【微妙対戦ナンジャコリャー】一千人



<オープニング>


 突如現れた団体!
 ……に、見える一人!
 全てが一丸となったその動きは、まるで統率された軍隊!

 奴の特徴は、何と言っても団体だ。
 一見すればそれは、千人くらい居そうな部下集団と、それらが組み体操のように形成するピラミッドの頂点、威風堂々と佇む偉そうな人物。
 どう見ても団体だ。
 だが一人だ。
 要は、個の部分が全部繋がっている。
 ムカデやヤスデだって一人で一杯動かしているのだから、多分そう言うことなんだろう!
 そんな、集団に見える奴……一番上の人がなにやら、指示を出すかのような仕草を見せた途端!
 突撃。
 とにかく突撃。
 一直線に突撃。
 一糸乱れぬ動きで怒涛のように駆け出した部下(っぽい部分)が、あらゆるものを踏み潰して回る!
 何しろ、千人分相当の四角推。
 最下層の幅と勢いときたら、生半可ではない。できれば踏まれないのが一番。
 でも、幅が凄いから一度襲われたら避けるのはきっと大変だ!
 うっかり真下に来ようものなら、その重さだけで戦線離脱は必至。踏まれる時はなるべく端っこになるように気をつけろ!
 そして、もう一つ。
 奴……奴等? いや、奴。
 とにかく、待たない!
 見つけるとすぐ仕掛けてくるぞ。
 相手の都合とか全然考慮する気ないから注意しろ!

 酒場に集った冒険者達よ!
 このなんだかよく判らない一人ぼっちの集団を、強制解散させてやれ!

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参加者
さすらいのギター宣教師・フェイ(a02632)
赤烏・ソルティーク(a10158)
路傍の花・セリンデ(a15599)
紅き薔薇の姫君・トルデナード(a16664)
月葬華・デク(a17997)
楽園の大地に生きる・サーリア(a18537)
狐傀儡の彼岸花・トール(a29205)
びっくりどっきり紋章術士・フォーカス(a34949)
護る盾・ロディウム(a35987)
苛烈なる壮風・ラグニス(a40885)


<リプレイ>

●登場
 地平線に盛り上がるかのような、四角推。
「ぶんちんに見える……」
 そう呟く、奇跡を愛する紋章術士・フォーカス(a34949)の背を遮るように立ち上がる、看板!
『ナンジャコリャー、始まるよー』
 脳内で鳴り響く組み体操の音楽も若干早回し。月葬華・デク(a17997)が素早く次の看板を掲げる!
『扇形!』
 でも、実は。
『今回はなんだか純戦闘っぽい雰囲気! だからお姉さんも敵からかなり離れつつ、隠れて地味に登場中。見つかるとピンチ』
 そんなデクの言い分ももっともなくらい、今日の敵は……
 ……よく見えます!
「あー……あれなら嫌でも目立つね」
 何もしなくても肉眼で見えまくりな敵を前に、紅き薔薇の姫君・トルデナード(a16664)は折角持ってきた遠眼鏡も直し直し。
 案の定、こちらが先に発見できたなと、さすらいのギター宣教師・フェイ(a02632)が早々と黒炎覚醒!
 この距離なら、相手はまだ気付いていないのでは?
 路傍の花・セリンデ(a15599)もまた必要無くなった遠眼鏡を仕舞いながら……いや、なんだか、予想外の速度で敵影が大きく……?
「もう突撃指示出してる……!」
 未だ遠眼鏡を覗き、てっぺんの人を重点的に観察していたフォーカスの呟きに、皆に戦慄が走る!
 一斉に燃えたり接続したり浮かんだりする召喚獣!
 準備!
 準備はよせな!
『鎧聖降臨を順にこっそりかけてくナリ。自分から始まり前衛職優先で。見つかったらピンチナリからできる限りこっそりと』
 さっきから一生懸命やってるが、流石にちょっと間に合わない気がして、デクはこっそり……こっそりする障害物のなさに泣ける!
 本当に待つ気がないんだ……
 噂の名乗り、楽しみにしていたのに……それが出来ないなんてッ……!
 この怒り、あの一人ぼっちの集団にぶつけようそうしよう。
 黒い炎を纏いつつ、傷つける盾・ロディウム(a35987)は決意新たに段々でかくなってくる一人集団を見据える!
 一方。
 何故か、むしろもうなんだか流れ的にそんな感じらしく、うっかりまた仕事受けちゃった、苛烈なる壮風・ラグニス(a40885)であったが、いつもより毛色が違うからまだマシかな、なんて思いを巡らせていたり!
 そんなラグニスの計算によると。
 底辺・高さの人数は14、計1015人で構成。1段あたりの高さを約60cmと仮定すると頂上まで7.8m、らしい!
 その姿を吹かした煙に濁らせる、赤烏・ソルティーク(a10158)!
「では軽ーくナンジャコリャーを始めましょうか?」
「……全力で、参ります」
 狐傀儡の彼岸花・トール(a29205)の眼前に、遂に、一人一人……じゃなく、部分部分の形がくっきり見えてきた!
 土煙上げて突進してくる団体個人!
「まぢでやるの? アレと?」
 フォーカス嫌そう。
 そして、アレじゃなくコレってくらい距離が!
「このまま轢く気ですなぁ〜ん!」
 鎧進化を終え、正面避けて飛び退く、おおっと・サーリア(a18537)。
 皆もばばっと散らばった!

●決戦
「ナンジャコリャー四天王決戦第三戦はじまるよっ♪」
 大まかに左右に展開、宣言と共にライクアフェザーの構えで突進回避を試みるトルデナード!
『全員終わ前に戦闘始まっちゃったので、近くにいるようなら鎧聖降臨をかけるナリ』
 控えめに、あくまで控えめに看板をちらちらさせながら、デクは引き続き鎧聖降臨連打連打!
『というわけでGOGO!』
 そして、眼前に迫る四角推が射程範囲に入った瞬間!
 集団の右舷前方より飛来する木の葉!
 フォーカスからは虹色に明滅するものが、セリンデからは新緑に萌える青々とした葉が、それぞれ描かれた紋章の中から無尽蔵に飛び出し、一人な団体を包み込もうと吹き荒れる!
 二重の緑の束縛は瞬く間に集団を取り巻き、なんと、その突撃を押し留めたではないか!
 隙間無く、とはいかなかったのか、モザイクのような緑色に覆われる四角推!
 そこに、続けて吹き付ける、凄い風!
「吹けよ、血風……赤嵐!」
 ソルティークの描いた紋章から噴出す、緑の突風!
 なんだか一体何処に当たってるんだか判らないが全体的に痛そうにしてる集団!
 更に集団は、吹っ飛びとはいかないまでも、横滑りするように数メートル進路を変える。
「私ソルティークは眼鏡っ娘とケモノミミ少女の為なら何でもしますよ? ……盾以外は」
 得意げになんか言ってる……!
 直後、更に集団を襲う衝撃!
「なんじゃこりゃーな千人さんにはおしおきですなぁ〜んっ」
 角の一人に組み付き、デンジャラススイングで振り回し……は、流石に出来なかったが、サーリアの根性パウアーで膝丈くらいにまで浮き上がる四角推!
 どしーんと落とされ、自重でダメージ! 最下層の人痛い!
 よろめく集団、その左側面から、不意にぷすりと突き刺さるカード。
 しかし、刺さった位置の人と無関係に一番上の人が痛そうにしただけで、黒い染みにはならず!
 ならば効くまでやるだけのこと、トールは次のカードを手の中に生み出しながら、新たに位置を取り直し。
 と、今度は蛇のような炎が二つ!
 フェイからうち放たれたブラックフレイムは召喚獣の力を得て虹色に輝きながら、最下層部の一人に直撃!
 やっぱり痛そうにしてる一番上の人。
 そして、ロディウムの撃ち放った炎は、適当に中段辺りに衝突して弾けた途端、魔炎と魔氷が四角推を覆い尽くそうと急速に広がリ始める!
「……不公平だと思いませんか? 相手あんなに不真面目な姿なのにこちらは不真面目にできないんですよ?」
 そんなボヤキは一番上の人に届いたであろうかッ。
 とにかく、奴が動けない今の内に削りまくらねば!
 再びフォーカスが描いた紋章が巨大な火炎を形成、虹色に輝く!
 あわせるように、セリンデの頭上にも紋章が展開し、それが一気に燃え上がったかと思うと、眩く燃え盛る炎の玉へと姿を変える!
「全く……千の群体に分かれていると言うならば攻撃するたびにトカゲの尻尾ばりに切り捨ててくれれば楽なんですけどね」
 派手に衝突し、花火のように美しく宙に散る炎の雫と、その衝撃に今にも崩れそうに揺れ動く四角推を遠く見上るソルティーク。
「そうすれば、その切り捨てた分だけ突進の破壊力も殺がれるでしょうに」
 しかし、やはりでかい。
 緑の束縛同様、召喚獣の氷炎もまた、部分的に穴を残しながら、集団を凍らせて燃やす。
 そんな集団の中央付近目掛け飛来するフレイル!
 あんなのに踏み潰されては一溜りもない。
「なら、踏み潰されなければ良いのよね」
 撃ち放たれたラグニスのチェインシュートが、どでかい的の真中辺りの……ああっ、土台の人が必至に避けてる!
「くっ、動けないのにやけに頑張るわね……!」
「じゃあ、ボクはこつこつと側面から削ろうかな♪」
 いつの間にやら、凍ったり纏わり付かれたりで立往生している集団の側面に、その身を三つに分けたトルデナードが!
 ぐさっと、土台の一人に突き刺さるミラージュアタック!
 痛そう! 何故かやはり上の人が痛そう!
 その時。
 四角推を覆っていた様々なものが、一斉に剥がれ落ちた。

●CM明け
 天辺の人が、奇妙な、しかし機敏な動きで指示を出す。
「こっちに来ますなぁ〜ん!」
 主に左側に陣取る五人に向け、一糸乱れず方向を転じる土台!
 ……全部自分なんだから当然だが、そこはそれ!
 直後、満を持して敢行される……突撃ー!
「速いですなぁ〜んっ!」
 最近距離のサーリアは緑のマントを閃かせ、持ち前の身体能力で反射的に突撃範囲を逃れる。
 だが、一辺約7m(ラグニス計算)の集団の前に、10mの間合いなどさしたる距離ではないというのか!?
「やっぱり不公平だと……!」
 思わず零したロディウムの眼前に、既に迫っている壁のような軍団(でも一人)!
 砂煙上げて走る数百本の脚に飲み込まれるロディウム!
 ソルティークも緑の突風で進路を変えようと試みるが、流石に間に合わず、フェイに至ってはど真ん中で突進の餌食に!
 ちなみに、左に回りこむように回避を試みたトールはあと二人分くらいで惜しくも間に合わず! 
 でも、直撃を免れた事で、デクが一生懸命合間を縫って施していた鎧聖降臨の恩恵を最大に得て、殆ど無傷。
 そして、集団が通り過ぎた跡には、無数の足跡と砂煙、そして、揉みくちゃにされた……
「保険に持っててよかったのだ〜」
 むくっと起き上がるフェイ!
 有難う、有難う肉体を凌駕する魂!
 そして、直様にヒーリングウェーブ展開!
「てゆーか、回復二回飛ばすまでは新しいダメージ受けるんじゃないぞー!」
 難しい注文だ!
 そこに、別方向から届く、柔らかな光。
「では、私が」
 少し位置取りを変え、セリンデの展開したヒーリングウェーブの光の縁が、フェイ、ソルティーク、ロディウムを繋ぐように綺麗に広がっている。
 直後、真下になるのは何とか免れ、負傷だけしたソルティークが高らかな凱歌を文字通り高らかに歌い上げれば、皆の体力も元通り!
 と、俄に。
「今度はこっちを狙ってるわ!」
 仕草に気付いたラグニスが、警戒を発しながら、急いで側面退避に移る!
 またもや……突撃ー!
「ホントに速いっ!」
 避けたはずの中央が、一瞬で目の前に迫ってきて、戦慄するトルデナード!
「轢かれてたまるかぁぁ」
 必至にダッシュするフォーカスにもまた、土台の人達が迫る!
 この場合は横方向に走……無理、早っ、近っ、無理ッ。
 それを悟った刹那。
 走る勢いそのままに、角付近の人目掛け、スライディング!
 次の瞬間、今度は方向違いで突撃の難を逃れていたロディウムが!
「そんな方法が……!」
 皆が目にした驚愕の光景。
 フォーカスのスライディングに躓く角の人。
 雪崩式に転ぶ、土台の人々。
 まるごと倒れる四角推!
 下敷きになっちゃう若干五名!
「攻撃自体は防げないのか〜」
 巻き起こった土煙の向こう、何処にいるか判らない仲間の位置を必至に探るフェイ。
 そんな、横倒しの四角推の傍ら、収まり始めた砂埃の中に立ち上がる影一つ。
『覚悟するナリ一本の指揮者。じゃなかった一千人の指揮者!』
 看板掲げたその影が、転んで最下層化している天辺の人に向かい、渾身のホーリースマッシュ!
 この期を逃す手があろうか。
 一目散に距離を詰めるトール。
「気をつけて、それ以上行くと凱歌の範囲から外れます」
 後ろで聴こえるソルティークの言葉に頷きだけを返し、繰り出されるシャドウスラッシュ!
 音は無く、しかし、凄まじき威力のその一撃に、倒れた集団全体が震える!
 と、なんとか回避に成功したラグニスの足元に、ひっくり返って横向きになった土台の人達が……
「……あ!? こら! 見るな! このスケベ! 変態!!」
 蹴る! 蹴って蹴って、更にフレイルで殴打!
 ひとしきり暴行を加えたのち、飛び退るラグニス。
「く、この、スカートの中を覗くなんて、よくも……」
 俄に、そんな集団が、意志と無関係に浮き上がる!
「とにかく早く退いて下さいですなぁ〜んっ」
 サーリアの渾身のデンジャラススイングが、またもや千人だけど一人の集団を浮き上がらせる!
 その僅かに出来た地面との隙間から……フォーカス生きてた!
 実際は、肉体を凌駕して起き上がってきたのだが。
「モブごときに負けてられないんだよー!」
 下敷きになり、しかし、トルデナードもまた立ち上がる!
 立ち上がり様に、目に付いた一部分の人に向け、素早くミラージュアタックでお返しだ!
 だが、その中で一人。
 届けられたフェイの癒しの光を浴びても、上手く起き上ってこれないセリンデの姿が。
 再び落ちてきそうな集団の底から、ダッシュ&ヘッドスライディングでその身体を浚い、ロディウムが続けて放ったヒーリングウェーブの範囲内へフォーカスが走る!
 そんな次の瞬間、集団が起き上がり、元の形に……
 ……上のほうにラグニスが取り付いてるー!?
「見て良いのは姉さんだけなのに……」
 それはそれで問題では!
「その罪、万死に値するわ……シニナサイ!」
 振り上げたフレイルにありったけ詰め込まれる、怒りの闘気!
 頂上で炸裂する、デストロイブレード!
 一緒に痛そうにしてる土台の人達!
 そのうちの一人に向け、デクがまた看板と蛮刀を掲げる!
『下から一人一人削っていけば、一段ずつ潰れて最終的に指揮官に攻撃できるかも。できないかも。かも』
 渾身のホーリースマッシュに。
「ちょっ、揺れ、揺れる!」
 ラグニスまた見えちゃうよ……!
 と、その足元に、物凄い勢いで氷と炎が!
 撃ち放った炎から開放される、ロディウムの召喚獣の力が、土台から天辺までを一気に覆い尽くし、動きを封じる。
 崩れはしないまでも、初めに見たときよりも明らかに傾いている四角推を前に。
「……撃滅します」
 再度距離を詰めたトールの、無音の一撃!
 攻撃された部分の人は、その威力に耐え切れず、切り飛ばされて集団から強制分離。
 そして、次の瞬間。
 開いた空間に砂が流れ込む時のように、欠員の出たその部分へと、次々に上の人が雪崩れ込み……一人の集団は、全て地面へと投げ出され、崩れ落ちたのであった。

●撤収
「敵沈黙を確認、と……ナンジャコリャー終了です♪」
 儀礼用長剣を鞘に収めつつ、ソルティークが決めポーズ!
 トルデナードも剣を収めて。
「はーい、お疲れー☆」
 サーリアは至極深刻な表情で。
「なんじゃこりゃー四天王、手ごわい相手でしたなぁ〜ん」
 そうして皆が見渡すそこは……天辺の人がぽつんと一人!
「他のは土に還っちゃうんだね」
 暮れなずむ夕日に映し出される、寂しげな光景!
 それを遮るように立ち上がる、看板!
『次は最後の四天王。それじゃ次の敵も、ナンジャー、コリャー!』

 有難う冒険者!
 君達の強制解散を忘れない!


マスター:BOSS 紹介ページ
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作成日:2006/05/11
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