≪アリスたちの人形の城≫†御伽の夜の舞踏会†
 学園祭のさなか、星宮・雪羽(雪花猫の人形師・b04516)の催す舞踏会へと招待された暗都・魎夜(高校生真ストームブリンガー・b42300)はとある教室を訪れた。
 扉を開き教室の中へと踏み込めば、そこは星明かりに照らされた御伽の国。上天に一際輝く白い星、カノープスの下で踊った2人は幸せになれると、そんな言い伝えの残る場所。
 雹牙堂・寧(正義系女子・b81307)はその場所でじっと、星空を見上げている。
 魎夜は蛍袋の籠の中から青い星、友愛を示すその星を手に取り、寧へと歩み寄った。
「この星を渡せば良いのかな?」
 魎夜を待ちわびていた寧はその声にくるりと振り返り、屈託のない笑顔を浮かべる。
「うん!」
 魎夜が差し出した青い星へと、そっと寧の手が重ねられた。
「じゃ、踊ろうぜ、お姫様」
「お、お姫様……!」
 ゆっくりとステップを踏み始めながら、頬を赤らめた寧が思わず目を逸らす。
「こういうのは気分の問題だろ?  実際、こういうダンスは俺もよく分かってないしさ」 
「ま……まあ、私もよく分からないなぁ。普段踊るのはヒップホップ系とかだから」
 寧は首を傾げつつも、魎夜の慣れぬリードに自然な形でステップを合わせている。
「でも、やっぱり寧は躍り慣れてるって感じだな、リズム感があるっていうか」
「うん、ダンスは好きだからね!」
 感心する魎夜に、寧の笑顔が応えた。
「……そうだ、私がお姫様なら、リョーヤ君は王子様かな!」
 思わぬ不意打ちに魎夜の足が止まりかける。
「俺の場合、王子って柄でもないけどな」
「そうかな? そんなことないよ?」
 苦笑する姿を見た寧が首を横に振る。魎夜が顔を逸らし、上天のカノープスを見上げて呟いた。
「……王子って言うには文字通り柄悪いし」
 寧が再び、小さく首を横に振った。
「でも、私のこと助けてくれたしね。私にとっては……その……王子様、みたいな」
 チラリと魎夜の顔を窺う様子に気付き、魎夜が寧へと顔を向ける。踊り始めと同じように、寧の頬は赤く染まっていた。
「はは、そう言われると俺も恥ずかしいかな」
 魎夜が照れくさそうに笑う。その頬は寧と同様に少し赤みを帯びていた。気付けばいつの間にか、魎夜のステップからぎこちなさは消えていた。
「……えへへっ♪」
 2人は静かに踊る。カノープスの下で。
【マスター候補生:Nantetu

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