<関ヶ原の戦い 侵攻開始!>
岐阜県不破郡関ケ原町。
メガリス「封神台」のメガリス・アクティブであるミスター鈴木ジュニアが己の拠点にして自宅である城を建てていたのは、この地だった。
彼の住む城は、戦国時代の武者達によって守りを固められ、真の意味での城塞と化している。
それを可能としたのは、メガリス・アクティブの能力によって変化した「封神台」だ。
彼の望む天下統一は、もはや決して絵空事では無い。
通常兵器のまともに通用しないゴースト達を自在に操り、作り出すことが出来るようになった今、彼を止める術を常識の世界の住人達は持ち合わせていないのだ。
もっとも、彼が天下を取れば、その時には世界結界は被害を被り、世界は新たな状況に陥っているかも知れないが。いずれにしても、彼を止めないという選択肢は銀誓館学園の能力者達には存在しない。
銀誓館学園の能力者達は、侵攻開始ポイントとなる関ヶ原ウォーランドに集結すると最後の確認を行っていた。
「鈴木配下のゴーストは、こちらに反応して警戒態勢。妖狐も来てるみたいやね」
コマンダーの坂上・神薙(槍衾夜叉・b81165)が、サーチャーの報告を受けて言う。
封神台を狙う妖狐。その存在は、この戦いにおける大きな要素となるであろうことは疑いようが無かった。
「まずは、《生命賛歌》発動させよか」
と、神薙をはじめ、能力者達の視線を受けるのはメガリス「打ち出の小槌」をミニチュア化したような小さなトンカチだ。
2月ごろから始まったメガリスの一斉復活。
いまだ原因のはっきりしない、この現象によって復活したメガリス達は、回収に当たった能力者の一人を所有者として、そのイグニッションカードに入っていた。
それと同時にティンカーベルの元に現れたメガリスのミニチュアは、破壊することで《生命賛歌》を発動することが可能となることが判明している。
問題は、いかにしてティンカーベルの持ち物を破壊するかだが……。
「ま、いつもみたいにやってみよか」
神薙の指示で、能力者達はこれまでの戦争同様、ティンカーベルのところから持って来たトンカチに意識を集中する。
打ち出の小槌の入ったイグニッションカードを持つ神居坂・縫(碧き風炎・b67463)は、緊張の面持ちでそれを見つめた。
ミニメガリスが壊れた時、メガリスにどのような影響が生じるかは分かっていないのだ。
能力者達の意思を受け、トンカチがまばゆい輝きを放ち始める。
やがて光が最高潮に達した時、トンカチが砕け散る。
それと同時に、温かな力が体の中から溢れ出すのを能力者達は感じていた。《生命賛歌》の力は、確かに発動したのだ。
「……問題は、無いみたいやね」
「あたしのイグニッションカードにも変化無し……と。完全にメガリス自体と『破壊効果のためのミニメガリス』で別れたってことかな?」
カードを確認しつつ、応じる縫。
その時、縫が手にしていたイグニッションカードが、不意に光を放った。
同様の現象が生じたのは、彼女のカードだけではない。
他のメガリス所有者達のイグニッションカードにも、同様の現象は発生していた。
力を発揮すべき時が来たと理解したかのようにイグニッションカードは輝き、カード内に収められたメガリスが、所有者達に戦場に出ろと促して来る。
戦場に出た時、カードの内に納められたメガリスの力は発揮されるのだ。
「この力に代償は無い……か、まあ、ぶっつけ本番で試してみるしかないかな」
《生命賛歌》の力を受けて銀誓館学園の侵攻開始のを受けて、ミスター鈴木ジュニア軍もまた、対応すべく動き始める。
四百年以上を経て、関ヶ原は大きな戦いの舞台になろうとしていた。
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