≪黄昏の庭≫【RPスレ】夏の情緒といえば……花火です!
「えと……ろうそくとバケツも用意して……。それからうちわもあった方がいいかな」
 両手いっぱいに何やら抱えて動き回るのは志水・みゆ(偽りを歌う光・b53832)。暑さが和らいだせいかご機嫌な様子で花火の準備を進めている。庭には花火だけでなく涼を感じるスイカやアイス、お茶がしっかりと揃えられており、ちょっとしたお祭りのような雰囲気だ。
 大量の花火の前には八十神・静流(ひとかけらの奈落・b54471)と桐山・ゆう(黎明の希道者・b11211)が群がり、すでにお気に入りの花火がないか物色している。
「ロケット花火はないのかー、残念。人に向かってぶっ放すのも風物詩なんだが」
 草薙・静(幻葬曲・b63289)はしれっと物騒なことを言っている。静流がその言葉に冷や汗をかいていると、ふとある物が目にとまった。
「ネズミ花火ってなぜか人に寄ってくるような気がするな」
 彼が見つけたネズミ花火をつまみあげると、後方からさらにひょいと取り上げられてしまう。
「よし、ネズミ花火にしよう」
 振り向いた先にあったのは真底楽しそうに笑うゆうの笑顔。なぜだろう、嫌な予感しかしない。
 不穏な空気が漂い始めた現場に、運良く(悪く?)桃宮・紅綺(子守唄の魔獣・b57806)もひょっこりと顔を出す。
「お久ぶりです、少しだけお邪魔しますね」
「あ、桃宮さんいらっしゃいませ!」
 紅綺の姿を見とめるとぱたぱたと駆け寄ってくるみゆ。彼女の手にはマッチとロケット花火が抱えられていた。頼まれたのをどこかで調達してきたらしい。
「お待たせしました! ロケット花火は人には向けないって約束ですからね?」
 嫌な予感がするのか予め釘をさしておくみゆ。かくして、思い思いの花火を手に花火大会が始まった。
 早速瞳を輝かせたゆうの手からネズミ花火の群れが放たれる。それらはやはりと言うべきか、吸い込まれるように静流の足元へ。
「わ、わ、こっち来るなー!」
「安心してくれ八十神、そのネズミ花火は拙者が迎撃してしんぜよう!」
 続いて静の掛け声と共に発射される数発のロケット花火。言葉とは裏腹に狙いが最初からずらされているのは気のせいだろうか。
 駆け巡る閃光。乱れ飛ぶ火薬。爆発する花火達。避難する面々。
 全てが治まった時、残されたのは燃え尽きた様に倒れた静流だけだった。

 その後は平和な花火大会となった。ススキ花火にスパーク花火、そして最後に。
「あ、まだ落ちないで……」
 パチパチと控えめに弾けた線香花火が、願いむなしく、ぽたりと地に落ちた。
 全ての火が消えた庭にしばしの沈黙が降りる。辺りはすっかり暗くなり、夜空には星が瞬き始めていた。
 やがて各々自分の仕事を見つけて後始末をしっかりと済ませ、それらも終えて小さな花火大会はひっそりと幕を閉じたのであった。
 来年もまた、同じメンバーで、同じように楽しめたら、それはきっと素敵なことだろう。
 その時は是非、締めに打ち上げ花火を上げたいものだ。
【マスター候補生:ゆうれい

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