の食券を確認すると、すぐに厨房へと向かう。
「はい、パフェ†サウザンクロス、お待たせ!」
 そういって、美味しそうなパフェを運んできたのは、矢車・千破屋(燦然・b53422)。
「わあ、ありがとうございます♪ とっても美味しそうですね」
 いただきますと言って、さっそく真緒は一口。
「うん、美味しいですっ!」
 見た目も味も最高だ。パフェをすっかり空っぽにした後で、真緒はさっそく団長の元へと向かった。
「おや、君も来ていたのか」
 ジャック・ボエルジ(ロックパンプキン・b51745)は、歓迎するよと僅かに微笑んだ。
「今日は大事なお知らせをしに、来ました」
 緊張した面持ちで、けれど嬉しそうに真緒は告げる。
「おめでとうございます! 星廻喫茶〜Galactic Railroad〜が、結社活動発表で見事、1位を獲得しました!!」
 その言葉に目を丸くしていたものの。
「身に余る光栄だな。銀河鉄道に乗車してくれた客人の皆、スタッフとして尽力してくれた友人達に、俺も惜しみなき感謝を送りたい。此処で宇宙への浪漫を満喫して貰えたならば幸いだ」
 そう言って、ジャックは、感謝の言葉を述べるのだった。

 真緒はもらった切符を眺める。綺麗なリボンのついた栞にもなる切符。
 嬉しそうに微笑みながら、真緒はそれをポケットに入れた。
「楽しい学園祭でしたね……皆さん、お疲れ様でした」
 後片付けを始める学生達に、真緒はそっとそう声をかける。
 気づけば、空にはあの銀河鉄道と同じ、美しい星々が輝き始めていたのであった。