≪密林の楽園Gパンポルナ≫ウナギを釣ろう



<オープニング>


 ザッバーン!
 豪快な音を立てて水面が揺れる。
 跳ね上げられた水滴が飛び散り、燦々と照りつける陽光を浴びてキラキラと輝いた。

「ふぅ……大物が獲れたなぁ〜ん!」
 筋肉隆々のヒトノソリンの親父が、細長い物体を両手で捕まえて汗を拭う……細いといっても相対的なもので、実際にはかなり太いのだが。
 ――にゅるりにゅるり
「……」
 黒耳のヒトノソリンの少女がその様子を見て硬直していた。
「どうしたなぁ〜ん? カナン。今日の晩御飯はこれを焼いて食べるなぁ〜ん」
 硬直する黒いヒトノソリン耳の少女……つまりはカナンに親父は黒くて細長くてにゅるにゅるする物体を近づける。
 ――にゅるにゅるぴっちゃんぴっちゃん
 焼くと香ばしく、その身には油が良く乗り、精のつく食べ物だ……ちょっと小骨が厄介で、皮の辺りが気持ち悪かったりもするけど。
「…………なぁん」
 手をワナワナと震わせながら俯いたカナンが何かを呟く。
「なぁ〜ん? よく聞こえなかったなぁ〜ん」
 あー? よく聞こえなかったなぁ〜ん? といわんばかりの勢いでカナンに耳を近づける親父。
「それは嫌いって前にも言ったなぁ〜ん! この馬鹿親父! なぁ〜ん!」
 くわっ! と顔を上げるやいなや親父の股間にミドルキック。
「な゛ぁん!?」
 ――ぴちん!
 そして思わず屈んだ親父の顔面をグルリと回った反動を利用した強烈な尻尾アタックが強襲した! 始めは激しく……やがてへにょりと柔らかく、それでいてしつこくない肌心地!
「ブヴァ! ……か、カナン……立派になった……なぁ〜ん」
 しっぽのへにょへにょ感と肌触りを感じつつめきょめきょとウナギに締め上げられながら、親父は娘の成長っぷりに感涙するのであった。


「まぁ、そんな訳でウナギに締め上げられてぎっくり腰になった親父さんの変わりにウナギを捕りに行かねばならなくなった」
 横でブスっとむくれるカナンを横目に、アムネリアは言った。
「別にウナギじゃなくて他のものでも良いんじゃないのかなぁ〜ん?」
 と、赤い実の・ペルシャナ(a90148)が相変わらずもっともな事を言うが……アムネリアはそんなペルシャナにピシッと人差し指を突きつけると、
「ぎっくり腰の親父さんに精のつくものを食べて貰いたいと思わないのか? 思うだろう? そんな訳だから釣らなければならないんだ」
 親父さんのためにもウナギが必要なのだと言い切った。
「……あんな気持ちの悪いもの良く食べるなぁ〜ん……」
「何を言う! あの油の乗った白身、じっくりと焼き上げればふんわりと柔らかく皮はパリパリで蕩けるような食感が――」
 しかし、ぼそっと呟いたカナンに思わず力強く反論するアムネリアを見て、
「つまり、アムネリアちゃんがウナギを食べたいだけなぁ〜ん?」
 ペルシャナは小首を傾げた。
「そ、そんな事無いぞ! 親父さんの為なんだから! ……それじゃ皆がんばってな? あと、お土産も宜しくな?」
 図星を指されたアムネリアは頬を染めながら護衛士達を見送るのだった。

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参加者
愛想義心の朱蓮・ナリュキ(a02194)
七色の尾を引くほうき星・パティ(a09068)
紅い魔女・ババロア(a09938)
森の子きのこ・メリル(a10777)
炎に輝く優しき野性・リュリュ(a13969)
夢見るノソリン紋章術士・ルルノー(a14011)
黒衣の天使・ナナ(a19038)

NPC:赤い実の・ペルシャナ(a90148)



<リプレイ>

●釣りのポイントは?
 大きな入道雲が流れる。
 秋には高く見える空も、夏には少し近く感じるから不思議だ。

「うーなーぎーーーっ……妾、鰻、大・好・物じゃーっ」
 上気した顔で、愛想義心の朱蓮・ナリュキ(a02194)が主張する。
「ウナギは美味しいですよねなぁ〜ん。私もうな丼大好きですなぁ〜ん」
 そんなナリュキに、お散歩ノソリン紋章術士・ルルノー(a14011)はにっこりと満面の笑みを浮かべる。美味しい鰻を捕って来ればカナンの親父さんも元気になって腰が治るやも知れない、美味しいご飯にはそのくらいの力があったりなかったりするものである。
 美味しい鰻を頑張って捕りたいですなぁ〜ん、一緒に頑張りましょうなぁ〜んと気合充分にルルノーはナリュキに向かって言うが、
「鰻っ鰻っ鰻と妾〜にひひひ、鰻も皆も美味しく蒲焼にゃーっ」
 ナリュキ少し錯乱気味だった。
 えっと……と少し困ったようにナリュキから視線を他の仲間に移すルルノーの目に、紅い魔女・ババロア(a09938)の姿が入る。
 本日のババロアは、お気に入りのエプロンを着用して髪は自然に流し、クールビューティ風味だ……が、徐に胸の無い人形や妙に黒い金髪エルフな霊査士に似た人形を手に、
「人形使いのババロアです。胸はなだらかだが、このままいけないと思い、2サイズアップするブラを購入しました」
 などと良く解らない事を口走っていた。
「うぷ……うな、な、なぁ〜ん……だぷ……誰かこの娘を止め……なぁ……」
 甲斐甲斐しくお世話をすると見せかけて、床に伏したカナンの親父の口にお粥を問答無用で詰め込む様は、お嫁さんの鑑に良く似た姿である……どう見ても鬼嫁だけど。
「妾が鰻の素晴らしさを汝の娘にすりこむのじゃよー」
「ええ、私達が必ずうなぎを捕っくるから」
 だから釣り場のポイントを教えてね? とナリュキとババロアがカナンの親父から聞き出そうとする。
「おぉ……すまんなぁ〜ん、娘さん方……釣り場はな……」
 ――グギィ!
「ななぶふぅ!?」
 ヴフゥ! と米粒が親父の口から飛び散る……釣り場を教えようとした瞬間、親父の鳩尾にカナンの強烈な尻尾の一撃が炸裂したのだ。
「親父殿……惜しい奴を無くしたのじゃ」
「お父さん……せめて末期にお粥でも」
「ふに、まだ死んで無いなぁ〜ん。だから、お粥を詰めなおしちゃ駄目なぁ〜ん」
 ついでにカナンの親父の口や鼻にお粥を詰め始めたナリュキとババロアに、赤い実の・ペルシャナ(a90148)が一応の突っ込みを入れてみたものである……既に手遅れな様子だったけれど。
「カナンちゃんって実は……ううん、何でもないなぁ〜んよ☆」
 キョトンと小首を傾げるカナンに、黒衣の天使・ナナ(a19038)は笑って誤魔化す。トラブルメーカーだ……なんて思っていたのは内緒である。
「にゃにゃ☆ 今日はウナギ狩りにゃ☆」
 にゃっにゃっー♪ と、七色の尾を引くほうき星・パティ(a09068)がご機嫌な様子でそこら辺で拾った良い感じの枝を振っている。
「でっかいうなぎっ♪ すっごく楽しみだね。でも狩りじゃなくて釣りじゃないかな?」
「のーぷろぶれむにゃ☆ ボクは弓矢を使うから、これは何と言っても狩りにゃ☆」
 ん〜? と小首を傾げた、森の子きのこ・メリル(a10777)にパティはど〜んと大物を獲って帰るよ☆ なんて元気いっぱいな笑顔を返したものである。

●うなぎ釣り
「あ、そうだ☆ ウナギは夜行性だから夕方からが良いんだって☆」
 なんてパティが言い出したものだから、一向は日が暮れる頃にうなぎ釣りのポイントに着く事になった。

 緩やかに流れる水面に映る真っ赤な空がなんとも美しくて……。
「餌はいい方がいいなんて、嫌な予感がするなぁ〜ん……」
 炎に輝く優しき野性・リュリュ(a13969)が辺りを警戒しながら釣り糸をたらしている。リュリュの目には水面の赤さも何やら不吉なものに映っているのかも知れない。
「それじゃあ気長にはじめようかなぁ〜ん♪」
 ナナがそのリュリュの横に座って、釣り糸をたらし始める。一瞬、リュリュがビクゥ! と、身を強張らせていたりもしたが。
「……あ、カナンちゃん、退屈になったらリュリュさんの耳をムニムニしてあげるといいなぁ〜んよ☆」
「なんで私があんな気持ち悪いものの為に……なぁ〜ん」
 なんだかんだで、ちゃんと鰻釣りのポイントまで案内したカナンがブツブツと不満を口にしながらリュリュの耳を遠慮なくムニムニしだす。
「ねぇ、釣れた?」
 そこへ、釣り糸をたらして3分待たずに飽きたらしいパティが現れ、さり気なくカナンと一緒にリュリュの耳を一緒にムニムニしだした。
「な、な……ふぅ……ん」
 耳をムニムニされてリュリュは少し顔を赤らめている。
「むむむ? 負けないなぁ〜ん!」
 反対側の耳をムニムニしだしたパティに、対抗意識全開でリュリュの耳をムニムニモニョッとムニムニする、全力で。
 それを見たパティも、カナンに負けじとリュリュの耳をムニプニし始める、何か面白そうだったから。
「はぁはぁ……あぅ……なぁ、なぁん……」
 ノソリン尻尾をピンとはるリュリュであったが……まぁ、そっとして置いてあげよう。

 ――バシャバシャ
「なぁ〜ん」
 一匹の緑ノソリンがゆっくりと川を泳いでいる……ウナギを釣るべく、自ら餌になって川を泳ぐルルノーである。
「なぁ〜ん、なぁ〜ん♪」
 ばっしゃんばっしゃんと水を跳ねて楽しそうだが、しっかりと体に縄を付けている辺り抜け目が無いし、その縄もババロアが持っているし、バッチリである。
「うふふ、正面がなだらかな人形達……どの人形が一番いい餌になるかしら」
 ……何故か人形の正面を愛でてあんまり縄を持っていないババロアに一抹の不安を感じ無いでもないけれど。
「こうするともっと楽しくなるのだ☆」
 リュリュの耳をムニムニするのにも飽きたパティが、徐に楽しそうに泳ぐルルノーに向けて赤く透き通る矢を放った!
「な、なぁ〜ん!?」
 バッシャーン! と水滴が飛び散り、当然の事ながらルルノーの変身が解ける。
 さらに、その音を何か獲物の音と勘違いしたのか黒くてヌメヌメしたものが水面を滑るようにルルノーに近付いて。
 ――バクッ!
 とルルノーを一飲みにしてしまった……赤いしぶきが上がったが、それは夕日のせいに違いない。
「……た、大変なぁ〜ん! ルルノーちゃんが食べられちゃったなぁ〜ん!」
 ワタワタとペルシャナが動揺するものの、
「大丈夫よ、こんな時の為にルルノーさんの腰には縄が付いていたのよ。そうでなければ餌として機能しないしね」
 腰に手をあて格好良くポーズなんか決めつつ、自信満々にババロアが解説を入れる。
「……縄、切れてるなぁ〜んよ?」
 だが、ナナが言うように、縄は切れていた。
「え!? あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛〜〜ん!」
 と言うより、切れた縄が何故かパティの足に絡まってそのままパティを川に引き込んでいってたりもする。
「あっ」
 一瞬、しまった! という顔をしたババロアだったがすぐに人形を取り出すと何事も無かったかのように人形の正面の辺りを目で始めた……現実は世知が無いものであるから、心を癒してくれるのは人形暗いな物である。
「はぅ……は、早く、はぁはぁ、助け・……るなぁ〜ん」
 何故か息も絶え絶えなリュリュが主張すると、
「リュリュよ、これに乗るのじゃ!」
「ナリュキさん用意が良いなぁ〜ん! じゃ、行くなぁ〜ん!」
 ナリュキが丁度人が一人入れるくらいの大きさの樽を指し、リュリュは颯爽と樽に乗り込んで、いざ大海原(川)にレッツゴー!
 何かトントン拍子で可笑しな会話が続くが、それはきっとメリルから放たれる淫靡な香りの紫煙のせいに違いない。そして途中まで進んだ辺りで案の定、樽が沈み始めた。
「なぁぁぁぁぁ〜〜〜ん!!? なぁっ、ごほっ、し、沈んで……」
「これでリュリュも仲良く餌仲間じゃろー☆」
 にししと笑みを浮かべるナリュキに抗議を示すリュリュだが、時既に遅しである。ついでに黒くてウネウネしたものがリュリュに巻きついてうにうにと動き回って締め上げる。
「き、気持ちわ……なふ……し、尻尾を噛んじゃだぁ……なぁゎゎふぶはっふば……ぁん」
「リュリュさんの犠牲は忘れないなぁ〜ん……そのためにも、うなぎさんは美味しいご飯になるのなぁ〜ん!」
 ナナは一瞬リュリュに黙祷を捧げた後、白く輝く光の槍をウナギに向かって投げ付け、ウナギに引っ張られているパティが必死にはなったっぽい光の軌跡を描く矢がウナギの脳天を捉えた!
「がぉー妾の銛の一撃を食らうにゃがシップ級ーっ」
 そして気合ともに素手でリュリュに巻きつくウナギを殴ると、キルドレッドブルーの魔氷と魔炎に包まれながらウナギはプカーと水面に真っ白な腹を見せたのだった。

●うなぎを食べよう
「ああああああ危なかったですなぁ〜ん……」
 うなぎの口からルルノーを救出してから、うなぎを捌いて荷台に積む。ルルノーを一飲みにするくらいの大きさである、まとめると軽い船くらいの大きさはあろうか?
 積みきれない分はその場で食べる事にした。

「たくさんは取れなかったけれど、これだけあれば十分よね」
 ババロアが串に刺したウナギを火に炙りながらうんうんと満足げに頷く。
「体が風船になろうとも食べるのをやめぬー」
 決して引かぬとばかりに焼いたウナギを口に詰め込んで行くナリュキ。その様たるや大食いに命をかける漢達も真っ青な食いっぷりである。
「うーん、さっぱりジューシー、これならお父さんも喜ぶなぁ〜ん♪」
「タレのいい匂いもするなぁ〜ん」
「やっぱりうなぎといえば蒲焼きなぁ〜んよね♪」
 ウナギといえばやっぱり蒲焼! とリュリュ、ルルノー、ナナの三人がほうばりながら頷きあった。


 もう大分暗くなった空にウナギを焼く煙が立ち昇る。
 大きなお土産を手に冒険者達が帰路に付くのは、もう少し先になりそうだった。


【おしまい】


マスター:八幡 紹介ページ
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作成日:2006/05/13
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