新たなる仲間たち 星とモーラット篇 
 ジョブを作ってみましょうか
 理事長の父、友野詳でございます。このたびは、うちの娘の世界一周ツアーへの数多くのご参加、ありがとうございました。
 というかですね、ファイナルオフでの「理事長とデートするイベシナ」のご要望を、さてどう実現したものかと、妄想をもてあそんでいるうちに、あのような大事になりまして。いやあ、ぶったおれるかと思いました。もちろん、楽しかったんですけどね。

 さて、ツアーにご参加いただけなかったみなさまにも、TRPG版で、新たな能力者集団との出会いを楽しんでいただこうと思います。
 ゲームに登場させるためには、彼ら新しい能力者集団のデータが必要になります。とはいえ、すべてのジョブについて詳細なデータを作成、公開するのは、いささか手に余ります。また、完成したデータだけでは、これからオリジナルのジョブを作成しようという方の参考にするには弱いでしょう。
 そこで今回ここでは、登場した11のジョブデータの作成指針を紹介し、それに必要な最小限のデータをご紹介することにしました。

 ジョブの作りかた〜基本篇
 ジョブを、ゼロから作りあげるのは大変です。公式データは、複雑な計算式を使われて作られていますが、この式を紹介しても、手作業ではかなり大変です。
 なので、新しいジョブを作る場合、基本的には既製ジョブを改変してデータを決めてゆくのがよいでしょう。
 数値データ以外の部分は、あなたの発想が重要です。
 まずは、どういったジョブなのか、イメージを広げましょう。たいていの場合は、物語の必要や、プレイヤーさんの願望などが、ヒントになってくれるはずです。
 そういった設定から、本業能力を発想します。注意するべきは「便利すぎないようにする」ことです。

 HP回復なら、いつも確実に使えるわけではないよう、なんらかの制限をつけましょう。情報系なら、即座に事件が解決する万能にならないよう、得られる情報を限定しましょう。コントロールやコミュニケーション系なら能力者に通じないなど、あれば便利だが万能にならない、くらいに調整します。
 生まれ表の細かい内容を決める必要はありませんが、考えるのは楽しいと思います。
 数値的に重要なのは、能力値の基本値です。気魄と術式、神秘の合計が27になります。下限は7で上限は13です。限界まで特化させると、ひとつの能力に偏ったジョブになります。特化型は、組み合わせ次第で、ジャンケンのように勝敗が決まってしまいます。偏らせすぎないのも重要です。
 
 ジョブデータの大きな部分を占めるのは、アビリティと詠唱兵器の『武器』です。
 アビリティを3つと使用可能武器を5つ、ほかのジョブから選んできて、組み合わせましょう。これらについて、数値が同じであれば、名前や描写などは、自由に変更できます。
 アビリティを選ぶときは、使用するのに必要な能力値を完全に統一するより、ひとつくらいはずらしたほうがいいでしょう。攻撃よりや回復より、範囲支援中心やバッドステータスが得意といった傾向はあったほうがいいですが、最終的にはどのアビリティを選ぶか選択の余地があるよう、幅を持たせます。

 使用可能武器を選ぶ時は、どの攻撃力が高くなるか、アビリティとの組み合わせに注意します。名前などを変更する時は、なるべく形状が似たものにします。武器もアビリティも数が多いので、時間のかかる作業ですが、そういった選択は楽しいものです。
 武器覚醒能力などは、自信があるなら完全自作してかまいません。基本的には、そのままにしておいてもいいでしょう。武器の見た目などを変更したなら、ちょっとした改変をするといいでしょう。
 初期獲得アビリティと初期獲得武器は、そのアビリティの判定に使う能力に対応した攻撃力が高くなるようにしておきます。
 選んだアビリティや武器が、名前の変更だけではさびしいとお考えなら、多少の改変なら大きくバランスを崩さずにすみます。
 たとえば、判定能力値を変更するなどです。この場合、あわせて攻撃力の種類も変更されますから、使用可能な武器とのバランスをよく考えましょう。あまりに有利すぎるのも、ゲームをつまらなくしてしまいます。
 追加効果などを、置き換える方法もあります。たとえば「魔氷/魔炎/毒」などは、効果が似ていますから、置き換えでバランスを崩す危険性は少ないでしょう。
 エンチャントなどは、TRPG版の場合「気術神攻アップ」と「ハイスピード」を等価交換するくらいでもいいかもしれません。
 バッドステータス付与をメインとしたアビリティで、与えるBSの変更は、かなり難しいので注意して行ってください。
 TRPG版のみのバッドステータスは、敵に使わせることだけを考えて、ゴーストに与えてもそのまま処理できないものもありますが、独自のルールで使いこなせれば面白いかもしれません。特定の能力のロールカードが使えないBSなどは、敵の達成値を2〜3点下げる効果になるでしょうか。
 もうしわけありませんが、これらの指針は、デザイナー側でも充分なテストプレイを行ったわけではありません。
 これに従って作ってみたジョブデータを、即座に見知らぬ人たちとのセッションに持ち込むのは、オススメできかねます。
 まず、仲間内で、GMとプレイヤーが合意の上で試してみてください。そのうえで、微調整して自信がついたら、お披露目も考えてみてください。
 同じジョブについて、ほかのGMは異なるデータを作っているかもしれません。違うからといって、それを否定はしないでください。バランスの好みというのも、人それぞれに異なるものです。

 ジョブの作りかた〜実践篇その1
 では、そういった手順に従って、ジョブをひとつ作ってみましょう。完全に作りあげるまではいかず、例示というレベルですが。
 参考になるものが多いので「星のエアライダー」をデザインしてみます。
 先に登場している「月のエアライダー」が術式、太陽のエアライダーが気魄なので、星のエアライダーは神秘を得意とするよう考えていきます。
 月が9/11/7、太陽が11/9/7なので、神秘の次はやはり術式を重視することにして、能力値修正は「7/9/11」と設定してみます。
 続いては本業能力ですが、月と太陽がともに【エアライド】なので、星だけ異なる、というのも変でしょう。そのままにしておきます。

 ただ、晴恋菜たちが目撃したような、クジラに引かれて空中を舞うようなパフォーマンスを、本業能力のみで可能にするのであれば「エアライディング」などといったよく似た名称にして、効果を「体重を十分の一にする」などといったものにする、ということも考えられます。
 ここでは、あの効果は武器覚醒能力としておきます。
 支給詠唱兵器は「偽翼」あたりがいいでしょう(この記事と同時に公開されている朱雀拳士のデータに収録されています)。神秘が高いので、相性はいいはずです。
 名称を「携帯ハングライダー」や「巨大凧」などに変更してもいいかもしれません。武器覚醒能力名は「カイトフォーム」。自分の肉体と一体化し、凧として空に舞い上がれる、とします。

 残る四つの武器は、神秘が高めのもの、術式が高めのものを中心に選びます。エアシューズと詠唱鏡あたりは含めておきましょう。ひとつかふたつくらい、追加効果のあるものをまぜておくと、バイトジョブとの組み合わせで戦術の幅が広がります。射撃ができるもの、シールド効果のあるもの、などがいいかもしれません。
 アビリティは、エアライダーの定番として、回避困難技と、ハイスピードのエンチャントつき回復は持たせておくことにしましょう。
 リプレイに出てきたように、回避困難技は「アーティスティックスパイラル」という名称で、竜巻のように渦を描きながら落下してくるキックです。データは、ライジングヘッドバットあたりに準拠しつつ、能力と攻撃力を神秘に変更しましょう。
 回復は、全身の経絡秘孔を星座の形にきらめかせる「スターライトスパーク」と命名しておきます。ほかのエアライダーにあわせて、使用能力は術式のままにしておくのがいいかもしれません。
 最後のひとつは、神秘系のアビリティをどれか持ってきましょう。エアライダーには範囲攻撃がないので、そういったものを選ぶのもいいかもしれません。
 こうして、星のエアライダーのデータ部分が完成します。凝り性のあなたは、月と太陽を参考に、生まれ表なども作成してみてください。
 リプレイでは、まだ強い不信感を見せており、銀誓館学園と共闘するとはっきり決めたわけではありません。
 星のエアライダーにからんだシナリオを作るなら、まずかれらと協力し合う状況になるまでを描くとよいでしょう。一般人による自然破壊を防ぐ手伝いをする、などです。その背後にいる邪悪なゴースト、といった図式でもいいでしょう。

 ジョブの作りかた〜実践篇その2
 星のエアライダーは、これまでに登場したジョブと大きな違いはありません。しかし、あなた独自のジョブは、従来の能力者と大きく異ならせることもできます。
 今回、銀誓館と出会った11のジョブのうち、最も特異なのは、モーラッターでしょう。
 モーラットへの変身が本業能力です。これまでの猫変身などとは異なり、戦闘時に使えなくては、あまり意味がありません。
 そこで、モーラット変身については、従来と異なるルールが必要になります。今回は、以下のようなものを設定してみました。


 モーラッターは、一瞬で(行動などを消費せず)、自分よりレベルが低く、最も近い種類のモーラットに変身できる。変身の解除もできる。戦闘中は、変身と解除は、ターンの開始時、ポジションの変更と同時に宣言できる。
 変身後は、達成値、HP、攻撃力など、すべての数値が、変身したモーラットのものに等しくなる。
 カード使用についても、通常の使役ゴーストと同様に扱う。自分のロールカードを使用する場合も「アシスト」になること、エフェクトの対象などに注意すること。
 モーラッターは、他の「モーラット(モーラッターが変身したものをのぞく)」についてはBS「無縁」がついているのと同様の状態になる。これは通常のBSと異なり、どんな手段でも解除できない。もちろん、モーラットを使役ゴーストにできない。
 モーラット変身時は、バイトジョブのアビリティは使用できない。
 詠唱兵器の防具、アクセサリーを装備すると、モーラット変身が使えなくなる。ただしモーラット変身時の「防具によるHP修正」に等しいHP修正は、人間の姿の時も受け続けることができます。
 詠唱兵器の武器は装備可能だが、モーラット変身中は、攻撃力がモーラットのものに変更される。

 モーラッターには、独自のアビリティはありません。モーラット変身時は、使用回数やあらゆる数値が、変身したモーラットのものと同じアビリティが使えます。
 モーラットとしてのアビリティは、CPを圧迫しません。なのでCPいっぱいまで、バイトジョブのアビリティを活性化しておくことはできます。しかし、先に書いたように、モーラット変身中は使えません。どう使い分けるかは、なかなか難しいはずです。
 モーラッターの能力値修正は、モーラットに準じて神秘>気魄>術式にするとよいでしょう。
 モーラッターには、支給詠唱兵器もありません。バイトジョブに応じて与えることにしてください。武器覚醒なども、バイトジョブのものだけになります。
 ルール的には、モーラット以外の使役ゴーストを持つことは可能ですが、設定などを考えると、まずそういったモーラッターはいないはずです。
 モーラッターは、すでに銀誓館学園と協調することになっています。彼らと一緒に、野良モーラットを確保するシナリオが、標準的なものでしょう。もちろん、モーラットは、モーラッターが近づくだけで逃げてしまうわけですが。
 あるいは、世界結界の消滅によって目覚める、さまざまな過去の妖獣たちの保護といったシナリオも、ふさわしいはずです。

 さて、次回は、みなさんからお寄せいただいたジョブ5種について、簡単なデータ作成指針と、ちょっとしたシナリオソースを掲載する予定です。