≪ライブハウス≪blood≫≫♪・・・・雑談・・・・♪ part6
「ピアノでも、グランドよりアップライトのほうが 趣があって好きという人は結構いらっしゃいますもんね」
 指先でヴィオラの弦をなぞりながら、桃宮・紅綺は言った。
「音質の他にも、弾き易さ等も関係しているかもしれません。弦楽器でしたら『弦の品質』、 鍵盤楽器でしたら『音域の広さ』とか」
「成程……お値段って、そういうものが反映されているんですね」
 ピアノの前に座った志水・みゆは、紅綺の言葉に頷く。
「俺は、高いからいいっていう訳じゃないんだ。その楽器屋で一目見た瞬間に『これだ』っていう何かね。感じるんだよ。だから、自分にあった物が一番だと思うぜ?」
 青柳・陸が、抱えたギターを撫でながらしみじみと言った。

 落ち着いた赤系の内装で彩られた、ライブハウス≪blood≫。
 学園から徒歩10分の場所にあるそこからは、今日もメンバー達の楽しげな会話と演奏が聞こえてくる。

「棒倒しの時点で1位だったんだけどな〜。結局準優勝で終わっちまった」
 ユーリ・ヴァンガードが肩を回しながら言った。奇しくも銀誓館学園では運動会が終わったばかり。学園内では今一番ホットな話題だ。
「うちは連合は4位だったけど、個人競技で1位を取れたし、結構楽しめたな。これ、運動会中に配ってたキャラメル。良かったら食って」
 東郷・緋邑が、キャラメルの入った箱をさし出すと、横から冥架・椋がひょいと手を出した。
「おうおう、だいぶ楽しんだみたいやな。なんやユーリ、筋肉痛か?」
「違ぇよ。これはさっき陸に飛びつかれて、ぶつけて」
 ユーリはニヤリと笑って両手を広げる。
「……椋も来るか?」
「……行っていいならほんまに行くで」
「!! 美味しいです、これ!」
 比奈守・亜璃亜は、緋邑のキャラメルを食べて目を丸くする。
「手作りですかね? 色んな味があるんですね〜」
 サタン・ファルコニウムは両手いっぱいにキャラメルを取りだした。テーブルに広げられた様々なスナック菓子の横に、カラフルなキャラメルが並ぶ。

「陸お兄ちゃん!」
 不意に扉が開き、一人の少年が姿を現した。彪堂・セツリだ。セツリの後ろからもう一人、浅月・雄飛が顔を出す。
「ちーっす! 邪魔しても大丈夫か?」
「おお、セツ。来たな。雄飛も」
 陸が嬉しそうな声をあげた。セツリは皆にぺこりと一礼してから、子供用のエレキギターを取り出して陸の元へと急ぐ。小さなギターを抱えたその姿に、その場にいた全員が笑みを漏らした。
「これでギターは3人、いや4人やな」
 椋が弦を弾けば、みゆがポロンと鍵盤を鳴らす。
「せっかくですし、何か演奏します?」
 亜璃亜は手持ちの楽譜をめくった。楽器を持たないメンバーは、各々菓子を口にしながら音楽鑑賞の体勢に入る。

 そしてまた、彼らの音楽がライブハウスを満たしていく。

 賑やかな演奏のさなか、誰かの「このキャラメル、旨い!」という声が外まで響いた。
【マスター候補生:蓮見

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