問い合わせ先


それは、神々が残した遺産を巡り、
数多の生命が織り成す
何処までも続く果て無き無限の物語。

斯く求め、斯く争い
斯く愛し、斯く嘆き
斯く生き、斯く死にて

去りし神々は彼方より其を降鑒す。
何処までも続く果て無き無限の物語を。


TRPG無限のファンタジア・リプレイ
<どこまでも続く闇の中で>


登場キャラクター
“ここにいる”ロマーリオ=レイズ/ヒトの武人
“ライト・チルドレン”メリア=ハーミット/エルフの邪竜導士
“悲しまない”グリーズ=ガラパティ/リザードマンの武道家
“嘆き尾”テール=クライス/ストライダーの吟遊詩人





僕の足元には暗く淀んだ闇がある。
そこは、抜け出す事の叶わない底なしの沼だった。
その闇の中で産声をあげた彼女は、光の無い世界をどう思っているのだろう。
もし……もしもだ。
彼女が過去の一切を忘れ、光の下に新しい人生を歩める選択肢を得たとしたら……。
彼女……メリア=ハーミットはどうするのだろう。
少なくとも、僕なら……――。






第2話:『絶対、逢いに行くんだ……』


■零章■

GM:それでは無限のファンタジア「どこまでも続く闇の中で」第二話のプレイを始めたいと思います。
ロム:今日は完全に結社の一員として行動するのか……。
メリア:想い人が結社の手の内にある状態だからね。
グリーズ:諦めろ、それが現実だ。
ロム:くっ!!
GM:まぁまぁ、とりあえず今日のお話は結社の日常業務です。前回ほどダークさは無いので安心して下さい。
ロム:といいつつ、次回からさらにダークになる予定だろうな。
GM:………………。とりあえず前回と何か変わった所や、活性化させたアビリティを宣言して下さい。
ロム:僕はフェザーブーツを買ったから[裕福度]が赤貧になった。あと[性格]が1つ感情から理性寄りに動いた。アビリティは≪居合い斬り・基本≫≪居合い斬り・改≫≪居合い斬り・奥義≫≪矢返しの剣風・基本≫……と、前回と変わらないね。
GM:メリアは?
メリア:買い物とかはしてないからアビリティだけ……≪ブラックフレイム・基本≫≪ニードルスピア・基本≫≪スキュラフレイム・奥義≫、あと旅団アビリティで≪癒しの水滴・奥義≫を取って良い?
グリーズ:構わない。医術師がいない旅団だしな。
メリア:じゃあ≪癒しの水滴・奥義≫も活性化って事で。
GM:わかりました。ではグリーズ。
グリーズ:≪剛鬼投げ・改≫≪連撃蹴・基本≫。それだけだ。
GM:わかりました……。さて! すでに気がついていると思いますが、今日からPCが増えます!
ロム:新人?
GM:違います。3人ともあまりに真面目キャラなので、ちょっとは自由っぽいキャラが欲しいと思い参入して貰う事になりました。それでは自己紹介お願いします。


◆“嘆き尾”テール=クライス

テール:ボクの名前はテール=クライス。19歳の男性。種族はストライダーだけどネコの尾は見えないようにしているから、見た目は人間かな?
GM:ネコの種類とかはありますか?
テール:とある白猫の由緒ある一族の生まれなんだけど、ボクは運悪く斑模様でね。一族から忌み子として疎まれちゃってさ、6歳ぐらいかな? さすがに死にそうになった時に【キマイラ】のボスに助けられたんだ。
ロム:6歳……じゃあ結社には13年前からいるんだ。
テール:そうなるね。あの日は雨が降っててさ、巨大な猫の化け物が村を襲ったんだ。ボクの村は全滅、ボスが来なかったらボクも死んでいただろうさ。
グリーズ:猫の化け物……か。
テール:? ……性格は<自由>と<狡猾>が最大。個人主義で討論とか嫌い。クラスは吟遊詩人で両手に術扇を持つ二刀流。
GM:すでに他のメンバーと同レベルで作ってもらったと思うけど、アクセサリーとかは?
テール:ああ、猫の仮面ちっくなスカルヘルムを買った。顔の左半分を隠すようにつけてるよ。あと咎人のショールも買ったかな。
GM:了解です。
メリア:ねぇ、私は12歳だからテールは生まれた時からいるの?
テール:そうなるね。メリアはボスの娘だからお嬢様って呼ぶかな。お嬢様が冒険者になるまで、遊び相手兼護衛だったとか?
メリア:うん、わかった。
テール:じゃあ初期感情は「メリアへの憧れ(1)」と団長である「グリーズへの共感(1)」で行こう。活性化しているアビリティは≪眠りの歌・改≫≪華麗なる衝撃・奥義≫≪動物の歌・基本≫って事で。よろしく!




旅団名:『竜牙(ドラゴントゥース)』
旅団クラス:秘密結社
旅団ポリシー:非情
団長:グリーズ=ガラハッド
活性化アビリティ:≪癒しの水滴・奥義≫




キャラクター名:“ここにいる”ロマーリオ・レイズ(通称ロム)
種族/クラス:ヒト/武人(ウェポンマスター)
レベル:11
年齢(誕生日)/性別:17歳(7月7日)/男性
身長/スタイル:175cm/普通(瞳:黒 髪:漆黒 肌:黄)
生まれ:平和な地方都市で、危険とは無縁に暮らしていた
性格:
<理性□□□■□感情>
<狡猾□□□■□純真>
<秩序□□■□□自由>
<説得□■□□□戦闘>
<冒険□□□■□恋愛>
趣味:「家事」「ランニング」「水泳」
幸運度/裕福度:10/6
能力値:【体】46+3 【技】24+2 【心】28+2
装備:クレイモア、スティールチェスト、フェザーブーツ
感情:「自分への友情(3)」 「グリーズへの戦友(2)」 「メリアへの守護(1)」
決めセリフ:『僕はここにいる!』
キャラクター設定:
 大切な人を人質に取られ、結社に従う冒険者。真っ当な世界から闇の世界へと足を踏み入れた素人であり、結社の命令を正しいと思う事は無い。それでも命令に従わざるをえない状況にあり、その苦悩を抱えたまま非情な任務をこなす。本当に善良な青年なのである。


キャラクター名:“ライト・チルドレン”メリア・ハーミット
種族/クラス:エルフ/邪竜導士(ウロボロス)
レベル:11
年齢(誕生日)/性別:12歳(3月3日)/女性
身長/スタイル:127cm/繊細(瞳:緑 髪:金 肌:白)
生まれ:裏切りが日常の結社(※ルールブックでは街)で、生きる為にはなんでもやった
性格:
<理性□□□■□感情>
<狡猾□■□□□純真>
<秩序■□□□□自由>
<説得□■□□□戦闘>
<冒険□□□■□恋愛>
趣味:「礼儀作法」「動物知識」「植物知識」
幸運度/裕福度:6/7
能力値:【体】18 【技】26+2 【心】54+4
装備:琥珀の短剣、ヴァリアブルクロース、銀のタブレット
感情:「ロマーリオへの興味(3)」 「グリーズへの心の拠り所(3)」
決めセリフ:『絶対逢いに行くんだ……』
キャラクター設定:
 一度も会った事の無い母親に会うため、どんな任務もこなして来た組織のエリート。生まれた時から組織の為に教育されており、普通の生活を体験した事は無く、普通の友人もいない。組織のボスの娘であるが、心の底では普通の生活に憧れ、特に母子の関係に餓えている。


キャラクター名:“悲しまない”グリーズ・ガラハッド
種族/クラス:リザードマン/武道家(グラップラー)
レベル:11
年齢(誕生日)/性別:41歳(8月6日)/男性
身長/スタイル:190cm/筋骨隆々(瞳:青 ウロコ:赤茶)
生まれ:他の列強種族の領地と接した村で、戦いの恐怖に怯えながら育った
性格:
<理性■□□□□感情>
<狡猾■□□□□純真>
<秩序□□■□□自由>
<説得□□■□□戦闘>
<冒険■□□□□恋愛>
趣味:「労働」「隠匿」「採取」
幸運度/裕福度:11/8
能力値:【体】38+4 【技】36+1 【心】24+2
装備:格闘術、古闘衣、黒鋼のマフラー
感情:「自分への葛藤(1)」 「ロマーリオへの老婆心(3)」 「メリアへの信頼(3)」
決めセリフ:『それが現実だ』
キャラクター設定:
 かつて組織によって恋人を殺され、何もかもを失った男。生きる意味さえ失った時、残されていたのは組織に従う人生だけだった。現実主義者であり、組織の為なら仲間をも見捨てる非情さを持つ。任務において、常に自身が前線に立つ事が多い。


キャラクター名:“嘆き尾”テール・クライス
種族/クラス:ストライダー(白猫)/吟遊詩人(トルバドール)
レベル:11
年齢(誕生日)/性別:19歳(12月22日)/男性
身長/スタイル:176cm/繊細(瞳:灰 髪:灰 肌:白)
生まれ:裏切りが日常の街で生きる為に何でもやった
性格:
<理性□□□■□感情>
<狡猾■□□□□純真>
<秩序□□□□■自由>
<説得□□■□□戦闘>
<冒険□□■□□恋愛>
趣味:「歌唱」「噂話」「言いくるめ」
幸運度/裕福度:8/8
能力値:【体】20 【技】36+4 【心】38+6
装備:理力の鉄扇×2、蛇革の拘束服、スカルヘルム、咎人のショール
感情:「メリアへの憧れ(1)」 「グリーズへの興味(1)」
決めセリフ:『なら、どっちでもイイじゃない』
キャラクター設定:
 とある白猫の由緒ある一族に生まれたが、斑模様だったため忌み子として疎まれて育つ。6歳の頃、巨大な猫に里を滅ぼされ、その時【キマイラ】のボスに助けられる。その後、ボスの為に【キマイラ】へ忠誠を誓う。飽きっぽく気分屋だが、任務の達成率だけは高い。






■序章■

 今から12年前、私――メリア=ハーミットは闇の中で生を受けた。
 もっとも、生まれた瞬間の事など覚えてはいない。
 もし覚えていたとしたら、私はきっと今の自分にはなっていなかっただろう。
 生まれた瞬間の……お母さんの事を覚えていたのなら……。

GM:最初はメリアから始めます。キミが目覚めると木目模様の天井が見えます、そこは簡素なベッドの上です。
メリア:え? ゆっくりと体を起こす――ここは……?
GM:ベッドの傍で何かが動く気配がする。見ればノソリンのぬいぐるみを持った8歳ぐらいの女の子だ。キミが目を覚ますと無言で部屋を出て行きます。
メリア:あ、あれ……?
GM:そこでキミは気がつく、自分の名前しか思い出せない事に。
メリア:記憶喪失? 服とかは?
GM:村娘風の服ですが、あまりサイズは合っていませんね。
メリア:私は……いったい……。
GM:と、部屋にエルフの女性が入ってきます。
メリア:あの……。
GM:「大丈夫? 近くの川辺で倒れていたのよ? ずいぶんと水を飲んでいたから心配だったけど……」
メリア:えっと……はい、大丈夫……みたいです。
GM:女性はにっこり微笑み――「そう、良かった」
メリア:あの……これ――と服を。
GM:「あのままじゃ風邪引いちゃうと思って……乾かしているから今はそれで我慢してね」
メリア:……ありがとう、ございます。
GM:「あなた、お名前は?」
メリア:……メリア。
GM:「どこから来たの?」
メリア:……わからない。
GM:「お父さんとお母さんは?」
メリア:……わからない。――お母さんって言葉にズキっとして頭を押さえつつ――……ごめんなさい。私、どうしてココに? わからない……名前しか、何も思い出せない……。


■第一章■

 時は少しさかのぼる。
 全てを染める闇色の部屋。
 その暗黒の隙間をぬうように男の声が聞こえてくる。

GM:「来たなグリーズ」
グリーズ:は。
GM:「今回の任務だが……冒険者のキマイラ化について研究しているヤーブルカ=マンサーナという男が先日死亡した」
グリーズ:……それは、病気か何かで?
GM:「……お前が知る必要は無い」
グリーズ:申し訳ありません。
GM:「ヤーブルカには、エイプリルという1人娘がいる。その娘は父親の研究資料を持ったまま行方を眩ませた。我等はその資料を欲している」
グリーズ:GMに質問なんだが、ヤーブルカ=マンサーナって男は元結社の人間か?
GM:いや、何の関係も無い異端の研究者だ。ただ組織が目をつけていたって話。
グリーズ:了解。
GM:「我等はその娘がマルメラーデという街にいる所まで掴んだのだが、その娘は厄介な事に研究資料をどこか隠したらしい」
グリーズ:解りました。どのような手を使ってでも、その資料の在り処を娘から聞き出しましょう。
GM:「期待しているぞ。ただ……1つだけ問題がある。ヤーブルカに目をつけていたのは我等だけでは無い。【ヒュノプス】の奴等も同じだ、娘についても嗅ぎ付けていると思っていい」――【ヒュノプス】は【キマイラ】と敵対している組織です。正義の味方では無く同業者。向こうも悪の秘密結社です。
グリーズ:【ヒュノプス】が……やっかいな。
GM:「優先するのはヤーブルカの研究資料だ。やり方は任せる。どうしても口を割らぬのなら、さらって来ても構わん」
グリーズ:は。
GM:「マルメラーデの近くにベーグルという街がある。そこまで資料を持ってくるのだ。組織の人間が受け取りに行く」
グリーズ:運び屋? 旅団【山羊角(ゴートホーン)】とか?
GM:じゃあそれで(笑)
グリーズ:メンバーは先の任務と同じで宜しいですか?
GM:「いや、今回からアレも加える」
グリーズ:アレとは……まさかあの気分屋のあいつを?
GM:「上手く手綱を取ってくれたまえ」
グリーズ:少し眉をひそめて――命令とあらば。


■第二章■

 結社【キマイラ】がアジト。その一室に不釣合いな女性がベッドに横たわっていた。
 少々やつれてはいるが、その気品と美しさは僕の知る彼女と少しも変わりなかった。
 彼女……かつて湖の街オーシャの領主だったプリス=オーシャは、薬によってぐっすりと眠っている。
 ベッドの脇で見守る僕に、白衣の医者は神妙な面持ちで話しかけてきた。

GM:ではロムです。プリスの病状について組織の専属医者が説明します――「影法師殿の薬ではなく、この娘自体の持病が悪化している」
ロム:どういう……ことですか? プリスの病状が悪化したのは影法師の薬のせいじゃ……。
GM:「ああ、影法師殿が処方した薬のせいで、持病が悪化したのは事実だ。だが、その分を差し引いても持病の進行具合が悪い」
ロム:そんな!? それじゃあプリスは!!
GM:「そういきり立つな。死ぬとは一言も言っていないだろう。副作用は残るかもしれないが、ちゃんと治療をすれば、いずれは治る。安心しろ」
ロム:じゃあホッとしよう。その後冷たい瞳になって――言っておく。プリスが死んだら、僕はここを去る。
GM:医者はヤレヤレと言った表情を浮かべ――「ああ、解っているとも。ボスからもそう言われている……ただな、私も組織の一員の前に1人の医者だ。彼女の事は任せたまえ」

 次の日。
 再び彼女の部屋を訪れると、プリスはベッドから半身を起こしていた。
 慌てて近寄る僕だったが、プリスの異変に足が止まる。
 その瞳に……かつての光が無かったからだ――。

GM:「ロム? ロムなの?」――プリスは部屋の扉の方へ顔を向けて言います。
ロム:プリス……元気かい?――できるだけ明るく話しかける。
GM:「うん、ロムの声が聞けて良かった」
ロム:……!? もしかしてプリス、目が……?
GM:「う…ん…。お医者様のお話だと、急な心労が重なって病気が悪化したせいだろうって、病気が良くなれば視力も回復するから安心するようにって……」――と、プリスは俯くと、自然と手が宙を彷徨います。
ロム:手を握ってあげよう――大丈夫、僕はここにいるよ。
GM:プリスは少し安心してから――「うん……」
ロム:………………。
GM:では少し幸せな沈黙が続いた後(笑) プリスは聞いてきます――「ねぇロム、オーシャの街はどうなったの? 街の皆は大丈夫かしら?」
ロム:大丈夫。心配しないでプリス。オーシャは無事だよ。
GM:「そう……良かった。……ロムは? ロムは怪我してない?」――心配そうにロムの方を。
ロム:うん、僕は大丈夫だから――と、そっとプリスをベッドへ寝かせよう――それよりプリスは安静にしてなくちゃ。ここの病院のお医者様は信用できるから、まずはゆっくり休むんだ。
GM:「ごめんね……うん、そうする」
ロム:………………。
GM:「ねぇロム、私が元気になったら……一緒にオーシャに戻ろうね?」
ロム:ズキリと痛いな…でも声に影が出ないように笑顔で――そうだね。その時は一緒に街へ行こう。
GM:「…うん」
ロム:ああ、僕、そろそろ行かないと。
GM:「ロムは冒険者だものね……頑張って」――名残惜しそうに最後にロムの手を少しだけ強く握ります。
ロム:僕も少し強く握り返してから手を離す――ああ、また、来るから――と、部屋を出るとグリーズとメリアが待っているのかな?
メリア:うん。
グリーズ:そうしよう。では出てきたロムへ――覚悟は良いか?
ロム:……ああ。


■第三章■

 ジャムの街マルメラーデ。
 中央広場まで軒を連ねる屋台では、5軒に1軒が果物に砂糖を加えた保存食“ジャム”を売る店だ。
 この街の周囲では太陽の恵みを受けた、酸味の程よい果実が昔からたくさん取れる事で有名だ。
 おかげで、この街の名産品は果物各種のジャムで決まっていた。
 そんな屋台が連なる大通りを抜け、1人のストライダーが木陰で一休みと背を預ける。

テール:ボクはマルメラーデですでに任務についているって事でいいかな? 街の大通りをぶらぶらした後、木陰で一休みって感じで。
GM:OK。いいでしょう。ではキミが木に寄りかかって一息つくと――「相変わらずですね……あなたは」――と、後ろから呆れたニュアンスで影法師が声をかけて来ます。
テール:なんだキミか? でもキミが来ているということは、何か進展があったのかな?
GM:「その通りですよ。話だけはしていたでしょう? ロムという男が組織のメンバーに入る事が正式に決定しました」
テール:へぇ……あの子、ボスが気にかけている子だよね――とギリっと拳を。
GM:「ええ、街1つを潰す代償としては高い買い物の気もしますが……」
テール:ボスには考えがあるんでしょ? ボク達には及びも付かない考えがさ。
GM:「……その点については、私たちが詮索する事では無いですね。ただし、これから組織の任務を行うにあたってはロム自身を知る必要はある。だからあなたなのです」
テール:つまり、その子が信用できないってこと?
GM:「そう考える者も少なくないという事です」
テール:ふぅ……このボクがただの監視なんてねぇ。
GM:「そうぼやかないで下さいよ。これもボスの命令なのですから」
テール:はいはい、わかってますよ? それで、本来の任務もあるんだろう? エイプリルについて何か解ったのかい?
GM:ではグリーズにボスが話したのと同じ話をします。
テール:やっぱり、娘本人に聞かないと隠し場所は解らない……か。それに【ヒュノプス】まで動いているなんてね……援軍は旅団【竜牙(ドラゴントゥース)】だけ?
GM:「ブツを手に入れ隣街のベーグルに行けば旅団【山羊角(ゴートホーン)】と合流できます」
テール:へぇ、彼らまで出張っているんだ。【ヒュノプス】対策?
GM:「……でしょうね」
テール:一応聞いておくけど、その子の監視についてグリーズは知っているの?
GM:「いいえ、ロムの監視についてはあなた単独の任務です。グリーズ達は知りません」
テール:ふ〜ん、好きにして良いってわけか。
GM:「あまり、任務をかき回さないで下さいよ」
テール:ふふ、ボクを誰だと思っているのさ?――と言って消えましょう。
GM:「あなただから……忠告したのですがね……」――影法師がポツリと呟いた。


■第四章■

 記憶を失ったメリアに優しく微笑みかけてくれたのは、20代後半のエルフの女性だった。
 マザーレイド――そう自己紹介すると、マザーはメリアの手を引き外へと連れ出す。
 その暖かい手に、メリアは記憶に無い“誰か”を重ね合わせる。

GM:「私はこの孤児院『羽の家』の責任者です。大丈夫、あなたと同じぐらいの子供達もたくさんいますよ?」
メリア:びくびくしながらマザーについていく。
GM:ではマザーレイドとともに外に出てみると、庭では5歳〜14歳ぐらいまでの子供達が遊んでいます。
メリア:うう……怖い、怖いよ……。
GM:「記憶が無いから怖いのかしら……でも大丈夫、すぐに慣れるわ。それまでここにいて良いですからね」
メリア:みんなと一緒にいるのも嫌……。
GM:ではそうやってマザーレイドにくっ付いていると、1人の男の子が興味を持って近づいてきます。
メリア:マザーレイドに隠れる。……ノソリンのぬいぐるみを持っていた子?
GM:それは女の子です。じゃあ男の子と、ノソリンのぬいぐるみを持った女の子も一緒に来た事にしましょう――「マザー、その子は新しい子?」――男の子が聞きます。
GM:「ええ、そうですよ。名前は……」――とメリアにうながします。
メリア:……メリア。
GM:男の子は14歳ぐらいで――「そうか、オレはアップル。よろしくな!」
メリア:うなずこう。
GM:「こっちのノソリンを持っている方が……」――とアップルは促すけど少女は「………………」応えず、再びアップルが――「……エイプリルって言うんだ。無口なだけだから気にすんなよ?」
メリア:エイプリル?
GM:少女はうなずき、アップルが――「ほら、一緒に遊ぼうぜ?」――メリアの手を取ります。
メリア:ビクッ!?――マザーの足に抱き着いてから首だけ振り向いて――叩かない?
GM:「あったりまえだろ? なんでそんな事するんだよ」――バンバンとメリアの肩を叩いたり(笑)
メリア:ビクッ!?――なぜか凄い嫌な感じが頭をよぎります。
ロム:そこでエイプリルがボソっと――『それ、叩いてる』
GM:じゃあそれで(笑)――「ご、ごめんごめん。そういうつもりじゃなかったんだ。友達になろうぜ?」
メリア:マザーの方を見上げる。
GM:優しくうなずきます――「ここでは皆が家族ですから」
メリア:うん……よろしく。
GM:「ああ、宜しくな!!」「(エイプリルもうなずく)」
メリア:じゃあ、年齢より少し幼目な感じで遊ぼう。たぶん、凄い楽しいと思う。


■第五章■

 グリーズと僕は、結社で連絡を受けたとおり、約束の時間に所定の場所へとやって来ていた。
 情報が正しければ、ここでもう1人のメンバーと落ち合えるはずなのだけど……。

GM:ではジャムの街マルメラーデで、グリーズ達がテールと合流する場面です。街の正門から入って最初の並木道、その木の下が落ち合うポイントです。
グリーズ:ではロムと一緒に向かうか。
メリア:私は?
GM:いません。すでに“何かがあって”旅団から外れています。
ロム:じゃあ憮然としながらグリーズに後について行こう。
グリーズ:で、テールはすでにいるのか?
テール:いないいない。もう約束の時間だけどそこにボクはいないから。
グリーズ:いない……。
ロム:グリーズ、ここで何を?
グリーズ:4人目のメンバーと合流する手筈なのだが……。
ロム:4人目? ふ〜ん、そいつは時間とか守らないような奴なんだな。
グリーズ:ああ、時間どころか作戦だって無視するようなやつだ。もっとも、任務の達成率だけは桁外れに高いがな。
ロム:なんだよそれ、適当な奴だな。
テール:ハッハッハッ――足を枝にかけてグルンと逆さ向きでロムの目の前に現れよう――時間に遅れるわけ無いだろう? ボクを誰だと思っているのさ。そもそもキミは何?
ロム:グ、グリーズ。
グリーズ:ああ、これが今回一緒に任務を行う4人目。テールという男だ。
テール:2回転半華麗に着地。組織じゃ“嘆きの尾”って呼ばれてる。テール=クライス、宜しくね新人君――手を出そう。
ロム:あ、ああ、僕はロム、ロマーリオ=レイズ。宜しく――握手はしない。
テール:じゃあ強引に手を取って握手をしてあげよう。
ロム:苦手なタイプだ……。
グリーズ:同感だな(笑)
テール:そんな空気は無視し、少し見回してから――それで、メリアお嬢様は?
ロム:メリアは……と口ごもろう。
グリーズ:では何があったか回想シーンという事で(笑)
GM:では回想に入りましょう。

………………………………………………………………………………………………

ロム:メリアーーーーー!!!
GM:なんだ!?
ロム:いや、とりあえず叫んでみた(笑) まぁここに来る途中、崖崩れにあってメリアだけ崖下に転落した事にしよう。
GM:じゃあ、それで。
ロム:グリーズ! メリアが!!――と岩壁に捕まりながら。
グリーズ:GM、ここから街までの距離は?
GM:目と鼻の先です。【ヒュノプス】を警戒して人のあまり通らない山道を通っていた……って事で。
グリーズ:崖をよじ登って――先を急ぐぞ。
ロム:グリーズ!?
グリーズ:任務の方が優先される。メリアを探すのはその後だ。
ロム:……ああ――ギリっと噛んで――……わかった。
グリーズ:谷底は川だ。運が良ければ街に流れ着くだろう。それに幼い頃から組織の教育を受けてきたんだ。この程度で死にはしない。
ロム:でも、そういう子に限って、突然の事態には弱いじゃないか?
グリーズ:その程度で折れる矢なら、結社には必要無い……それが現実だ。
ロム:………………。

………………………………………………………………………………………………

テール:ふ〜〜ん、置いて来たんだ。
ロム:くっ――視線を外そう。
グリーズ:ああ、そうだ――俺は正面から見据えて。
テール:ふん、まぁいいや。でもお嬢様を見捨てたらボスからお咎めがあるんじゃない?
グリーズ:かもしれんな。しかし、それを心配するのは任務が終わってからだ。
テール:はぁ……そうだった。キミはそういう人だ。もっとも、こっちの新人君は少し不満があるみたいだけどね。
ロム:………………。
テール:ま、ボクはどっちが優先でもいいよ。そんな事よりご飯でも一緒にどう?
ロム:そんな事!? どっちでもなんて言い方!
テール:何? 非情なグリーズには怒れなくて、このボクの言い方には理不尽さを感じるのかい?
ロム:それは……。
テール:まずは落ち着きなよ? この街にはアイツ等も来ているかもしれないんだ。焦ったら負けちゃうよ?
グリーズ:そうだな、まずは拠点へ行こう。

 僕とグリーズ、そしてテールの3人は、大通りから2本、道を外した裏通りへと移動する。
 少しすると暗がりに溶け込むように看板を出す一軒の宿屋を発見した。
 どこの街にも、こういった店が居を構える場所は検討がつく。
 兼用になっている一階の酒場では、わけ有り顔の冒険者たちが酒を飲んでいた。
 かつて普通の冒険者だった頃は、情報収集以外ではお世話になった事はなかったのだが……。
 まさか、自分がこんな場所を常用する事になるなんて……。

グリーズ:適当なテーブルについてから情報を整理しよう。
GM:解りました。では適当に料理などが運ばれて来ました。
グリーズ:適当につまみながら、自然体で話始める――もう一度確認する。任務はヤーブルカ=マンサーナの研究資料。現物が手に入らない場合は、この街に逃げ込んでいるヤーブルカの娘エイプリルをさらう。
テール:さらうんだ(笑)
グリーズ:それを見越して動いた方が効率が良いだろう。
テール:なるほどね……それで、エイプリルの容姿についての情報は?
グリーズ:子供である事、女である事、それしか解っていない。
ロム:そうなの?
GM:グリーズの言う通りです。組織もヤーブルカを監視はしていましたが、娘がいる事まで知りませんでした。ヤーブルカは娘の存在を隠していたようです。事実、娘のエイプリルは父親と離れて学校に行っていたらしいです。
テール:ふぅ、それじゃあボクが調べていた時と殆ど進んでいないじゃないか?
グリーズ:そういうお前は、何か進展があったのか?
テール:それがあればキミらが来るまでに終わらせてるよ。
グリーズ:………………。
ロム:僕は立ち上がろう――こんなところで話し合っていても拉致があかない――酒場を出て行きます。
グリーズ:おいロム!
ロム:もう酒場を出て行きました。
グリーズ:……やれやれ。
GM:では酒場に残ったグリーズとテールは【技】の目標値8レベルで判定して下さい。
グリーズ:(コロコロ)……1、クリティカルだ。
GM:ロムが出て行ってすぐ、酒場の一角に陣取っていた男達が、ロムの後を追うように席を立って出て行きました。
テール:釣れた魚は大きいかな?――席を立とう。
グリーズ:さぁな、だがどんな大きさでも1匹は1匹、バラすわけにはいかんだろう――俺も席を立って後を追おう。


■第六章■

 ロムを付ける男達を尾行する事数十分、街にある学校や自警団の詰め所などを数件回った所で、男達が今までと別の動きを見せる。

ロム:いると思ったんだけどな……――街の地図にバツ印をつけよう――次はここか……。
GM:ではしらみ潰しに調べまわっているロムは、【心】の目標値8レベルで判定して下さい。
ロム:(コロコロ)……駄目だ、4レベル。
GM:ではロムは何も気がつきません。では男達をつけていた2人も【心】で判定して下さい。
テール:(コロコロ)……4レベル成功。
グリーズ:俺は8レベルだ。
ロム:じゃあ僕は別の場所へ向かおう。
GM:そこでロムを追っていた男達が違う動きをします。判定に成功したグリーズ達は解ってかまいません。男達はロムが向かっていった方向とは別方向に走って行きます。
グリーズ:動いたな。
テール:どうする? 罠かもよ?
グリーズ:お前はロムを頼む、俺は奴等を……。
テール:りょーかい。

 男達が向かった先は裏路地だった。
 数箇所も辻を越えた辺りで、すでに周囲は薄暗い路地へと早変わりしている。

グリーズ:やはり……罠か?
GM:どうしますか? 男達はどんどん暗い方へと進んで行きますが?
グリーズ:下手に行って殺されるのは馬鹿のする事だが……もう少しだけつけるか。
GM:と、路地を曲がった所で男のうち1人がしゃがみこんで靴紐を直しています。グリーズは【心】の目標値4で。
グリーズ:(コロコロ)……4レベル!
GM:上から何かが降ってきます! 【技】の4レベル成功!
グリーズ:回避する!(コロコロ)……2! 【技】で8レベル成功だ!
GM:ちっ、避けられたか。先ほどまでグリーズがいた場所にネットがバサッとかかります。そして前からも後ろからも2人ずつ男が現れ、計4人に囲まれます。
グリーズ:ほう。
GM:「そちらの知っている事を全て教えてもらおうか……【キマイラ】が戦闘部隊【竜牙】旅団の団長よ」
グリーズ:知っている事だと? ふん、貴様等と同程度さ。しかし、ヤーブルカを殺ったのは失敗だったな――カマをかける、もしかしてウチの奴等がやったのかも知れないけど(笑)
GM:「娘が怖がり従うと思ったのだがな……恐怖や悲しみでは絶対に口を割らぬ」
グリーズ:おかげで我等にもチャンスが来たというわけだ。
GM:「ふん、余裕を出すのも今のうちだ。貴様には何度煮え湯を飲まされた事か、ここで引導を渡してやる。1人になったのは失敗だったな」
グリーズ:………………。
GM:戦闘に入ります。こちらの【ヒュノプス】戦闘員は、「待ち伏せに成功した」「相手を包囲した」で[戦略ポイント]+8点貰います。
グリーズ:こっちは1人か……せめて「絶対に負けられない」が欲しい――たった4人でこの俺をなんとかできると思っているのか?……現実を知れ!
GM:いいでしょう。そっちに+2で差し引き、こちらのNPC達が+6点貰います。

◆イニシアチブ◆
[1]グリーズ(46)
[2]戦闘員×4人(33)

グリーズ:背後の1人に攻撃! リザードマンの尻尾がただの飾りだと思うな?――≪連撃蹴・基本≫……2レベル成功!
GM:【技】でカウンターを宣言(コロコロ)……8レベル成功。グリーズに33点ダメージ。
グリーズ:くっ!
GM:戦闘員の1人がグリーズの尻尾を押さえつけます――「今だ、やれ!!」――【技】の(コロコロ)……2レベル成功。
グリーズ:(コロコロ)……8レベルで回避。
GM:2人目……2レベル成功。3人目……2レベル成功、4人目……よし、8レベル!
グリーズ:(コロコロ)……(コロコロ)……(コロコロ)……4レベル、8レベル、2レベル。最後だけ当たったか。
GM:ダメージは33点だ――「さぁ、負けを認めて命乞いをするなら助けてやらんでも無いぞ」
グリーズ:ちっ、思ったより腕が立つな。もう少しで負傷に入りそうだ。
メリア:負傷に入ると治らないよ? 回復アビを活性化している私が記憶喪失中だし(笑)
グリーズ:確かに……戦況はどう見ても不利か。逃走を試みる!
ロム:さっきまで強がってたのに?
グリーズ:プライドなど任務のための飾りに過ぎん。突破扱いで良いか?
GM:どうぞ[幸運度]チェックして下さい。
グリーズ:じゃあ「ハアアァァァッ!!」――と気合を溜める振りをして、グリモアエフェクトで輝く!(コロコロ)……――自分で1か(笑) そのまま近くの壁を殴り壊して逃走!
GM:「なっ! どこだ!」「逃がすな! 追え、追えー!!」


■第七章■

 マルメラーデの大通り。
 色とりどりの屋台が並び、店先には宝石のように輝く蜜液を詰めた瓶がキラキラと置いてある。
 マザーから買い物を言われたアップルが、いまいち他の子と仲良くなれないメリアを誘い買い物に来ていた。
 メリアは街の景色に右へ左へ大忙しだ――
「世界はこんなにも賑やかで明るいものなのだったのかな?」
 ふと……そんな事を思ってしまう。記憶が無いせいだろう、何もかもが珍しかった。

メリア:物珍しそうに付いていく。すっごいキョロキョロしてる。
GM:「この街はジャムが有名なんだぜ?」
メリア:ジャムって?
GM:「ジャムを知らないのかよ? ほら、屋台でも瓶詰で売ってるだろう?」
メリア:美味しいの?
GM:ニヤリと笑って――「ま、1つぐらいいっかな……なぁ何味が良い?」
メリア:何があるの?
GM:「なんでもあるぜ?」――ちょっと自慢気に(笑)
メリア:……わかんない。アップルの好きなので良い。
GM:「?……じゃあおばさん、リンゴのジャムくれよ」「あいよ」
メリア:やっぱリンゴなんだ(笑)

 琥珀色のリンゴのジャム。
 それは、今まで味わった事が無いような甘さで、それでいて酸味がわずかに後味をさっぱりさせる。

メリア:美味しい。アップル、これ凄いよ!
GM:だろ?――アップルはご満悦です。
メリア:じゃあ調子に乗ろう――ねえ、あれはどんな味なの? これは?
GM:「なんだいお嬢ちゃん。買うのかい?」
メリア:うん♪ それにアレとソレとコレも♪
GM:それはアップルが慌てます――「いや、そんなにいっぱいは……」
メリア:すでに腕いっぱいにジャムの小瓶を抱えながら――見てアップル、これ凄い綺麗……どんな味かな?
GM:……アップルは半ばメリアに押し切られるまま、買い物で無駄遣いをしまくった事にしましょう。
メリア:最後には必要なものが買えなくなったり?
GM:そんな感じです。
メリア:じゃあ興奮も冷めてから――ごめんね、マザーに言われたもの買えなくなっちゃったね。
GM:「んん……まぁいいさ。マザーもメリアが元気になってくれた事の方が喜んでくれるだろうし」
メリア:それはちょっと……恥ずかしい――ねぇアップル。アップルはここの生まれなの?
GM:「オレ? いや、オレは違うよ。もっと……別の街にいたんだ……」
グリーズ:というか孤児院だろう?
テール:言うなればアップル以外もみんな違う街出身じゃ……。
メリア:あ。
GM:アップルは少し遠くの目をしてから――「そうだ。メリアって買い物とかしたことなかったの?」
メリア:……わからない。記憶がなくなっているから……本当はあるのかもしれない。でも、食べ物に不自由はしなかった気がする。
GM:「ふ〜ん、メリアってどっか良い家のお嬢さんだったのかもな」――と(笑)
メリア:うん……かもしれない――と微笑む。
GM:と言ったところで【心】で気配察知をして下さい。目標は2レベル。
メリア:(コロコロ)……8レベル成功。
GM:なにやらこっちに走ってくる気配がします。【技】の4レベルでどうぞ。
メリア:(コロコロ)……2レベルだ。
GM:ではメリアは突き飛ばされます――「じゃまだ!!」
メリア:キャッ!?
GM:「ちっ、どこに行きやがった! あのトカゲ野郎は!」「おい、こっちを探すぞ!」「ああ、わかった」――4人組の男のようです。男達はメリアに目もくれずそのままいなくなります。
グリーズ:俺を追っている奴等か。
GM:アップルは――「メリア、大丈夫?」
メリア:う、うん……。
GM:「ったく、程度の低い冒険者達は困るよな」
メリア:冒険者?
GM:「グリモアの加護を得たすごい奴等なんだけど……なかにはさっきみたいにガラの悪い奴等もいるんだ」
メリア:グリモアの加護……それって凄いの?
GM:「……まぁ、そりゃそうさ。アビリティだって使えるし……そうだ。ちょっと見てて」――と枝と小石を拾うと、小石を宙に放って――≪スピードラッシュ・基本≫を枝で発動させます。小石は地面に落ちる前に粉々です。
メリア:すごい!!
GM:アップルはちょっと照れます――「昔、オレも親父と一緒に希望のグリモアに行ったんだ」――昔を懐かしむように……ちなみにアップルの冒険者レベルは1です。
ロム:メリアの方がよっぽど強いじゃないか。
GM:「いつか、この世界を見て周りたいんだ。マザーに恩があるから今は無理だけどさ」
メリア:じゃあ私は純粋な気持ちで――アップルは凄いね、きっといつか世界を見て周れるよ。


■第八章■

 その日、僕はメリアについてもエイプリルについても、何の情報も得ぬまま宿屋へ引き上げる事となった。
 正直、人探し程度ならここに足を踏み入れる前に、何度かやった依頼だったが……。
 やはり勝手が違うのだろうか。
 夕飯時にテールと合流し、食事をとる。
何も言わない所を見るとテールも空振りだったらしい。
偉そうな事を言っていたが、結果が同じなら僕と同じだ。
そして、そろそろ就寝という時間――

グリーズ:部屋の扉を開けボロボロになった俺が入って来よう。
テール:うわぁ、ひっさーん(笑)
ロム:あまり見ないようにしてあげよう。
グリーズ:………………。
テール:団長なのにかっこ悪いなぁ。
グリーズ:傷の事は説明しよう。【ヒュノプス】の4人については2人にも知ってもらいたいしな――と、いう事だ……お前達も気をつけるのだな。それよりエイプリルはどうした。
ロム:エイプリルの手掛かりは無かったよ。
テール:大通りとかメインで調べたんだけどね、こっちも手掛かりゼロ。
グリーズ:そうか……。
テール:でも……メリアお嬢様なら可能性のある場所があるよ?
ロム:えっ! 本当に!?
テール:ああ、本当さ。町外れに住んでいる人が、ずぶぬれの少女を背負った女性を見たっていう噂だよ。
ロム:ずぶ濡れって……メリアが川に落ちたから!
テール:だろうね? 一応、その女性が来た方向を確かめたけどちゃんと川もあった。メリアお嬢様が落ちた川と同じだったよ。
グリーズ:それで、その女性というのは?
テール:町外れに「羽の家」って言う孤児院があるらしいんだ。そこで孤児達の親代わりをしているマザーレイドって女性らしい。
ロム:そこまで解ってたなら、夕飯前に教えてくれれば!!
テール:聞かれなかったからね? それに、自分で調べが付かなかった事を、ボクのせいにされてもね。
ロム:ぐっ――黙ろう。実際に判定に失敗したのは僕だしなぁ(笑)
テール:ボクも趣味の「噂話」でなんとか成功した状態だったから、あんまり偉そうな事は言えないけどさ(笑)
ロム:とりあえずテールに対しては憮然としていよう。
テール:そんなロムを(面白いなぁ)と。
グリーズ:……よし、今夜は【ヒュノプス】の目もある。明日の昼間にそこを訪ねる。いいな。


■第九章■

 太陽の光が眩しく降り注ぐ「羽の家」の庭で、メリアとアップルの2人がボールの投げっこをしていた。
 メリアは不思議に思う。ただ投げたりするだけなのに、なんでこんなにも楽しいのだろう……と。
 そして、楽しいと共にメリアは感じていた。それとは別の感情があることを……。
 それは――
 初めてする事への感動と新鮮さ……。
 しかし、その感情を肯定すると、メリアの疑問はさらに大きくなる。
 記憶を失う前の私は、こんな簡単な事さえした事がなかったのだろうか?……と――

GM:では次の日です。時刻は昼間、羽の家の庭で子供達が遊んでいます。
メリア:じゃあアップルが変なところにボールを投げて、私がそれを取りに行きます。ボールは転がって孤児院にやって来たグリーズ達の足元へ。
グリーズ:ガッ!とボールを足で踏みつける。
メリア:取りに行ってグリーズを見上げよう。
GM:そこにはネコのストライダーと、見上げる程のリザードマン、そしてヒトの青年がいます。
グリーズ:メリア、何を遊んでいる。
メリア:え?
テール:そうですよメリアお嬢様、こんなところで何を遊んでいるのですか?
ロム:良かった……無事で。
メリア:えっと……――3人の顔を見回してから、さも不思議そうに聞きます――……あなた達、誰?
ロム:………………。
グリーズ:メリア、俺たちが誰だか解らないのか?
GM:ではアップルが来ます――「なぁメリア、どうしたんだよ?」
グリーズ:ああ、この孤児院の子か? 責任者に会わせてもらおうか。
GM:アップルは胡散臭そうに――「なんだよお前等、何をしに来た!」
テール:メリアお嬢様を引き取りに来たんだよ、ボク?
GM:「メリアを?」――アップルはメリアの方を見ます。
メリア:横に首を振る――知らないよ、こんな人たち。
テール:やれやれ……っていうジェスチャーを(笑)
グリーズ:とりあえず、ここの責任者を出してもらおうか。
GM:するとノソリンのぬいぐるみを持ったエイプリルが、無言でマザーレイドを連れて来ます――「どうなさいましたか? 冒険者の方がこのような場所に何か用でしょうか?」
グリーズ:子供とはぐれてしまってな。もし良ければ話を聞いてもらいたい。
GM:「……わかりました、どうぞ中へお入り下さい。ここでは子供達が脅えます」――遠巻きに遊んでいた子供達がビビってます。
テール:グリーズは強面だからなぁ(笑)
グリーズ:………………。
GM:では羽の家にある唯一の応接間へ通されます。
グリーズ:そこに入る前に――ロム、お前はいい。外で待っていろ。
ロム:どうして。
グリーズ:視線で子供達を指す。
ロム:なるほど……――わかった。

………………………………………………………………………………………………

GM:ではグリーズとテールがマザーレイドと共に応接室に入ります。ロムはどうしますか? 場所は応接間前の廊下かな。
ロム:メリアは?
メリア:またアップルと庭にいるよ?
ロム:そうか、近くにはいないのか……どうしようかな。近くに孤児院の子供とかいない?――グリーズは子供達から情報収集しろって言いたかったんだろうし。
GM:じゃあノソリンのぬいぐるみを抱えた少女がジッとロムを見つめていよう。
ロム:えっと……こんにちは、僕はロム。キミは?
GM:少女は近くに来ますが――「………………」――答えませんね。
ロム:う〜〜ん……。……あ、そうだコレをあげる――と途中で買っておいたジャムをあげよう。
テール:そんなの買ってたんだ。
ロム:街で情報を集めている途中にね。
GM:じゃあ少女はジャムを受け取ります。
ロム:あのさ、ちょっと聞きたいんだけど……メリアはこの施設に馴染んでいるかな?
GM:コクンって頷きます。そうするとロムの手を引いて外に出ます。そこでは庭でアップルと遊んでいるメリアがいます。
メリア:すっごい楽しそうに、それはそれは生き生きと(笑)
ロム:メリア……。
GM:少女は無言でロムを見上げ、再びメリア達へ視線を戻します。
ロム:僕はグリーズ達の交渉が終わるまで、メリアのそんな幸福な光景を眺めているかな。
メリア:じゃあ少し経って、ロムがいる事に気が付き私が駆け寄ります。
GM:それは心配してアップルもやってくる。アップルはロムに対して敵対心バリバリだね。
ロム:僕が何かしたかなぁ?
テール:アップルはメリアを連れて行かれるとか思ってるんじゃないかな?
GM:そんな感じです(笑) まぁそんなアップルに対してぬいぐるみを抱えた少女が――「ジャムくれた。良い人」――と間に入ります。と言うわけで、話があるならメリアどうぞ。
メリア:じゃあ――あの……あなたは、私の事、知っているんですよね?
ロム:本当に……記憶が?
メリア:こくりと頷いて――私、川で流されて来たところをここのマザーに助けられて……。ごめんなさい。
ロム:……そうか。
メリア:あの、私はお兄さんと一緒に、何をしていたんですか? 私、このままマザー達に迷惑をかけ続けるわけには……。
ロム:何をしていたか……か――グリーズ達が何を話しているか知らないけど……僕が言いたい事、言ってしまっていいかな?
グリーズ:好きにしろ。
テール:その結果がどうなろうとキミが責任を取るのならね。
ロム:わかった。……しゃがんでメリアに視線を合わせて言う――ねぇ、キミは今記憶をなくしてこの「羽の家」にいる。ここで暮らすのは苦痛かい?
メリア:それは……皆が居てくれて、楽しいけど……でも、迷惑じゃ……。
GM:「そんな事あるかよ!」とアップルが言い、エイプリルも首を横に振って否定します。
ロム:じゃあそれを見て――なぁメリア、それならそれでいいじゃないか。
メリア:え、でも、私の事……。
ロム:ごめん、よく見たら人違いだったみたいだ。僕が探していたのはキミじゃない。
メリア:そう……なんですか?
ロム:ああ、キミの力になれなくってごめん。僕の仲間にもそれを伝えないといけないな――と言って立ち上がり応接間へ行こう。
メリア:ちょっと残念そうにうつむく。
GM:じゃあアップルが――「元気出せよメリア! いつか本当に記憶が戻る日がくるって!」
メリア:そう……かな?
GM:「そうさ! よし、今度はエイプリルも加われよ。3人で遊ぼう」――その言葉と共に、アップルはメリアとエイプリルの手を引いて行ってしまいます。
ロム:僕は応接室へ行く途中で、アップルの声を聞いて立ちすくもう――あの少女が……エイプリル?
GM:もう子供達3人はいません。――と、その辺りでグリーズ達が応接間から出てきて合流しよう。
グリーズ:どうした……ロム。
ロム:え、あ、いや……なんでもない。……それより、そっちはどうだった?

 ※グリーズとテールは実際にマザーレイドと交渉しましたが、リプレイではカットされています。

グリーズ:いや、メリアが記憶を失っている事は確かだが、我等がメリアと知り合いである証拠を出さぬ限り渡せないとの事だ――歩きながら話そう。すでに「羽の家」から出て裏路地を歩いている感じで。
ロム:はぁ?――普通に疑問系で。
テール:簡単に言って、ボク等は怪しいってさ(笑)
ロム:……それには黙ろう。
グリーズ:それに――と、ここからは小声で――あのマザーレイドとか言う女、相当の実力者だ。一対一なら俺でも勝てるかどうか……。
ロム:チラリと遠ざかる「羽の家」を見よう――それでも、僕らは僕らの目的を果たすしか無いんだ――グリーズ達にエイプリルの事を話します。


■第十章■

 深夜。僕らは漆黒の闇に紛れて「羽の家」へと向かう。
 目標はエイプリル。
 メリアについては任務が終わってから処理する事になり、まずは目標の確保が最優先とする。
 最重要事項である書類の奪取はエイプリルを確保後、【ヒュノプス】の妨害範囲外へ脱出してから考慮。
 効率と優先順位。グリーズの言う作戦行動について、僕は反論することはなかった……。

GM:では3人して羽の家に向かっていると――【心】の目標2レベルで判定して下さい。
全員:『(コロコロ)……成功』
GM:では「羽の家」に近づいていくと、道の先に3人ほど待ち伏せしている気配です。
テール:ねえ。
グリーズ:ああ、向こうもすでに居場所をかぎつけていたか。振りかかる火の粉は払うまでだ。
ロム:騒ぎが起きると、気がつかれるんじゃないか?
テール:騒ぎが起きたら、眠ってもらえばいいだけだろう?――察し悪いなぁと。
ロム:………………。
グリーズ:たぶん待ち伏せているのは【ヒュノプス】だろう。目的は俺達と同じ……先制して殲滅する。
テール:エイプリルの方は?
グリーズ:お前が行け。ここは俺とロムだけで十分だ。
ロム:待ってくれ! 行くのは僕が行く。
テール:グリーズを見よう。
グリーズ:いいだろう。エイプリルの確保はロム、お前に任せる。俺とテールは気が付かない振りをしてギリギリまで近づき奇襲をかける。ロムはそのスキに「羽の家」へ行け。
ロム:ああ。
テール:いいのグリーズ? 新人にそんな重要な任務を任せちゃってさ?
グリーズ:ふん……ロム、1つだけ言っておく。お前が失敗した場合、【ヒュノプス】を殲滅後に俺達も突入する。その場合、中にいる一般人の命は保証せんぞ――獰猛に牙を見せてニヤリ。ここから一気に【ヒュノプス】達に奇襲する!
テール:なるほどね……頑張りな、激甘な新人君♪――と言って僕も奇襲に入ろう。
ロム:くそっ!――毒づいてから「羽の家」に走る!


◆イニシアチブ◆
[1]グリーズ(42)
[2]ヒュノプス戦闘員×3(41)
[3]テール(23)

GM:【竜牙】旅団が[戦略ポイント]6点って所かな。
グリーズ:では普通に歩いていると思ったら突然トップスピードで戦闘員の背後から≪連撃蹴・基本≫(コロコロ)……8レベル成功!
GM:回避(コロコロ)……1、8レベル成功でガード発生。グリーズの蹴りを受け止めます――「来ると思っていたぞ」
グリーズ:ちっ、なかなかやるな。
テール:グリモアエフェクトで≪眠りの歌・改≫(コロコロ)……――グリーズの5が一番低い。【心】の8レベル成功。
GM:(コロコロ)……(コロコロ)……――くそ、2人1レベル成功で眠ったか!?
テール:ロムを見送ろう。
ロム:もちろん、羽の家に向かって走る!!

………………………………………………………………………………………………

 【ヒュノプス】の戦闘員たちをグリーズ達に任せ、僕は一気に「羽の家」へと疾駆する。
 風だけが吹き抜ける庭を抜け、そのドアの前までやってくると音を立てないように内部を伺う。
 そして――

GM:ではロムは【技】で判定して下さい。目標レベルは8です。
ロム:高いよ(笑)……無理、4レベル。
GM:何も気が付きません。
ロム:??? じゃあそっと扉を開けて中へ。
GM:ロムが中に入ると目の前に巨大な剣(アウトレイジ)が迫ってきます。
ロム:それに気が付くかどうかの判定か! 4レベルで失敗したから当たるしかない?
GM:そうだな(コロコロ)……うむ、ギリギリ寸止め。ロムの首の皮1枚を切り裂いて剣はストップします。
ロム:グっ!?
GM:「キミは?」
ロム:あ、いえ、守りに……――もしかしてマザーレイド?
GM:「守りに……なら外の方をお願いします」――ぐるんと巨剣を肩に担いで、マザーレイドはにっこりと微笑みます。
ロム:こ、怖……。ずずっと入り口へ戻る。そしてそっと扉を閉める。グリーズ達のところへ――たぶん、今の僕じゃあの人には勝てない……。

………………………………………………………………………………………………

テール:まったく、助けてくれなんて言ってないだろ。
グリーズ:馬鹿を言え、お前はまだ任務に必要だ。ここで倒れてもらうわけにはいかない。
テール:だからって[かばう]必要なんてなかったのに……ぶつぶつ(笑)
ロム:じゃあそこに戻ってくる。
GM:グリーズとテールの足元には、【ヒュノプス】の戦闘員が全員ぶっ倒れています。
グリーズ:ロム、何かあったのか?
ロム:いや、マザーレイドに気がつかれていた。僕1人じゃ……たぶん、無理だ。
グリーズ:それでおめおめ逃げてきた……か。
ロム:責めてくれて構わない。でも――と「羽の家」を見よう。
グリーズ:いや、責めはしない。あのマザーはかなりの実力者だ。ここで【ヒュノプス】と戦っていたのが、仇となったか……。
テール:どうするのさ?
グリーズ:一度出直す。あのマザーレイドがいる限り、家を襲撃するのは危険だ。
テール:あ〜〜あ、間抜けだなぁ。傷付いただけ損じゃないか? 僕はもう宿屋に戻るからね。
ロム:心の中で、あのマザーレイドがいる限り、メリア達は無事だろう……と思って安心する。
グリーズ:さて、作戦を変えるしかないな。


■第十一章■

 朝、今日も一日の平和を告げる朝日が昇る。
 メリアは時間ぴったりに起き出すと、顔を洗ってから台所へ……。
 そこではマザーレイドが子供達のために朝食の準備をしている所だった。
 メリアは何も言わず横に並ぶと、料理の手伝いを始める。
 それが、ここに来てからのメリアの日課だった。

GM:ではメリアが手伝っている横で、マザーレイドが――「あら、このままじゃパンが切れちゃうわ? 朝ご飯のあと、誰かに買い物に行ってもらいましょうか?」
メリア:じゃあ私が行きます。
GM:「う〜〜ん、ではお願いしますね」
メリア:はい♪――と、言いつつも誰か一緒に来て欲しいんですが(笑)
GM:ふむ……では、1D6を振って1と2ならアップルが、3と4ならエイプリルが、5ならマザーレイドが、6なら皆忙しくて1人でって事で。
メリア:(コロコロ)……3。
GM:ではメリアとエイプリルは朝食後に買い物に出発です。エイプリルはいつものぬいぐるみを抱えてメリアの横を歩きます。
メリア:ねえエイプリル、そのノソリンのぬいぐるみ……。
GM:「……駄目」――ぎゅっと胸に抱きます。
メリア:別に取ったりしないよぉ。……それ、大切なものなの?
GM:こくりと頷く。
メリア:そっか……わかるよ、なんとなくだけど……私にも、大切なものがあったと思うから――自然と胸元に手がいくけど、そこには何も無いのを確認して不思議に思う私。
GM:エイプリルはそんなメリアの手をとります。
メリア:じゃあ手を繋いで一緒にパン屋に行こう。
ロム:パン屋に行くと僕が居ます。
メリア:じゃあちょっと背の高いところにある袋詰の食パンなんかを取ろうとしよう。
ロム:はい、どうぞ?――と取ってあげた。
メリア:ありがとう……あれ? お兄さんは昨日の。
ロム:また会ったね。今日はあの男の子は一緒じゃないの?
メリア:今日は私とエイプリルが買い物当番なの。
GM:じゃあ買い物終わりました。
メリア:じゃあね〜〜♪
GM:エイプリルもロムに手を振ります。
ロム:じゃあ2人がパン屋を出た後、どこかで見ているテールに合図を送ります――チャンスだと。

………………………………………………………………………………………………

 「今日は何をして遊ぼうか」「夕飯はきっと……」――他愛の無い話をして通りを帰るメリアとエイプリルだったが、その2人の前に1人のリザードマンが立ち塞がる。

グリーズ:すぐ傍に、路地裏へ通じるわき道がある場所で、メリア達の前に現れます。
メリア:あ、あなたは!?――エイプリルを後ろに庇います。手を引いてグリーズから逃げ――
テール:挟むように後ろに登場。
メリア:止まる――何、あなた達!
グリーズ:今日はお前に用があってきたわけじゃない、後ろにいるエイプリルに聞きたい事があってな。
GM:エイプリルはメリアの手を握ります。
メリア:何よ!
グリーズ:エイプリル、お前の父親が殺された時、お前は何かを預からなかったか?
メリア:エイプリルは?
GM:ぬいぐるみを抱えて震えています。
メリア:知らないよ!
グリーズ:知らなくはないさ。その為に俺達はやって来た。
テール:それに、その預かったものは危険な奴等に狙われているんだ。そのままキミが持っていると、「羽の家」の皆にも迷惑がかかる……わかるかい?
GM:エイプリルはビクっと。
メリア:駄目だよ、例えそうだとしても……だからって、親からもらった大切なものを渡すなんて、できるわけない!――私は自分でもわからないけど凄いムキになる!
グリーズ:大切なもの? 何か勘違いをしていないか? 渡されたものはただの書類だ。大切な思い出が詰まった何かでは無い。
メリア:それは……。
グリーズ:俺達が言った事は本当だ。お前達は知らないだろうが、昨夜も「羽の家」を狙って襲撃者がやってきていた。このままなら……今夜も来るだろうな。
メリア:どうしてそんな事が言えるのよ! そんなの……信じられるわけ……。
GM:エイプリルが危険を感じ取って、メリアの手を引いて逃げます。
グリーズ:逃げる場所は脇道から路地裏に入るしかない。
メリア:……そうだよねぇ……エイプリルと一緒にそのまま脇道へ、路地裏を走る!
グリーズ:大通りから路地裏に入って少しの間はゆっくり走り、程よく離れた所で本気ダッシュ!
テール:そうだね、遠慮無く回り込もう。メリアお嬢達の目の前にストンと降ります。
メリア:来ないで!!
テール:父親から教えられた書類の隠し場所、もしくは書類そのものを渡してくれるなら、手荒なまねはしないさ?
メリア:そんな事――
GM:と、エイプリルはメリアの手を離してグリーズの元へ歩いていきます――「一緒に行く、メリアは助けて」
グリーズ:約束しよう。もちろん「羽の家」にも手は出さない。
メリア:エイプリル!!
GM:エイプリルは優しくメリアを見つめます。
メリア:エイプリル……。
グリーズ:エイプリルを気絶させて抱えよう。そのまま路地裏の闇へと去っていく。
テール:僕はメリアお嬢様の前に立ち塞がります。
メリア:エイプリルを返して!!
テール:メリアお嬢様、僕達はこれからベーグルへ向かいます。もし記憶が戻ったら追いかけて来て下さい。
メリア:何をッ!
テール:もし記憶が戻らないようなら、その数日の間はマザーレイドの近くを離れないように。
メリア:えっ……。
テール:じゃあクルンとバク転すると共に闇の中へ。
メリア:なんで……――とボウっとしてからハッとして、急いで「羽の家」に戻ります。

………………………………………………………………………………………………

GM:マザーはメリアの話を聞くと――「街で冒険者を雇って、誘拐犯を捕まえます」――と「羽の家」から出かけていきます。
メリア:私は?
GM:もちろん、お留守番です。
メリア:……じゃあアップルに全部話しちゃう。
GM:「そんな……オレのせいだ、オレが――」
メリア:違うよ、エイプリルと一緒にいたのは私だもん。私がいたから……エイプリルは何も抵抗せずに捕まって……。マザーは冒険者に頼むって言ってたけど、私は助けに行きたい。
GM:「馬鹿! お前1人で何ができるって言うんだよ!」
メリア:でも!
GM:「オレも行く。オレも一緒に行くよ。2人でエイプリルを助けだそう」
メリア:アップル……。
GM:「オレだって冒険者だ! 友達を助けるためなら命だって惜しくない! ちょっと待っててくれ、準備してくる」
メリア:うん……ありがとう、アップル!


■第十二章■

 【竜牙】旅団の3人は、早々にマルメラーデを発ち、ベーグルまであと1日というところまで来ていた。
 そこは、街道沿いの宿場町。
 エイプリルは何も言わず、何も語らず、ただただ無言でノソリンのぬいぐるみを抱えていた。

GM:宿場町があります。ここで一夜を明かして山を越えればベーグルです。
グリーズ:では宿屋の部屋を2つ(グリーズの名前と、偽名で)取って、寝るまでに一度エイプリルとゆっくり話しておこう。
GM:エイプリルはぬいぐるみを抱えたままだんまりです。ロムの方へとちょっと恨みがましい視線を向けます。
ロム:………………。
テール:ロム、何かやったのかい? ボクやグリーズとは別の意味で恨まれてない?――からかうように(笑)
ロム:別に……。
グリーズ:エイプリル、このままだんまりを決め込むのなら、俺達はお前を組織まで連れて行く事になる。だが、そうなればどんな辛い仕打ちが待っているかわからん。父親の資料の在り処を、ここで話しておいた方が良いぞ。
GM:「………………」
テール:ここで話してくれたらキミの事は、ここで解放する。マザーレイドのところへ無事帰れる。悪い条件じゃないと思うけどね? ま、ボクはキミが話そうが話すまいがどっちでも良いけどさ?
GM:「………………」
グリーズ:いいだろう。何もしゃべりたくないのなら口を閉ざしていれば良い。だが、待っているのは辛い闇だ。明日はまた早い、さっさと寝るのだな。

………………………………………………………………………………………………

GM:それでは宿場町で泊まった夜。全員【心】で気配感知の判定です。目標は2レベル。
全員:『(コロコロ)……成功』
GM:エイプリルがベッドから起き出します。
ロム:どうしたんだい?――起きて声をかけよう。
GM:「……トイレ」
ロム:じゃあ僕が――
テール:ボクが付いて行こう。
GM:「……1人で、大丈夫」
テール:そういうわけにもいかない。キミは自身が危うい立ち位置にいる事を忘れちゃいけない。
GM:「………………」
ロム:テール、それなら僕が――
グリーズ:ロムはここにいろ。
ロム:………………。
テール:じゃあエイプリルとトイレまで行きます。
GM:部屋に残ったグリーズとロムですね。
グリーズ:ロム、また迷っているわけじゃあるまいな。
ロム:………………。
グリーズ:エイプリルを組織へ連れて行けば、彼女は拷問を受けるだろう。だが、これが現実だ。慣れるんだな。
ロム:……ああ、わかってるよ。
グリーズ:………………。
ロム:じゃあ無言の時間が少し流れてから、僕は少しトーンを落としてグリーズに聞こう――……なぁグリーズ、メリアの事だけど……。
グリーズ:無言だけど耳は傾けよう。
ロム:メリアは、あのまま「羽の家」で普通の子供として過ごすのが良いんじゃないかな?
グリーズ:………………。
ロム:メリア……凄い楽しそうだった。この闇の世界から……たぶん、光の下へ出れる最後のチャンスじゃないかなって……そう、思うんだ。
グリーズ:………………。
ロム:グリーズ、このままメリアの事は報告せずに――
グリーズ:メリアはこの世界で生まれ、この世界で育った。途中から入った者さえ一度入れば抜け出せないこの世界だ……今更メリアが抜け出せるとは思わん。馬鹿な事は考えず、今は任務の事だけを考えるんだな……。
ロム:でも――
GM:と、言った所でロムとグリーズは【心】の目標レベル4で判定して下さい。テールは8レベルです。
テール:僕だけ高いな(コロコロ)……うん、8レベルで成功。
グリーズ:……俺も大丈夫だ。
ロム:……うん、成功した。
GM:ではロム達の部屋へ、窓から黒装束が1人飛び込んできます。
ロム:【ヒュノプス】!?
グリーズ:……ロム、別の窓から飛び降りろ! ここは逃げるぞ!
GM:む、早い判断ですね。[幸運度]チェックに成功したら逃走できた事にして良いですよ。
グリーズ:グリモアエフェクト!(コロコロ)……――テールの2で成功! ガッシャーンと窓から飛び出す俺とロム!
ロム:着地してから――テールとエイプリルは!?
GM:では一方テール達の方ですが、エイプリルがトイレから出てきた所で、部屋の方でガラスが割れる音が響きます。
テール:どうやら、来たようだね――エイプリルを抱えて逃げる。[幸運度]チェックは(コロコロ)……成功。
GM:テール達も脱出だね。ではロム達の方を進めます。黒装束はロム達を追って窓から飛び出てきます。
ロム&グリーズ:『待ち伏せる』
GM:あ!?……しょうがない。なんか違う気もするけど、そのハモリに免じて戦略ポイントをあげよう(笑)
グリーズ:一気に畳み込むぞ。
ロム:スラリと剣を抜く。闇の中で煌く刀身――ああ、わかってるさ。


■第十三章■

「教えてもらった道って……ここだよね?」
 途中で出会った旅人から、ベーグルまでの近道を教えてもらった2人。
 目の前には手すりすら着いていない、ただ板と縄で作られた簡素で細い吊り橋があった。

GM:橋の下はゴウゴウと川が流れているね。【技】で目標値4の判定ね。
メリア:……グリモアエフェクトって使える?
GM:まぁいいでしょう。グリモアの加護を失っているわけじゃないですしね。
メリア:お願い(コロコロ)……11。
グリーズ:俺は3だ。
ロム:僕も3……掟の「魂の絆」がチェックだね。
メリア:危なげなく渡った。
GM:そっちが成功したならアップルは「うわっ」と言って落下しましょう。
メリア:アップル!?――なんで私が成功するとアップルが落ちるんですか!(笑)
GM:アップルを助けるなら[幸運度]チェックで。
メリア:グリモアエフェクト!(コロコロ)……――テールの2で成功! アップルも驚くような身のこなしで助けます。まるで“こういう事”に慣れているかのように。
GM:「メ、メリア……今のは」
メリア:はぁ…はぁ…はぁ……――と、とっさの事に驚いてる感じで。
GM:「メリアって、冒険者なんじゃないか? 今の輝きは……」
ロム:グリモアエフェクトって光るんだよね?
メリア:じゃあ言おう――そう…なのかもしれない。アップルを助けたいって思ったら、誰かが……力を貸してくれたような……。
GM:「そうか……」
メリア:行こう。
GM:「うん、そうだね」


■第十四章■

 僕たちがベーグルの街へ到着した時、空は曇り小粒の雨が降り始めていた。
 宿場町の玄関、ノソリン小屋のノソリン達も互いに身を寄せ合っている。
 僕たちは大通りを避け、街の裏路地を無言で歩いていく。

GM:では【竜牙】旅団はベーグルの街へ到着しました。空からは雨が降ってきており、急ぎ足で宿屋に向かっている所かな?
グリーズ:そんな感じだろうな。
ロム:そこで僕は言おう――グリーズ、メリアが追ってきている。
グリーズ:なに……メリアが?
ロム:今、声が聞こえたんだ……メリアの、助けを呼ぶ声が――と、さっきのグリモアでメリアから僕への感情が5レベルになった。だから心の声が聞こえたって事で。
GM:OK。
グリーズ:つまり、記憶が戻ったという事か?
ロム:それは……解らないけど……。
グリーズ:なら、メリアの事は放っておけ。今は――とエイプリルを見つめよう。
GM:エイプリルは雨に濡れながらも無言で歩いています。キミが見つめているなら、それに気が付いて見上げます。
グリーズ:……エイプリル。この街で俺達は運び屋とおちあう。まだ思い出さないか? 父親からの遺言を、託された研究資料を。
GM:「………………」――再び俯きます。
グリーズ:エイプリル、これが最後通告だ。俺達の組織は子供だからと言って容赦はしない。目的のためならば、どんな事でもする。
ロム:………………。
GM:エイプリルはノソリンのぬいぐるみをギュっと抱きしめるだけで何も言いません。
グリーズ:お前は――
テール:(グリーズを遮って)そんな事どうでもいいよ! ベーグルに着いたんだ、さっさと宿を取って中へ入るよ!
ロム:テール?
テール:もう宿屋の方へ歩いています。
ロム:グリーズを見よう。
グリーズ:昔からだ、雨が降るとあいつは機嫌が悪くなる。
ロム:雨が降ると?
グリーズ:ああ。何か……過去にあったのかもな……。
ロム:あんた達、結社の人間にも辛い過去があるっていうのか?
グリーズ:遠い目をしよう――忘れたい過去の1つや2つ、結社の人間なら誰しも持っているものだ……。お前が、そうであるようにな――エイプリルを連れてテールを追おう。
ロム:苦い顔をしてついて行こう。

 宿屋の中に入ると、一階は兼用の酒場なのかテーブルとカウンターがあり、数名の客が座っている。
 宿場町とは言えさすがに裏路地の寂れた宿屋。兼用酒場は4分の1しか客で埋まっていなかった。

GM:そんな寂れた酒場だけど、客はかなり盛り上がって話に花を咲かせているね。どうやらなにかあったらしい。
ロム:どういう事だ?――近くの人に聞いてみよう。
GM:「ああ、ついそこで冒険者が殺されたんだ」
グリーズ:死人?
GM:「まったく困ったもんだ」
ロム:それはどこで?
GM:「町外れの墓場の近くさ。装備からして結構強かったみたいだぜ? そのうち犯人捜索の依頼が出るんじゃないかって噂だ」
グリーズ:おい、その冒険者達だがどんな外見をしていた?
GM:「それは直接役人に――」と言ったところで、酒場に2人組の役人が入ってきます。片方が酒場の主人に依頼表を渡して、もう一人がキミ達冒険者達に向かって――「先ほど、町外れで冒険者3名が遺体で発見された。死因は殺害、霊査視の霊査によれば犯人は人間ともモンスターとも判別がつかないとの事だ。腕に自信がある者は犯人捜索の依頼を受けて欲しい」
ロム:噂をすれば……か。
グリーズ:しかし人間ともモンスターとも判別がつかない相手か。
テール:ロム、依頼の張り紙だけ貰ってきなよ。
ロム:なんで僕が――と言おうとしてテールは機嫌が悪いのを思い出して素直に貰ってこよう。
GM:その紙には被害者のイラストも載っています。ロムは知らない顔ですが――
テール:ボクたちは知っている顔なんだろうね。
グリーズ:結社【キマイラ】の運び屋旅団【山羊の角(ゴートホーン)】か?
GM:その通り。合流するはずの旅団のメンバーですね。
グリーズ:部屋に行くぞ。

………………………………………………………………………………………………

グリーズ:部屋を取ってそこに移動、その後【山羊の角】についてロムにも説明しよう――……という事だ。
ロム:そんな!?
グリーズ:上から追って連絡があるはずだ。今、俺達はヤーブルカの研究資料を得ていない。できるならば、このタイムラグを使って資料を俺達が手に入れる。
テール:そうだね、その方がボスも喜ぶ。
ロム:………………。
グリーズ:ロム?
ロム:反論は無いよ、できればこんな小さな子を組織に引き渡したくはない。
テール:本当、キミは甘いね。

 その日、【竜牙】旅団の面々はエイプリルから情報を聞き出そうと続けるが、エイプリルはだんまりを続ける。
 いつの間にか雨は止み、窓の外には夜の帳が下りていた。

ロム:もう夜か……いつの間にか雨も上がってる。
テール:じゃあ機嫌が良くなる――グリーズ、今日はこの辺にしてまた明日にしない? そろそろ僕は眠いよ。
グリーズ:まったく自由なものだな。【山羊の角】が殺られているんだ、あまり時間は無いぞ。
GM:と、ここで部屋の扉を誰かがノックします。そしてキミ達の返事を聞かずに黒ローブの男が入ってきます。
ロム:黒ローブ……敵?
GM:いえ、影法師です。
テール:おやおや。
グリーズ:【山羊の角】の事を聞いたか?
GM:「ええ、だから私が自らやって来たのですよ」
ロム:なぁ、あっちには【山羊の角】を簡単に殺せる程の強者がいるのか?
GM:「戦闘が主のあなた達【竜牙】旅団と違って、【山羊の角】は移動がメインでしたからね、【ヒュノプス】の戦闘旅団に襲撃を受けたのなら、このような結果になってもおかしくはありません」
グリーズ:ベーグルでの待ち合わせがどこからか漏れていた……という事か。
GM:「今、【キマイラ】内で内通者を探している頃でしょう。ですが……この作戦においてベーグルを知っていたのはボスと私、あとはあなた方と【山羊の角】の面々だけです」
テール:じゃあ【山羊の角】が情報を漏らした?
GM:「あなた達が裏切っていないのならば……」――ロムを見ます。
ロム:睨み返す。プリスが結社にいるのい裏切るわけがない!
GM:「ともかく、これ以上時間をかけるわけにはいかないでしょう。せいぜい明日の朝までです。エイプリルは早朝、私が連れて行きます。宜しいですね」

………………………………………………………………………………………………

 その日の深夜、僕は皆が寝静まったのを待って1人ベッドを抜け出す。
 脇で眠っているグリーズ達を起こさぬよう、僕はそっとエイプリルの寝ているベッドまでやって来た。
 エイプリルはノソリンのぬいぐるみを大事そうに抱えたまま、ぐっすりと眠っている。
 彼女がそのぬいぐるみを手放しているのを僕は見なかった。それだけ大事なのだろう……つまり――

グリーズ:どうした?――身動きせず声だけかける。
ロム:グリーズが起きてる事に驚くけど、すぐに冷静になって――……資料の在り処が解れば、この子を連れていく必要は無くなるはずだ。
グリーズ:ああ、だが資料の在り処は解らない。
ロム:そんな事は無い。目星はついている――と寝ているエイプリルに近づこう。
グリーズ:何も言わない。
GM:エイプリルはぬいぐるみを抱えて寝ています。
ロム:その手から強引にノソリンのぬいぐるみを奪おう。
テール:ボクも寝たまま声をかけよう――ロム、意外とキミはヒドイ事をするね。
ロム:一瞬迷うけど……力いっぱい引きちぎります!


■第十五章■

 空が泣いているようだった。
 急に降り出した雨は、メリアとアップルを濡らしそれでもまだ降り続けていた。
 2人して走り、山道脇にある大きな樫の木の下に入る。

GM:突然雨が降ってきました。まだ山の中です。
メリア:雨の中進むのは嫌だな。どこかの木陰で雨宿りする。
GM:では大きな樫の木の下で雨宿りです。ここまで走ってきただけでかなりビショ濡れ。
メリア:スカート絞ったりしてる。
GM:さてメリア、ここで【技】判定をお願いします。成功レベルによって気がつく内容が詳しくなります。
メリア:普通に振ろう(コロコロ)……あ、8レベル成功♪
GM:ふむ……では気がつこう。アップルの服が張り付いて体のラインが透けて見えるのですが……どうも胸の膨らみがあるような……。
メリア:触ってみる。
ロム:もろだな(笑)
メリア:子供だし。
GM:アップルはびっくりして背を向けます――「なにすんだよ!」
メリア:もしかしてアップルって……女の子?
GM:「なんだよ、別にいいだろ。どっちだって」
メリア:……どうして? 秘密の事なの?
GM:「ああ……秘密の事」
メリア:………………。じゃあ無理に聞くのやめて空を見る――(雨……止まないな……)
GM:「……はぁ、やっぱ言う、言うよ。このままメリアに嘘をつき続けるのはオレもやだし」
メリア:じゃあ聞く。
GM:「オレの父さん、結構危険な研究をしていたんだ。だから父さんからいつも変装しているようにってキツク言われててさ」
メリア:お父さんから?
GM:「オレ、本当はエイプリルって言うんだ」
メリア:ちょっと混乱――え、え?
GM:「たぶん、誘拐されたエイプリルはオレと勘違いされて連れて行かれたんだと思う。まさか同じ名前の子がいるなんて……オレだって驚いてたんだ。間違えるのも無理は無い。だから、だからエイプリルがさらわれたのはオレのせいなんだ……」
メリア:アップルの手を取って慰めよう――大丈夫だよ。だから今から助けに行くんでしょ?
GM:「メリア……」
メリア:アップルが女の子だろうと、エイプリルって名前だろうと、私には関係無い。羽の家で出会った大切な友達だもん。だから、一緒に友達を助けに行こう? 自分を責めているだけじゃ何も始まらないよ?
GM:「メリア……うん、そうだな。ごめん」――と、ここでアップルはメリアの方を向いて、その手に何かを渡します。
メリア:これは?
GM:ネックレスです先にロケットがついています――「メリアが流れ着いた川辺を探したら見つけたんだ。たぶん、メリアの家族じゃないかな? 中に似た人が描いてあったから」
メリア:ありがとう……でも、それならもっと早く……。
GM:「あの冒険者達が言っている事が本当だとしたら、メリアもあの人たちと同じかもしれないんだぞ? もし記憶を取り戻したらと思うと……ごめん、渡せなかったんだ」
メリア:じゃあこわごわとロケットを開きます。記憶が戻りますか? ここで戻りたいです。
GM:なら記憶が戻って構いません。最終戦闘で戻るのも美味しいとは思いますが(笑)
メリア:いや、ここがいい。それで私は消えそうな声で呟く――お母さん。
GM:「………………」――心配そうにアップルは見ています。
メリア:ありがとう……アップル。全部、全部思い出したよ。
GM:「そっか……その人は」
メリア:うん、私のお母さん。お母さんに会う為に、私は冒険者をやってる。
GM:「メリア、無理しないでいいぜ? エイプリルが誘拐されたのはオレのせいだ。記憶が戻ったのなら、メリアはそのお母さんに会う事を優先させろよ」
メリア:……ううん、私も行く。
GM:「でもお前は――
メリア:関係無くないよ。私はエイプリルを友達だと思ってる。友達を助けるのに理由はいらないでしょ?
GM:「だけど、記憶が戻ったならあいつらの……」――黙りましょう。
メリア:うん、ロムやグリーズとは一緒の冒険者仲間だよ。でも、それとこれとは別だよ。私はアップルだって友達だと思ってる。それは約束できる。だから一緒に行こう、友達を助けに。
GM:アップルは少し迷ってから――「わかった。オレはお前を信じる。一緒に行こう」
メリア:うん。

 メリアの決意と共に、雨が止む。
 それはあたかも……道を指し示すようで……――

GM:1つメリアに言っておきます。任務についても思い出しているので、このままアップルをグリーズの元へ連れて行くのは、アップルがこの先どうなるかわかりますね?
メリア:……うん。わかってる。
GM:なら問題ありません。アップルは走りながら言います――「なぁメリア、エイプリルを助け出したら、今度はオレがお前を手伝ってやるよ」
メリア:え?
GM:「メリアのお母さん探しをさ」
メリア:本当に笑顔になります。すっごい心が痛い。それでも涙を堪えて微笑む――うん、ありがとう。



■第十六章■

 ビリリッ!
 僕が力いっぱい引き千切ると、思っていたより簡単にノソリンのぬいぐるみが裂けた。
 舞い落ちる綿が床に広がり……そして――

GM:ぬいぐるみを引き千切ると、綿がこぼれ落ちるだけです。別に普通のぬいぐるみだったようです。
ロム:そんな!?
グリーズ:そんな事だろうとは思っていた。
ロム:でも!
グリーズ:諦めろロム、この娘は組織へ連れ帰る。
ロム:だけど……そしたら……。
グリーズ:これが、現実だ。
ロム:!!
テール:朝日が昇る前には宿を出る事になるんじゃないかな? ロムも早く眠った方がいいよ――ボクは再びベッドで寝よう。
グリーズ:無言でベッドへ。
ロム:歯を食いしばって――ベッドに腰掛けて朝を待つ。くそっ!!!

………………………………………………………………………………………………

 早朝、朝日がまだ昇る前に僕たちは宿屋を出た。
 僕の背中では、まだエイプリルがすやすやと眠っている。
 結局、僕の行動は何も変える事はできなかった……彼女は結社へ送られ、そして辛い目に遭うのだろう。
 僕は、それを止める事はできない。
 僕はすでに、闇と言う底なし沼に、片足を突っ込んでいるのだから……。

グリーズ:エイプリルは眠ったままつれてくる。起こさないようそっとな。
GM:メリアは好きなタイミングで出てきて良いです。
テール:ここにいるのは影法師だけ?
GM:影法師だけですね――「では、エイプリルを」
ロム:待ってくれ。もう少し、もう少しだけ時間をもらえないか? そうしたらこの子も資料の在り処を僕たちに教えてくれるかもしれない!
GM:「どこにそんな確証があるのです。それに……確実性を取るならアジトでやった方が良い。手段も道具も、それ専用の冒険者も揃っていますしね」
テール:嫌な顔をしよう。
ロム:それでも……そうだ、【山羊の角】を倒した奴等に報復だってしたい。エイプリルが目的なら、この子がいないと奴等をおびき寄せる事もできない!
GM:影法師はフードの下で嘆息します。
グリーズ:なら俺が言おう――ロム、今回の任務は【ヒュノプス】への報復か? 邪魔をして来たからには倒すが、それを目的とするわけじゃない。書類が見つからなかったんだ、この少女を連れて行くのが俺たちの任務だ。
ロム:それは……そうかもしれないけど……。
GM:「そんなに【ヒュノプス】が気に喰わないのなら、ここで足止めでもしていて下さい。その間に私と少女はアジトへ向かいます」
ロム:………………。拳を握ります。
テール:エイプリルを見て諦め顔で――キミがエイプリルでなかったらよかったのにね。
グリーズ:そんな可能性は万に一つも無い。これが現実だ――少女を渡そう。
GM:では影法師は受け取ります。と、ここで全員【心】で気配感知です。
テール:(コロコロ)……8レベル成功。
ロム:同じく。
グリーズ:俺だけ4レベルか(笑)
GM:4レベル以上なら解ります。そろそろ朝日が昇ってくる頃なのですが、その朝日をバックに強烈な殺気を放って1人の女性がやって来ます。その肩には巨大な大剣を担いでいます。
ロム:剣を抜く。
テール:影法師をかばう様に、そいつの方を向くよ。
GM:影法師が言いましょう――「【山羊の角】の死因は、どれも巨大な何かで強引に断ち切られた裂傷でした。どうやら、数より質の暗殺者を【ヒュノプス】は放ったようですね」
グリーズ:なるほど……だが、俺たちだって質より量で頭数をそろえているわけじゃない。ここは俺たちが何とかする。
GM:では影法師はエイプリルを抱えて離脱します。
テール:じゃあ暗殺者の女性を見て呟こう――やっぱり、ただものじゃあなかったね。
GM:女性はキミ達と10mの距離を置いて止まります。ズズンと肩に担いだ剣を地面に刺します。
グリーズ:マザーレイド。
GM:マザーレイドは言います――「【キマイラ】が戦闘旅団【竜牙(ドラゴントゥース)】、ここでその命を終わらせてもらいます」
ロム:どうしてあなたが……孤児院は、「羽の家」はどうしたんだ!?
GM:マザーレイドはにやりと笑います。
ロム:え?
グリーズ:まさかお前が【ヒュノプス】のメンバーだったとはな。いつ本物と入れ替わった? それとも「羽の家」自体が【ヒュノプス】の施設だったか?
GM:「前者が正解ですね。あなた方と違い、私達の組織は強引な手段を嫌います。エイプリルから研究資料を聞き出すため、まずは信頼を得てからと準備をしていたというのに……」
テール:【キマイラ】は強硬系で、【ヒュノプス】は謀略系の組織って事?
GM:そんな感じです。

メリア:じゃあここで登場する――そんな……マザーレイドが……。
GM:「マザーレイド……どうして」――とアップルもメリアと共に登場です。マザーは――「おや、メリアだけでなくアップル、いやエイプリルまで来てしまったのですか……」
グリーズ:エイプリル……だと?
メリア:そう、アップルこそ私達が探していた本物のエイプリル。……みんな、遅れてごめん。
ロム:メリア、記憶が戻ったのか?
メリア:うん。もう大丈夫だから。
グリーズ:そうか。
GM:「まぁ、私が傍を離れましたからね……」
メリア:!?……そっか……そういう事……ね。
GM:「都合良く駒を掴めたと思ったのに、残念だわメリア」
メリア:唇を噛む。
GM:「でも、もう少しの所で邪魔をしてくれましたね。せっかく、あと少しでアップルが私に心を開いてくれそうだったのに」
メリア:無言で睨んでおく!
GM:マザーレイドはどこ吹く風です。
テール:【山羊の角】を潰したのはキミかい?
GM:「ええ、ここに向かっていると情報が来ましたら、先回りして潰しておいたの……さぁ、そろそろ終わりにしましょう。邪魔物を消して、ゆっくりとアップルから情報を聞き出しましょう」
メリア:アップルはどうしてるの?
GM:「そんな事させるか!」――と勇敢にかかって行くけど、マザーレイドの≪砂礫陣≫一発で吹っ飛びます。戦闘区域から弾き飛ばしたと思って下さい。
グリーズ:マザーレイドにとっても生きていてもらわねばならぬ存在だしな。しかし――マザーレイド。いくら【山羊の角】旅団を1人で壊滅させたからといって、お前1人で俺たち【竜牙】旅団を相手にできると思っているのか?
GM:ふむ……途中でやろうと思ってたけど挑発されたから最初から本気で行こう――「もちろん、そこまでおごっていませんよ。だから……“夜に祈りを、まどろみに感謝を、覚めぬ悪夢をとわに誓わん”」――と言うと、マザーレイドの顔がぼやけ、両目と鼻と口が消えて、そこに巨大な1つの目玉が現れます。
ロム:え!?
GM:[キマイラ化]で「ウォッチャーの目玉」の形質です。
テール:キマイラだって! これは驚いたな。
グリーズ:なるほど……本気というわけか。
メリア:だからって、私達は負けない! 絶対に!
GM:「――ふぅ、さぁ始めましょう」


■第十七章■

◆イニシアチブ◆
[1]グリーズ(48)
[2]マザーレイド(38)
[3]メリア(36)
[4]テール(21)
[5]ロム(20)

GM:「絶対に負けられない」「逃走できない状況にある」で+4点の[戦略ポイント]をそっちにあげよう。前衛はロムとグリーズ、後衛はメリアとテールだね。
グリーズ:そうなるだろうな。前衛と後衛の距離は5m程度で。
GM:了解。
グリーズ:では俺から遠慮無くいくぞ、グリモアエフェクトで≪連撃蹴・基本≫!
メリア:(コロコロ)……6。
テール:……4。
グリーズ:8レベル成功。ダメージは59点。
GM:(コロコロ)……2レベル成功。結構痛いな。思いっきり腹に入った。
グリーズ:当たり前だ、最後の≪連撃蹴・基本≫だからな。
GM:ほう、一番の必殺技は打ち止めか。ではグリーズにお返ししよう。マザーレイドは蹴りを受けたまま耐えると、巨剣を上段から振り下ろす! ≪兜割り・奥義≫……4レベル成功。ダメージは55点。
グリーズ:ぐっ……――咄嗟に腕がガードするが2レベル成功。腕が折れたかな。
メリア:それは≪癒しの水滴・奥義≫(コロコロ)……26点回復。腕ぐらいは使えるようになるよね?
グリーズ:一度離れてから手を握って開いて……――なんとか腕は完治か。
メリア:グリーズ、油断しないで。
グリーズ:ああ、わかっている。しかし、1人で【山羊の角】を全滅させただけはある。強いぞ。
テール:じゃあ僕だね。≪華麗なる衝撃・奥義≫(コロコロ)……4レベル成功。46点の【技】ダメージ――いくら強くっても、音の波動はかわせないだろう?
GM:(コロコロ)……4で[ガード]発生だ。マザーレイドは剣で大地を穿ち、その轟音にて24点相殺します。
テール:……やるじゃないか。
ロム:大地を割ってか……ならその瞬間、舞い上がった瓦礫や土煙に紛れて突進! ≪居合い斬り・奥義≫グリモアエフェクト!!(コロコロ)……18(笑)
メリア:私も18(笑)
テール:1!
ロム:クリティカルだ! 銀光一線! ダメージ2倍で118点!!
GM:(コロコロ)……くそ、思いっきり斬られた――グハッ!――血を吐いて倒れよう。
ロム:チンッ――と鞘におさめる。
GM:「おのれ……ふふ、だが死ぬのはあなた達も一緒です……」――マザーレイドが一言漏らすと同時! キミ達は奇襲を受けます! ≪エンブレムシャワー・奥義≫です。今回は演出なのでダメージは与えません。
テール:奇襲!?
グリーズ:どこから!!
GM:マザーレイドを倒した方とは逆、影法師たちが逃げた方向から殺気を当てられます。
ロム:そっちを振り返る!
GM:そのロムの目の前を影法師が吹っ飛んできます。そのまま地面を滑り倒れる。
メリア:影法師!?
グリーズ:そういう事か……どおりでベーグルの話が【ヒュノプス】に流れるわけだ。自分の愚かさに反吐が出る。
テール:いるのは……無口なエイプリルだよね?
GM:その通り、今までとは違う圧倒的なプレッシャーをまとい、口元には蠱惑的な笑みを浮かべてエイプリルが立っています。
メリア:それはショックかも。マザーレイドだけじゃなく、エイプリルまでそっち側だったなんて……――そんな……一緒に買い物にも行ったのに。
GM:「そうねメリア、私も楽しかった。良い夢見れたでしょ?」
メリア:うう。
GM:エイプリルは倒れているマザーレイドを見て――「さすがは【竜牙】旅団、下っ端のじゃ歯が立たなかったみたいね」
ロム:下っ端?
テール:ごくりと唾を飲み込もう。「超強敵」じゃなくって「勝てない」レベルが来た感じだ。
GM:「私の名前はピュア。秘密結社【ヒュノプス】が3幹部の1人。あなた達を悪夢へと誘ってあげる」

◆イニシアチブ◆
[1]ピュア(52)
[2]メリア(43)
[3]テール(31)
[4]グリーズ(30)
[5]ロム(20)

GM:[戦略ポイント]は仕切り直します。こちらが奇襲分+4のみ。そっちは0です。さらに前衛と後衛が初期配置では逆転状態です。
テール:ボクとメリアお嬢様が前衛か、ちょっときついスタートだね。
GM:じゃあこっちから行きます。≪エンブレムシャワー・奥義≫を……あれ、さっき前衛後衛の距離が5m言ってたな。なら全員範囲に入るからまとめ撃ち。細い指先で紋章を描くと幾筋もの光線が雨あられと降り注ぐ!(コロコロ)……2、【心】の16レベル成功。
全員:『無理!!』
GM:ダメージは全員に50点。
ロム:耐えた、負傷にはいってない。
グリーズ:俺は死にそうだ。メリアと合流する前の戦闘で、負傷まで行っていたのがキツイ。
GM:他の2人は?
テール:僕は残り42点。
メリア:私は24点です。
GM:ちなみにピュアですが、いつの間にか手にはダークな感じのノソリン人形を持っています(笑)
ロム:絶対ツギハギノソリンだよ。
メリア:そんなエイプリルの面影なんていらない! いったん後ろに下がってから≪スキュラフレイム・奥義≫で焼き尽くす!――騙していたなんて酷い! 許さないんだから!!
GM:「良い夢見れたでしょ?」
メリア:燃えろ〜!!――(コロコロ)……8レベル成功。ダメージは53点!
GM:ピュアは片手で受け止めます(コロコロ)……8レベルで[ガード]発生。バッドステータスはキャンセル。スキュラの黒炎を握りつぶします。
テール:僕まで下がると前衛が1人もいなくなるからな……順番を遅らせる。
グリーズ:なら俺だな。グリモアエフェクトで≪剛毅投げ・改≫(コロコロ)……――メリアの2で8レベル成功。前衛に出てそのままの勢いで掴みかかって投げ飛ばす! ダメージは39点。
GM:[戦略ポイント]で[カウンター]発動。≪エンブレムブロー・奥義≫(コロコロ)……8レベル成功で[相打ち]だ。ダメージは72点。
グリーズ:それは……HPマイナスで倒れた。投げ飛ばした俺の方が倒れるなんて……無言でドサリ。
ロム:グリーズ!!
テール:そんな……今、いったい何をしたって言うんだ。
GM:ピュアは片膝は着くけどすぐに立ち上がり、服の埃を払います。グリーズはキマイラ化する?
グリーズ:いや、皆が死にそうになったらキマイラ化する。それまでは倒れたままでいる。
GM:了解。ピュアはグリーズに――「良い夢見なさい?」
ロム:夢だなんて……見させてたまるか!――グリモアエフェクト≪居合い斬り・改≫接敵して斬る!(コロコロ)……1、自分でクリティカル! ダメージ106点!
GM:ポイント使って[カウンター]≪エンブレムブロー・奥義≫(コロコロ)……8レベルで[相打ち]。ダメージは同じく72点。
ロム:斬ると同時に吹き飛ばされる、でも僕は倒れない! 残りHP23点。そっちはどうだ!
GM:「……そんな」――斬られた部分に手をやって、自分の血を見てピュアが驚きの表情を浮かべます。
ロム:やった……のか?
GM:「“夜に祈りを、まどろみに感謝を、覚めぬ悪夢をとわに誓わん”……悪夢はまだ、終わらない」――ピュアはボソリと呟き背中から「ドリームピュアリィの羽」を生やします。
メリア:キマイラ化!
GM:傷がシュウシュウと治っていき、ピュアは翼を使って浮き上がるとロムを見て言います――「あなた、情報には無かった……名前は」
ロム:ロム。ロマーリオ・レイスだ。
GM:「ロムね……気に入ったわ。また会いましょう」――瀕死のマザーレイドを連れて逃走します。追いますか? 一応テールの行動が残ってるけど。
テール:追わないよ。グリーズも死んでるしね。
メリア:グリーズに≪治癒の水滴・奥義≫を使います!


■第十八章■

 戦いが終わり、僕たちの傷を治すとメリアはすぐにアップルの元へ駆け寄った。
 幸い、アップルは最初の攻撃で気絶していたから、この戦いの始終は知らないだろうけど……。
 影法師を含め、僕とグリーズとテールは少し離れた場所にいるアップルとメリアを見ていた。
 両者の間には目に見えず、決して越えられない溝があった。
 メリアは……その溝を越えてアップルの元で≪癒しの水滴≫を使っている。
 もしかしたら、メリアはこのまま――

メリア:最後の≪癒しの水滴・奥義≫をアップルに。
GM:「うう……メリア?」
メリア:良かった。気がついたんだね。
GM:「そうだ! マザーレイドは!?」
メリア:やっつけたよ。だから安心して。
GM:「そう……か。途中まで少しは意識があったんだ……メリアも、あの冒険者達も、オレなんかとは比べ物にならない程強かったんだな……それなのに、オレは……」
メリア:ううん、私も……謝らないといけないし。ごめん、あなたのお父さんの研究資料……。
GM:メリアに折り畳まれたメモを渡します。
メリア:これ……。
GM:「研究資料の隠し場所の地図。父さんからは絶対誰にも見せるな。渡してはいけない――って言われてたけど、これのせいで今回みたいな事が起こるなら、オレはメリアに託すよ」
メリア:でも……きっとお父さんは反対するよ? 私は……私達の組織は、アップルのお父さんが嫌がるような使い方をすると思うから……。
GM:それを言うとアップルの瞳に影が差します――「わかってる。メリアが普通の組織に所属しているんじゃなくて……犯罪……いや、どうでもいいよ。それを話したところでオレには選択肢が無いんだろうし」
グリーズ:そういう事だ――メリアの手からメモを取ろう。内容を確認する。
GM:詳しくは調べてみないと解りませんが、筆跡は大人のもので書き込まれており、載っている地名などもグリーズの知る限り正しいです。
グリーズ:メモをしまおう。
メリア:グリーズ。それを私達の組織はどう使うの? やっぱり――
グリーズ:当たり前だ。少なくとも、子供に託したヤーブルカの想いは踏みにじる事になるだろうな。だが……それが現実だ――影法師達のところへ戻ろう。
メリア:………………。
GM:「気にするなよメリア。オレが弱かったからいけないんだ。冒険者になってこれから強くなるよ」
メリア:そうだね……頑張って、応援してる。
GM:「メリアも、お母さんに会えるといいな」
メリア:……うん。ありがとう。……ねぇアップル、あのメモは本物なんだよね?
GM:「? 当たり前だろう? 友達に嘘付いてどうするんだよ」
メリア:そう……。
ロム:メリア! そろそろ出発するよ?――と、呼びます。
メリア:私、行かないと。
GM:「メリア、また……会えるよね?」
メリア:ロム達の方へ行こうとして足を止めよう。そのままアップルに振り返らず――ううん、もう私の事は忘れた方が良い。
GM:「メリア? 何を言ってるんだよ! 友達だって……今度はお前の母さん探し手伝うって約束したじゃないか!」
メリア:振り返らずそのまま続けます――そんなの、研究資料を素直に受け取る為の嘘じゃない。約束なんて信じても馬鹿を見るだけだよ。
GM:「メリア……」――アップルは相当ショックな顔をしてます。
メリア:冒険者になるなら忠告してあげる。もっと現実を知る事ね――アップルを置いてロム達の方へ走っていきます。
GM:「っきしょう……なんだよ! オレだけ……オレだけ馬鹿見てたってわけかよ! 友達だと、思ってたのに……っきしょー!!!」


■第十九章■

 グリーズと影法師が先にアジトへ戻り、僕とテールとメリアは【ヒュノプス】対策にゆっくりと歩みを進める。
 もちろん、奴等が追ってくるとは思わないが、それでも“もしも”に備えるのがこの世界だ。
 結局、僕の淡い期待も虚しく、メリアはこちら側へと帰って来てしまった。
 僕はもしかしたら、メリアに希望を重ねていたのかもしれない……。
 メリアが光の道を進めたのなら僕も……と。

テール:ちゃんと別れは済ませましたか?
メリア:……うん。
テール:メリアお嬢様、あの子と友達になったんじゃ無いんですか?
メリア:ううん、違うよ。アップルとは住む世界が違うもん。アップルは日の光が差す表の世界、私は……どこまでも続く闇の世界。
テール:お嬢様……。いくら結社の人間だからって血も涙も無い人間というわけじゃありません。泣いたって……いいんですよ?
メリア:!?――テールを見上げる。
テール:メリアお嬢様が生まれた時から、ボクは傍にいるからね。
メリア:ううん、泣かないよ――堪えます。
テール:そう……ですか。
メリア:テールより先に歩き出しながら――絶対、逢いに行くんだ……。その為なら私はなんだってする。


■第二十章■

 全てを染める闇色の部屋。
 その暗黒の隙間をぬうように男の声が聞こえてくる。

GM:「テールよ、新しく入ったロムの見立てはどうだった?」
テール:そうですね。見所はありますよ……甘い所は多々ありますが、少なくとも組織を裏切るような子じゃない。
GM:「そうか……」
テール:でも……。
GM:「………………」
テール:でも……ボクの個人的感想を言わせて頂ければ、あの子はそれでも光を求めている。本当に肝心な場所で足を止める可能性がある……そんな気がします。
GM:「ふふふ……構わん」
テール:え?
GM:「下がれテール。お前は今後も【竜牙】旅団にて活動せよ。以上だ」
テール:……は。
GM:ではテールはその部屋から出てきます。
テール:部屋から出た所で独白しよう――ロム、キミの進む道はキミが思っているより深く暗い……なんせ、キミはすでに半身以上、闇と言う深い底なし沼にはまっているのだから……。

 キミが進む道は……人間が永遠に持ち続けるもう1つの道。
 どこまでも続く……闇の道なのだから。


■終章■

【竜牙旅団】のチェック欄
プレイ時間(実際にTRPGを遊んだ時間)         :■■■■ ■■■□
「無音瞬殺」(戦闘で【強敵】の順番が来る前に倒す)   :■□□
「魂の絆」(グリモアエフェクトで2人同時に感情を結ぶ) :■□□
「成り上がり」(組織から高い評価を得る)          :■
「絶対の優位」(戦略ポイントを6点以上得て戦闘を開始):■■□□
「自主自立」(セッション中、かばうを誰も使用しない)    :□×2
「必要な犠牲」(善良なNPCを殺害する)            :□
合計EXP=1320点

“ここにいる”ロマーリオ・レイズ
 11レベル→13レベル

“ライト・チルドレン”メリア・ハーミット
 11レベル→12レベル

“悲しまない”グリーズ・ガラハッド
 11レベル→13レベル

“嘆き尾”テール=クライス
 11レベル→13レベル



無限のファンタジアリプレイ
どこまでも続く闇の中で
第2話 了

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