≪血と温もりの在処≫【喫茶6】温もりの在処【学園祭'12】
 学園祭はもうすぐ幕を下ろす。
 ルシア・バークリー(リトルウィッシュ・b28515)が催した喫茶室、その場所に使われた教室は、校舎の最上階にあった。
 日が傾き始め学園祭の終了時間が刻々と近付いている。そんな中、ルシアは喫茶室で神凪・刹菜(真フリッカースペード・bn0010)と二人だけで話していた。
「そういえば、今年は刹菜さんのお誕生日会はしないんですか? 私がこの学園に来て初めて参加したのが刹菜さんのパーティーだったから、あれがないと夏が来たって思えなくて」
「考えてる最中。余裕があったら軽くやるかも、かな。まずは目の前のあれをなんとかしてから、でもあるし」
 誕生日という明るい話題から始まったのに二人の空気は重い。その前日の7月22日に大きな決戦が控えているからだ。
 ルシアにとって学園で初めて参加した行事は、夏の到来を感じるこの季節に催された刹菜の誕生日会だ。このイベントがあってこそ夏だと感じられる。ルシアとしては誕生日会を行いたい。時間があればと気遣ってくれる彼女に嫌な思いはさせたくないからだ。
「はい、でも無理はしないでくださいね。祝われる側が楽しくないお誕生日会なんて最悪ですから」
「いつだって私は楽しんでるわよ。……そういう気遣いが出来るくらい大人になってるなんて気付かなかった。今年で卒業だものね」
 ルシアの気遣いに刹菜は顔を赤らめる。その気遣いが嬉しかった。ルシアは成長している。時の流れは早いものだ。
「どんなにピンチになっても、ちゃんと生きて帰ってきなさいよ。自分の命を捨ててでも誰かを生き延びさせるなんて馬鹿なこと、許さないから」
「お言葉、胸に刻んで、みんなと帰ってきます。私はメディックですから。誰も倒れさせません」
 ルシアは刹菜の言葉を心に刻み込む。そう、私はメディック、人を癒す者。決して誰も傷付けさせない。その気持ちを新たにした。
 気が付くと、二人きりだったはずの喫茶室には店員やお客様が来ていた。
「それじゃあ」
「ええ」
 短い挨拶を交わして、刹菜と別れる。刹菜との会話はとても大切なものになった。
 教室は再び喫茶室で賑やかになる。ルシアも忙しくなった。その中に恋人のイグニス・ランフォード(近接武術師・b42985)の姿も見付けた。
 学園祭終了の時間は次なる闘いの告知と同義だった。
 じりじりと迫ってくる学園祭終了の時刻。その時刻を待つ、仲間達。
 そして。
 学園に戦いの檄が飛ばされる。
 楽しいお祭りは終わり、ここからは戦いの時間が始まる。
 ルシアは心に誓う。刹菜との約束を果たす為、そして彼女の誕生日を笑顔で祝ってあげられるように。私にとって彼女の誕生日は特別なのだから。
 そして、イグニス……私の大切な恋人。それから、仲間達。みんな大切な人達だ。守りたい人達だ。
 私はメディック。必ず、誰も傷付けさせない。皆を守る要になる。
 必ず守るから……そう心に刻んだ。
【マスター候補生:白鳥美鳥

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