【にゃんこ神社】にゃんこ神社のはなまつり



<オープニング>


 【にゃんこ神社】

 それは、猫をモチーフにした可愛らしい三毛猫模様の建物らしい。
 ある意味テーマパークのようなものと思ってもらえればいいのだろうか。
 猫のマークの可愛らしい鳥居の下を抜けると、広がるまっすぐな石畳。
 敷地の色々な場所には猫達がのんびりとくつろいでいる。
 そのまままっすぐに進むと、神社の社があり、猫耳・猫尻尾の巫女さん達が迎えてくれる。
 そこでご神体の招き猫様にお祈りすると、お願い事が成就するという。
 最近、あやしげな若者がたくさん集まる、怪しげなスポット施設でもあるらしい。

「はなまつり、ってチェリーご存知ですか?」
「……うーん、知らない」
「にゃんこ神社で今度、はなまつりをやるんです」
「ひなまつりの仲間かなぁ……でもあの胡散臭い神社のやることなんて、ボクには想像つかないよ……」
 いつもの酒場のカウンターで、猫尻尾の二人組は、尻尾をゆらゆらさせながら、
仲良く肩を並べて話し込んでいる。
 楽しげにふわふわしたブロンドの髪を揺らして話すのがプラム。
 ホットミルクにストローを挿して飲んでいるのがチェリー。
「なんでも、神聖なにゃんこ様の像に、暖かなまたたび酒をかけてあげるそうですの」
「にゃんこ様……酔っ払いそうだね……」
「そうするとにゃんこ様はとても喜んで、願い事をかなえてくれるそうなのです」
「……ふーん」
 やっぱり怪しい神社だと思う。
 チェリーはやや苦々しい表情で、うれしそうなプラムを見つめた。
(「……あんまり変なものにはまらないでほしいなぁ……」)
 とはいえ、あまり人のことは言えない気もするわけで。
「……で、また働いてくるんだね」
「はい。こないだと同じ人ではないと思うのですが、最近、にゃんこ神社もお参りにくる人が多くて、スリが出たとか、中に入るための整理券のダフ屋が出たとか、いろいろあるそうなのですわ。なのでがんばるのです」
 プラムはぐーっと手を結び、にっこりチェリーを見上げたのだった。

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参加者
壁犬・ウィスタリア(a00498)
無二なる雷閃・ロイズェ(a00758)
祝福の旋律・プラム(a19706)
天照月華・ルフィリア(a25334)
イベピンハンター・エーナ(a32582)
白珠の巫・マユリ(a38566)
一生紫を愛す司書・コハク(a39685)
青磁の華・レラ(a40515)
青藍の萼・ガイ(a42066)
黒耀薔薇・ショウコ(a43271)
NPC:花嫁にゃんこ修行中・プラム(a90023)



<リプレイ>

●にゃんこ神社のはなまつり
「いらっしゃいませ! にゃんこ神社にようこそ!」
 賑わいを見せるにゃんこ神社の境内の入り口。
 そこで忙しく、次々と訪れる客達に、整理券を配るのは、久遠の時を想う者・レラ(a40515)、それから叶想朱華・プラム(a19706)である。
 その衣装は、正統派の猫巫女服、猫耳・猫マークつき巫女服、猫尻尾。
「『はなまつり』はもうじき始まりますので。……大丈夫です、参加できますよ」
「前の方を押さないように注意してくださいね」
 お客の質問にも丁寧に答え、可愛らしく微笑みを浮かべる彼女達。その耳に、カタログを待つ行列の中から声が響くのが聞こえた。
「おお!レラっちだ!!ほら、この初春カタログの!」
「うにゃ!本物だ!可愛いなぁ〜……」
「隣の子は……カタログに載ってなかったな……今日発売のには載ってるかな」
「ダブルドリアッド娘ですにょ。めもめも。帰ったら瓦版「ぶろぐ」に書き込まねば」
「……」
 なんといったらいいものか……。整理券を配りながらぎこちなく緊張するレラの後ろで、背の高いセイレーンの男性、聖なる樫の護り手・ガイ(a42066)がぎろりとそちらに視線を走らす。
「うわ!にらまれた!」
「なんじゃあれは? ボディーガード?」
「ガイ……」
 振り返るレラ。ガイは表情を少しも変えずに行列を見据えている。
 この客の中にスリなどの悪い奴がいる。それを見つけて捕まえるのが今回の任務……だが、ガイには個人的に他の任務もあるのかもしれない。

「相変わらずの賑わいぶりじゃの」
 猫を愛でる司書・コハク(a39685)は、猫饅頭をひたすら焼きながら、人ごみの中から現れた見慣れた顔に話しかけた。
「濃い客の割合が……増えてるような気もするな」
 苦笑しながら、猫饅頭を一ついただくのは、無二なる雷閃・ロイズェ(a00758)だ。
「猫巫女目当てではなく、猫目当てに変わってもらいたいものじゃ……」
 境内に幸せそうにいつもたむろっている猫達が、イベント日には限って、人並みに追われて隅っこや神社の裏手に集まっているのを見ると不憫になる……。
 コハクの呟きに、ロイズェは苦笑する。
 確かにそれはごもっともな話。
「まあでも、一見怪しげな兄ちゃんズだが、ああいうタイプの方がココでは結構、秩序や礼儀ってものを弁えてるので無体な行為には及ばないという事実を3度目にして発見したのですよ、俺は」
「そういうものかのう……?」
「猫巫女ファンは、猫巫女とそのおまけな神社に迷惑はかけない様にきちんと自分たちなりのラインを守る意外と紳士なのかもしれないですよ? ……むしろ警戒すべきは意外と普通の格好の人だったりする……わけで」
 世の中奥が深いものです、ウン、と一人うなずくロイズェに、コハクは「そうかもしれないのう」と頷く。
 二人は共に、境内に次々と増えていく観客達を振り返り見つめた。
 儀式の開始間近を知らせる笛の音が鳴り響きはじめ、人々はさらにざわめきを高めた。。
 ……もうすぐ本番だ。

●にゃんこ神社本殿内
 神社の本殿の中では、衣装に着替え、聖なる猫神様の像とそれにかけてあげるまたたび酒の用意を終え、あとはにゃんこ像を境内に移すだけとなっていた。
「……では、ショウコ、……参りましょうか?」
 先輩猫巫女、天照月華・ルフィリア(a25334)は準備が揃ったのを確認し、黒耀薔薇・ショウコ(a43271)と共に立ち上がる。
「お二人で大丈夫でしょうか……」
 プラムは心配そうに二人を見上げた。
 神社の外では、整理券を早速販売にかかっているダフ屋がいるかもしれないという噂である。入り口のレラとプラムはまだまだ入場の客の応対で一杯一杯だし、外の様子を見に二人が行くことになったのだ。
「……大丈夫ですよ。相手は一般人ですし」
 微笑するショウコ。
 一般人ではなく、逸般人だとちと対処に困るなとは思うが、神社の外でロイズェが言っていたようにもしかすると猫巫女萌えのお兄さん達の方が意外にルールを守る人達なのかもしれない。
「気をつけてにゃ〜!」
 首に大きな鈴をつけた空と大地の・エーナ(a32582)が、出て行く二人を見送る。
 本殿には秘密の裏口があり、参拝客たちに知られずに外に出ることも可能なのだ。何かがあった時に便利だから、とは、にゃんこ神社のオーナーのお言葉である。何かってなんだろう。

●本番開始〜
「……今日も沢山のお客様なのかにゃ〜……緊張するにゃ」
 壁犬・ウィスタリア(a00498)は、白銀の星芒術士・アスティル(a00990)、皇炎奏華・ルィンフィーネ(a02277)と共に、拝殿に面する扉の向こうを覗いた。

 ひしめく人々。

 待ちかねたように背伸びをしながら見守っている。

「……すごい人にゃあぁぁぁぁ」
「ウィス、落ち着いてください」
 猫神主服を纏うアスティルが優しく微笑み、ウィスタリアの手をとった。
 ルィンフィーネも同じ表情で頷いてみせて、3人お揃いの霊枝を手にとり、ゆっくりと背筋を伸ばし、扉に向かい合う。
「……わ、わかったにゃ……」
 ウィスタリアは大きく深呼吸をして、それからルィンフィーネと同じように、霊枝を構え、扉の向こうからお客様を迎える用意を整えた。

「それでは……はじめますわね」

 猫しっぽをふんわり揺らし、プラムはウィスタリアに微笑んだ。
 その後ろには神聖なるにゃんこ像の運び手達が、いつでも境内に下ろせるようにスタンバイを終えている。
 その脇にはエーナ。
「あれ……もう一人いらっしゃったような……?」
「マユリさんは、救護班で呼ばれていったにゃ♪」
「そ、そうなんですの?」
 白珠の早乙女・マユリ(a38566)は、本殿隣に設置された迷子案内所の人手が足りないと駆けていったばかりだった。
「……だ、大丈夫かしら……」
 一抹の不安がよぎる。
 しかし、扉は開かねばならぬ。

 そして、ゆっくりと『はなまつり』は開始した……。

●迷子所
 うわーーーん!! うわーん!

 そこまで泣かなくてもいいのにと思う程、ヒステリックに響く子供の声。
「どうしたの? 大丈夫ですからね」
 マユリは白い耳と尻尾の猫巫女服を着て、柔らかく微笑み、子供にお菓子を差し出した。すると子供はピタリと泣き止む。
「だっこだっこだっこーーー!!!」
「ええええっ」
 ちょっと驚いた。
「猫巫女様に抱っこされるなんて良かったなぁ、坊や」
 ボランティアのスタッフが笑ってくれる。マユリは目を細めて、子供の頭を撫でてやった。

 はなまつりが開始してから、境内に集まる人々の熱気はとても高まっていた。
 我先にと進もうとする人々を制するのに、スタッフは振り回されている。
「中の皆さんも大変でしょうね……」
 とはいえ、戻りたくても戻れないマユリであった。
 しかし。
 その見つめる人波の中に、何かを見つけ、彼女は視線を細くした。

 整理券を持った人々がまっすぐに本殿の方向へ歩くのに対し、その男は左右ばかり気にし、押されもしないのに転んだフリをしたり、人の腰のあたりばかり眺めている。
「……まさか……」
 続けて、違う場所で悲鳴が聞こえた。
「私の財布がないわー!!」
「やっぱり!」
 マユリは男の子を下ろすと、駆け出した。
 すぐ近くに露店を出しているコハクの姿が見えたからだ。
「コハクさん……!」
「うむ……声がしたな」
 コハクは頷き、マユリが手を伸ばした客を確認する。そして暫く観察すると、露店の中においてあった偽財布を手に取ると、マユリに「ちょっと見ててくれ……」と言い残し、人ごみの中へと消えていった。……と思ったら戻ってきた。
「あ。そうじゃ」
「はい!」
「猫饅頭を買ってくれた人に、そこの『にゃんこカレンダー』か、『猫カタログ』をプレゼントしておいてくれい」
「……わ、わかりました……!」

 人の波の中には、整理券を持ったロイズェが待機していた。
(「……お。プラムちゃん〜発見♪」)
 にゃんこ像の周りで忙しそうにしているプラムの姿が見えた。ウィスタリア達と一緒に、お客が手にしているひしゃくに、またたび酒を注ぐ係だ。
「今日は色んなところに猫巫女様がいるだにー」
「神社の入り口に2人、にゃんこ像の側に3人?」
「もう一人奥にいるようにゃ」
「あと……売店にもいるようだにー。しかしいつもより少ないにょー」
(「……確かに」)
 それは、人目につかないようにして、外の警備に出ているショウコとルフィリアが見当たらないからだ。
(「しまった……同意してしまった!」)
 軽くショックを受けつつ、外の様子を見に行こうと人ごみで身を翻したとき、コハクの姿が視界に入った。
 コハクもまたロイズェを見つけ、何やら手を使って合図をする。
 その合図に、ターゲットに気づき、表情を変えるロイズェ。追われている方はまだ気づいていないようだ。二人の青年はじわりじわりと敵を追い詰めることにした……!

●神社の外
「……この整理券をもって行けば、すぐに巫女様達に会えるぜぃ、兄ちゃん」
 怪しげなコート、怪しげな帽子、みるからに怪しさを放出している男は、神社の外に並ぼうとしていた若者に声をかけた。
「え……?」
 ちらりと見せられる整理券。番号は若い。
 一瞬うろたえる。彼の前には長大な列が出来ていた。これでは何時間も待つどころか……もしかしたら入れてもらえないかもしれない。
「中には可愛い〜猫巫女様がいっぱいいるんだぜ……? コレ見たか? 新春猫巫女カタログ……今日はこれに出ている子も結構いるらしい」
「ほ……ほんとですか!!」
「ああ……」
 興味を示した若者に、男はにんまり笑ってみせる。
 その背中に触れる指。
「ん?」
 振り向くと、そこには……夢にまで見た二人の猫巫女がいた。
「……整理券の売買は……禁止です……よ?」
「いけませんね」
「はあ!?」
「うわー!! ルフィリアだ!」
「!」
 叫んだのは売りつけられた少年のほうだった。いきなり名前を呼ばれて(しかも呼び捨てで)ルフィリアは目を丸くしたが、逃げようとするダフ屋を見逃したりはしなかった。「逃がしません……!」
「……眠りの歌!!」
 ルフィリアの手が届く前に、ショウコが放つ眠りの歌がよく効いて、男はフラフラと地面に崩れる。
「これで……5人目……他にはいないようですね」
「……ええ」
 ルフィリアとショウコは顔を見合わせ、微笑みあった。
 そこに新たな声がかかる。
「ルフィリアさん、ショウコさん……!」
「プラムさん……」
 整理券の配布を終えたプラムは、二人が外の警備に回っていることを聞き、手伝いに来てくれたのだった。
「……ということは……」
 プラムの話を聞き、ショウコとルフィリアは顔を見合わせる。
「もう整理券は無いのですね……」
「……この人達は……」
 しかし、残念ながら帰らなくてはならないお客達もそんなに不幸ではなかった。
 綺麗どころ三人の猫巫女様を見ることができたのだから……。

●お祭り終わって
「……もうへとへとにゃー……」
 境内でぺったりと膝をつくエーナ。
 彼女の頑張りはとてもとてもすばらしいものだった。
 にゃんこ像の周りを、あっちに走り……こっちに走り……。
「エーナちゃーーーーん!!!」
「はいにゃーん!!」
 呼ばれると即座にぴょんと翻り。すっかりファンが出来てしまっていた。
「かわいいーーー!!」
「もう1度ーーー!」
「えっ! それじゃ! にゃん!!」っとくるっと1回転。
「そろそろお帰りになってくださいませですのーー!」
 鳴り響く拍手の中、プラムが慌てて追い払いに行く。
「ありがとにゃー、プラムちゃん」
 お客様の笑顔を見るととても幸せな気分になる。……でも、多少は限界というものもある。

「もう終わったのかな?」
 客が消えた場所から、ロイズェとコハクが顔を出した。
「終わりにゃ……大変だったにゃぁ……」
 座り込んだままウィスタリアが息をついて微笑んだ。
「じゃあ、今度はワシらの番じゃな」
 コハクは笑って、神社から集めてきた猫達をにゃんこ像の側においた。猫達は一斉にマタタビ酒のほうにかけていく。
「猫さん達も、お疲れ様です……」
 マユリもコハクを手伝い、連れてきた真っ白な子猫をそっと地面におろし、優しく撫でてあげるのだった。

「……人が少なくなると、寂しいものですね……」
「まあいても……色々な……」
 猫巫女服から普段着に着替えたレラと共に、ガイは境内を歩いている。
 整理券の配布を終えてからも仕事から離れにくく、漸く場内の客が去ってから、二人の時間は始まっていた。
 にゃんこ像の周りには仲間の姿が見えた。
 二人は挨拶がてらにそこに立ち寄り、神聖なるにゃんこ様に手を合わせる。
(「……ガイと一緒にいられますように……」)
 レラはひっそりと願う。
 ガイはそのレラの横顔を盗み見るようにそっと見る。
 彼は彼女に告白していた。その返事を欲しいと思った。
 けれど……。
「もう少しだけ……待っててね」
 彼女がか細くそう告げた。ガイは瞼を伏せ、ゆっくり頷いた。
(「勿論……お前が答えを出すまでゆっくり待つよ。この関係も悪くないから……」)

「どう?この偽ペアルック?」
 いつの間にか猫神主に着替えたロイズェが笑いかける。
「きゃー!お似合いですのー♪」
 プラムは表情を明るくして、思わずその胸に抱きついた。……でもすぐに慌てて離れる。
「わ、わ、私としたことがごめんなさいですの……!!」
「いやいや……♪」
「私たちもおまいりさせてくださいね……」
 もう一人のプラムが、ルフィリアやショウコ達と一緒にやってくる。
 周りはまたたび酒で酔った猫達が、にゃあにゃあにゃあにゃあ宴会中。
 コハクとエーナ、マユリは、その猫達と遊んでいる。ウィスタリアとアスティル、ルィンフィーネは3人で茜色の空に誘われるようにお庭の方へと歩いていった。
 もうじきにゃんこ神社の桜も満開になる。
 お庭もよくみると、とても可愛く作られていることを知ってるのはきっと、にゃんこ神社で働く者だけだと思う。
 それぞれのお参りをすませた猫巫女&関係者達に「おつかれさまだったね……」とオーナーが御馳走を出してくれた。
 その御馳走をおなかいっぱい頂いて、冒険者達は元気に楽しく夕暮れまで神社で過ごしたのだった。

 みんなのお願い……叶うといいね♪



【にゃんこ神社】はなまつり・終わり


マスター:鈴隼人 紹介ページ
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冒険活劇 戦闘 ミステリー 恋愛
ダーク ほのぼの コメディ えっち
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参加者:10人
作成日:2006/04/18
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白珠の巫・マユリ(a38566)  2010年01月25日 23時  通報
CCP様には、一度にゃんこ神社へご案内差し上げたかった
ですね…。