ステータス画面

「やあお嬢さん、大丈夫かね?」
 渦巻きに飲み込まれた君は、運河そばの街角で目を覚ました。
 君の傍らには、服をずぶ濡れにした男性。ひょっとしたら彼が君を助けてくれたのかもしれないが、そんな事は、頭の片隅からすぐに吹き飛んだ。
 彼の被っている仮面、背中から生えている片翼。そしてなにより、隠そうともしない圧倒的な邪気。この男は紛れもなく……。
 しかし、君が何か言おうとするより早く、男の方が喋り始めた。

「……おっと! お嬢さん、君はひょっとしてアレだね?」
「まいったな、面倒な人を助けてしまった。美人に目がくらむと大抵こういうことになるから困るね」
「ここはお互い、笑ってお別れといこう。そうすれば僕は、少なくとも君の『命の恩人』でいられるからね。では、さらばだ!」

 一方的にまくし立てたかと思うと、男は忽然とその姿を消した。
 君が注視していた、まさにその目前から、消えたのである。

 しかし、その事について深く考える前に、君の肉体に限界が訪れた。
 君は意識を失い、回復までには数日を要することとなるのであった。

戻るTommy WalkerASH