【グルメなミュリン☆】麗しのお豆を取り返せ!



<オープニング>


●豆のお祭り?
「お師匠様、それなーに?」
「これ? 軽く炒ったお豆よ」
 香ばしい薫りに、小首を傾げて訊ねて来る金狐の霊査士・ミュリン(a90025)にヒトの武道家・アンジー(a90073)が微笑みを返す。
「ああ、『厄除けの豆』か……君らは知らないかな?」
 昼寝から起きたばかりなのか、あくびを噛み殺しながらエルフの霊査士・モルテ(a90043)が冒険者達に向き直る。
 ランドアース大陸東方の一部に楽しい風習がある。
 春近い時分、家の中に炒った豆を捲くと、魔を祓えるのだそうだ。
「わーい! おまめおまめーーー!」
「ミュリンちゃん、これは食べたら……あ、年の数だけは良いのよ?」
 大喜びで豆に飛びついたミュリンに、アンジーが言う。
 歳の数だけ豆を食べると、この1年病気にならないですむという言い伝えもあるらしい。
 その言葉に、食欲魔狐は明らかに不満を示した。
「えーー。アンジー師匠ばっかり沢山食べてずるいーーー! モルテ兄さんより多……」
 ミュリン。それは禁句だ……。
 そう冒険者達が思った瞬間……。
 ボコ!
 案の定、一瞬鬼のような形相になったアンジーから鉄拳が飛ぶ。
「うわーーーん! 師匠がぶったーーー!!」
 泣きついて来たミュリンに、はいはい、と呆れたように宥めるモルテ。
「でもこのお祭りも、『麗しのお豆』が採れなくなってからはちょっと廃れちゃったのよね……」
「……麗しのお豆?」
 ちょっと遠い目をしたアンジーに冒険者達が問い返す。
「うん。『麗しのお豆』って呼ばれる、とっても美味しいお豆があるの」
 あっさりと立ち直ったミュリンが、懐から『ランドアース東方食い倒れMAP』を取り出した。
 ドリアッドの森の、そのまた奥に。
 謎のグドン達に護られた、『麗しのお豆』と呼ばれる伝説の豆があるのだという。
 一粒食べれば病人が起きあがり、二粒食べれば死人も生き返るとか言う怪しい伝承も残っているが……それが真実かどうかはさておき、薫りの高いとても美味しい豆なのだそうだ。
「グドンに護られたって……それって要するに、グドンに奪われたってこと?」
 冒険者達の素朴な疑問。
「そうとも言うな」
 あっさりと認めたモルテに、コケる冒険者達。
「そうだ、折角だし。その『麗しのお豆』を取り返して来てくれないかな?」
 ぽむ、と手を打って言ったミュリンに、冒険者達は顔を見合わせる。
「実際豆が採れなくなって、地域住人も困っているらしい。行って来てくれると助かるよ」
 そう付け加えたモルテに、そう言うことなら……と冒険者達は頷くのだった。

●豆を取り返そう
「そう言う訳でね、みんなにお願いなんだけど……」
「『麗しのお豆』を、謎のグドンから取り返すんだな?」
 冒険者達の言葉に、うんうんと頷くミュリン。
「……で、その『麗しのお豆』の樹は今どうなってるんだ?」
「うん。あのね。グドンは10体。樹を守るように取り囲んでるみたいなの」
 グドン10体。いつものグドンとは違うようだが……。
 今後のこともあるし、なるべく豆の樹を傷つけないで欲しいと言うミュリンの言葉に、冒険者達が考え込む。
「何らかの方法でグドン達を豆の樹から引き離さねばならないかもしれないな……」
「森と言う場所も、考慮に入れないとなりませんね」
 対策を話し合っていた冒険者達に、ミュリンが声をかけた。
「ついでにね、『麗しのお豆』を持って帰って来て、廃れ気味の『お豆のお祭り』をみんなで盛り上げてくれないかな?」
「……とか何とか言って。お前、『麗しのお豆』が食べたいんだろ?」
 冒険者達の鋭いツッコミにギクリとするミュリン。
「そ、それもあるけど……。グドンの為に、楽しいお祭りがなくなってしまうのは寂しいよね?」
 彼女のその言葉に、冒険者達もそれはそうだ、と頷く。
「どうやって盛り上げるかは、みんなにお任せするから……よろしくね☆」
 にっこりにこにこ。楽しそうに言うミュリンに励まされ。
 こうして、『麗しのお豆』奪還&お祭り復興大作戦は幕を開けるのだった。

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参加者
金狐の保護者・ナナカ(a00009)
胡桃の森の双子・タクト(a00050)
エルフの医術士・メイ(a00178)
水月・ルシール(a00620)
東風士・ミカヅキ(a00678)
鋼鉄の護り手・バルト(a01466)
覚醒の夜明け・アルテア(a01578)
迷宮の翔剣士・ハツキ(a05208)


<リプレイ>

●グルメなスペシャル探検隊 伝説の秘境『麗しのお豆』を追え!(題名長っ)
 ドリアッドの森。鬱蒼と茂る木々で昼間だと言うのに薄暗い。
「ハツキがいてくれて本当に助かったな」
 覚醒の夜明け・アルテア(a01578)の言葉に、うんうんと冒険者達が頷く。
 ドリアッドの力によって守護された森はドリアッドの翔剣士・ハツキ(a05208)にとっては庭のようなものでも、それ以外の者にとっては迷いの森。はぐれたら速攻遭難だ。
 噂では木の上から蛇が落ちてきたり、サソリや毒蜘蛛が襲ってくる事もあるらしいので、注意が必要……って、どこの密林ですかそりゃって言うか谷(ぴーー)浩の探検隊ですか。
 いや、まあ。密林といえば密林ですけど。
 とにかく。そんな事情から、今回は全員ちょっと必死だった。
「こっちだ。……ちゃんとついて来いよ」
「宜しくお願いしますわ」
 先頭に立つハツキに、丁寧に頭を下げる静流の術士・ナナカ(a00009)。
 それに頷いたハツキが歩き出すと、仲間達もそれに従いゾロゾロと歩き出す。
 その様子は親ガモについて歩く子ガモ……いやいや。
「今度はドリアッドの森の奥か……随分と遠くまでお使いを頼まれたもんだな」
 ブツブツと言う森の熊……もとい。鋼鉄の護り手・バルト(a01466)だが、どこか嬉しそうだ。理由は言わずもがな、である。
「ところで、グドンは豆の何が気に入っているんでしょう? 匂いや味で、それが『麗しのお豆』である、と感じているんでしょうか?」
「多分、そうなんじゃないかな」
 考え込むエルフの医術士・メイ(a00178)に、グドン愛好家(何)の胡桃の森の双子・タクト(a00050)が頷く。
 もしそうだとしたら、グドン達の味覚・嗅覚は人間に比較的近いと言う事だ。
 それならば、動かしようがある……。
「……『麗しの豆』というのは一体どういうものなのだろう。死人をも生き返らせる伝説の豆というからには、何か他の効用もないだろうか」
「その話は聞いた事がある……あれは俺がまだこの地にたどり着く為に旅をしていた時だった」
 ふと思い立ったのか、歩きながら仲間達を振り返ったハツキに、一瞬遠い目をするアルテア。仲間達もずいっと寄ってその話に耳を傾ける。
「一粒食べれば病気が治り、二粒食べれば死人も蘇り、三粒食べれば……ああ、それは恐ろしくて俺の口からはとても」
 ……何? 何なんだ!?
 話の続きを促すように見つめる仲間達に、アルテアはただ黙って首を振るばかり。
 ……世の中知らない方がいい事もあるらしい(何)。
「お豆……ご病気にでも美容にも効きそうですが、記憶力には……効かないでしょうか?」
 そんな仲間達を気にする様子もなくにっこりと微笑んだ雫菫の結晶・ルシール(a00620)に、冒険者達はふと考え込む。
 その頭に過ぎる某グドンの姿。
「今回はいつものグドンではないのでしょうか……」
 目の前に広がる森を見つめて、ぽそりと侍娘・ミカヅキ(a00678)も呟く。
 その言葉に、仲間達はまだ見ぬグドンへ思いを馳せた……って書くと、何だかロマンチックですが相手グドンなんですよね。雰囲気ぶち壊しー(エ)。

●グドンの正体大予想!
 ぱぱらぱぱらぱ〜♪(何)
 はい、皆さんこんにちは! ツッコミ担当確定っぽいタクトです!
 突然ですが『グドン10匹?! って事は否アカトラ! 皆でグドンの正体を予想しよう!』のコーナーです! はい、拍手〜!
 では、皆さんの予想を順番に紹介しますね!
 ナナカさん予想『アカトラさんの新しい仲間』。子分が2人増えたって事でしょうか。ありがちな感じですね!
 ルシールさん予想『ミケコさんの家族』。ミケコさんのお父さんが現れて、「娘はやらーん!」とか言い出したら修羅場ですねっ! 「渡る世間は(ごにょごにょごにょ)」って感じでしょうかっ。ちょっと見てみたいかも!
 さて最後はボクです。いくつか予想したのでババっと行ってみましょう。
1.リーダーがアカトラの兄弟。低知能なので、当然お互いの事は覚えてません。その場で縄張り巡ってガチンコ勝負だ! びば低知能!!
2.リーダーがミケコさん。途中でアカトラ参上。「ミケコさん、どうしてにゃ……」「ごめんなさい、あなたには言えない訳が……」うわー。言えない訳ってどんな訳でしょう! 一気に昼ドラな展開ですよーっ。これもまた修羅場ですねーっ。
3.鳩。ちょっと大穴予想ですが、「鳩が豆鉄砲喰らったような顔」と言いますし、豆といえば鳩。油断できません! どうでしょう!?
 ……まさかね。

●さて、正解は!?
「ぽー」
「ぽーって事は鳩か?」
「いや、リスだね」
「リスですわね……」
「リスか……」
 思わず確認してしまったバルト、ハツキ、メイそしてアルテア。
「だからお豆が好きなんですのね」
「意外と可愛いですね」
「リスに話は通じるのでございましょうか」
「何でリスのくせに『ぽー』なんだよ! 責任者出てこーい!」
 ……こーい。
 …………い。
 にっこりにこにこ。ズレた会話を楽しむナナカ、ルシールにちょっと不安そうなミカヅキ。そして森に向かってタクトが吼える。
 何か叫びが森にこだましちゃったりして、虚しさ倍増である。
 ドリアッドの森を無事に抜けた冒険者達が目にしたのは、とても大きな豆の樹と、それを取り囲むようにして立っている10体のリス頭のグドンだった。
 予想外のリリカルな雰囲気にゲンナリ気味な者が多かったが、とりあえず目の前でぽーぽー言ってるナマモノを何とかしなければならない。
「……あの距離なら上手く樹から引き離せそうでございますね」
 豆の樹とリスグドンを注意深く観察していたミカヅキが仲間を振り返る。
「グドンをおびき寄せるなら、あの場所がいいだろう」
 樹の周りの状況を確認してアルテアが頷き返した。
「よし。じゃ、計画通りに。皆、準備はいいか?」
 確認するバルトに太刀を構えて応えるハツキ。
 そして、穀類や匂い袋をを手にしたタクトとメイが頷き。
「……それでは参ります」
 ナナカは持って来た七輪に干物を乗せ、おもむろに焼き出した。
「……ぽ?」
 辺りから漂ってくる美味しそうな匂いにリスグドン達が反応し、きょろきょろと辺りを伺っている。
 そこへ鎧進化と不動の鎧で防御力を上げたバルトが樹とグドンの間に立ちはだかるように踊り出た。
 グドンとはいえ、連携の取れた動きをされればその攻撃力は馬鹿に出来ない。
 隙間を縫うようなハツキとミカヅキの羽のような身の動きは、グドン達の連携を崩すには十分だった。
 冒険者達の出現に驚き、アワアワと方々に散って行こうとするグドン達をルシールの舞い飛ぶ胡蝶が足止めをする。
 その隙にメイがグドン避けの匂い袋を樹の周りに配置し……匂いと術に目を回したグドン達はあえなくお縄となったのであった。

「何でこの樹の周りに居座ってるのさ?」
「そりゃー、おめー。あの豆の樹はオラ達のモノだからぽー」
 混乱から復帰したリスグドン達はタクトの問いにキッパリとそう答えた。
 豆は自分達のモノだから、誰にも渡さない。
 だから豆を採りに来たものは何であれ追い払う。単純明快な理論である。
「あの……ここから立ち退いて戴けません?」
「ダメぽ」
「この豆がないと、豆のお祭りが廃れてしまうんですのよ」
「ダメぽ」
「……美味しいお豆のお料理もなくなってしまうかもしれないのでございます」
「ダメぽ」
 必死に事情を説明し、優しくお願いするルシールとメイ、そしてミカヅキ。
 だが、リスグドン達は『ダメぽ』を連呼するばかりである。
 既にお分かりだと思うが、グドンはぐれーと低知能。残念ながら複雑な理由など理解できないのだ!
「あのなぁ……立ち去ってくれないと、ここで全員退治する事になるが?」
「……この地はリス料理も美味いらしいな」
 強情なグドン達をバルトがジロリと睨みつける。
 大真面目に付け加えたアルテアの一言も何気にコワイ。
 そして後ろで黙って剣を構えたハツキの闘気。
 その心は。去らぬなら 殺してしまえ リスグドン
 ……五七五で綺麗にまとまりましたね!(待て)
 一変して命のピンチを迎えたグドン達は、傍に居た優しそうなお姉さんに救いの目を向ける。目が離れているので、見つめる顔も何だかマヌケだ。
 しかし、見つめられたナナカはそんな彼等を嘲う事もなく、聖母のような穏やかな微笑みを向けた。
「……宜しいですか? このお豆の樹は森と大地の恵みであって……」
 あ。出ました! ナナカ先生の正座で1時間お説教コース! これはツライ!
 一瞬期待させておいて叩き落すコンボが素晴らしいです!
「……もう一度聞くよ。これ、あげるからさ。ここから立ち退く気はない?」
 そしてトドメのタクトの一言。
 脅しとお説教と足の痺れで涙目になっていたグドン達は、それにただ首を縦に振るしかなかった……。

「ぽー」「ぽーー」
「やれやれ……何とかなったな」
 タクトとナナカの準備した手土産を手にぽーぽーと喚きながら森の奥へと去って行くグドン達を見送り、ふぅ、と一つ大きな溜息をつくバルト。
「本当に大丈夫なのかな。あれで……」
 心配そうに呟くハツキに、ナナカが微笑みを向ける。
「ちゃんとお話しましたもの。大丈夫ですわ、きっと」
 いや。相手はグドン、3歩歩いたら忘れちゃうよーな気がするんですが。
「うーん。グドンと共生できるようになればいいんだけどなぁ」
「可愛らしかったですものね」
 タクトの呟きに頷くルシール。
 いやいや。グドンと言ったら1匹の影に30匹ですよっ。放って置いたらグドンで溢れます(エ)。
「グドンを問わず、様々な生物と共生出来ればいいんだがな」
 そして争いの耐えぬ世を憂いてアルテアが溜息を零す。その言葉に頷きながら、ミカヅキが続けた。
「……それも私達の頑張り次第でございましょうか」
「そうですわね。……さあ! お豆を持ってお祭りに参りましょう」
 メイの励ますような優しい微笑みに、仲間達は頷いて大きな豆の樹を振り返った。

●豆のお祭り
「きゃーーーー♪」
「ぅわああーーー」
 豆を手にした子供達に、トラ縞パンツのグドンの着ぐるみを着たタクトが追われている。
 何だか、タクトが本気で逃げているような気がしなくもないが……。
 『豆のお祭り』がどんな内容なのかを村人達に確認した冒険者達は、その作法に則りつつ、アレンジを加えて祭りを盛り上げていた。
 その中に災厄の象徴となる格好をした人に豆のぶつけ、1年の厄を払うと言うものがあり……タクトはその役を買って出たのだが、子供達に容赦なく追い回されとんでもない目に遭っているらしい。
 子供って、着ぐるみ着た人に容赦ないんですよねー(エ)。
 頑張れタクト。君の生還を期待する!(待て)
「さ。ルー。思いっきり投げてくれ」
 そしてタクト同様、グドンの着ぐるみに身を包んだバルトに、ルシールは困ったような微笑みを向ける。
「バルトに豆をぶつけるなんて、そんな事出来ないわ」
「豆まきは幸せを呼ぶんだそうだ。ルーが幸せになれるように、な?」
 そう言ってルシールの手に豆を握らせるバルト。その豆を大事そうに見つめて、ルシールは囁いた。
「……私は、バルトが元気で美味しそうに食べているのを傍で見ているだけで幸せよ?」
「ルー……」
 今度はバルトが困ったような、照れたような笑みをルシールに向ける。
 それに続いたバルトの言葉は、新たな標的を発見し喜ぶ子供達の歓声と彼自身の悲鳴でかき消された。
 いい雰囲気がぶち壊しですね! ま、いっか。生きて帰れよ〜。
 そして、子供達に襲われズタボロになったバルトを見て鬼のように豹変したルシール。
 ルシールさん、大(ぴー)神ですか。
「……微笑ましいですわね」
「本当でございますね」
 それを見てもなお動じる事なく微笑みと共に見送ったナナカとミカヅキは『麗しのお豆』を使った料理に腕を揮っていた。
 バルトの提案で『麗しの豆』を利用した豆料理コンテストが開催される事になり、それの盛り上げる意味でも彼女達の料理は重要だった。
 2人は村人達に昔から伝えられているレシピを訊ね、レシピ帳に書き取りつつ再現してゆく。
 ルシールもバルトの好物である豆の卵とじを作り、おいしい料理を求めて東奔西走しているメイもそれに負けじと得意料理の数々を披露して行き、料理コンテストは大層な盛り上がりを見せた。
 ちなみに食への凄まじい執念で豆まきから無事生還したバルトが審査員として参加。何を食べても『美味い!』しか言わなかったのはまあお約束。
 そして、アルテアと共に祭りを裏で盛り上げながら、ハツキも『麗しの豆』の効能について村人に尋ねていく。
 『麗しの豆』とは味と薫りが良く、滋養の高い普通の豆であるらしい。その昔、炒った『麗しの豆』を旅人が非常食として用いていたために、各地で色々と怪しい伝説となって語られたようだ。
 その話に、耳を傾けながらふと周りを見渡す。
 久しぶりの祭りを喜びはしゃぐ村人と、和気藹々と盛り上がる祭り。
 行方不明の姉にも、この光景を見せてやりたい。
 そんな事を考えて、遠くを見つめるハツキであった。

「ミュリンちゃん、ただいま戻りましたわ」
「おかえりなさ〜い! お土産は〜?」
 優しい微笑みを向けるナナカに、ミュリンは大喜びで抱きつく。
 そこへバルトが冴えない表情でやって来て、おもむろにミュリンに『麗しの豆』を16粒だけ握らせた。
「……味わって食べろよ。決まりなんでな」
「こ、これだけ!?」
 至極残念そうにしみじみと言ったバルトにがーーーーん! とショックを受けるミュリン。
「……冗談だよ」
 堪え切れなくなったバルトが噴き出す。
 その様子にルシールとメイもくすくすと声をあげて笑った。
「お土産、色々ありますのよ」
「ミュリン殿、たんと召し上がれ♪」
 ナナカとミカヅキによって次々と出される豆料理に、ミュリンは目を輝かせた。
「ボク……実は豆類苦手なんだよね」
「そうなの? 美味しいのに」
 豆料理を前に既にお腹一杯と言う顔のタクトにハツキが問い返す。
 タクトの分もバルトとミュリンが平らげてるので無問題である。
 そして、その様子を黙って見守っていたアルテアが、そっとミュリンに声をかけた。
「ミュリン、あのな……この間の料理だが……」
「なーに? アルテアちゃん」
 にぱっ。彼女の何とも明るい笑顔。その笑顔に挫けそうになる。
 しかし真実を言わねば未来はない!(何)
「まあ、その……」
 そして、ミュリンに料理の感想を率直に言うアルテア。彼の春はまだ遠そうである……。

 こうして、冒険者達の手によって『麗しのお豆』は無事に守られ、久しく忘れられていた豆のお祭りも無事復活する事となった。
 一方で、モルテがちゃっかり冒険者達の持ち帰った豆料理に舌鼓を打っていたとかいなかったとか言うのは、また別の話である。


マスター:猫又ものと 紹介ページ
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作成日:2004/02/16
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