奇跡の実 〜ペルシャナの願い〜



<オープニング>


●奇跡の……実?
「耳がやっぱり邪魔なぁ〜ん」
 徐に、伸ばされた手が赤い実の・ペルシャナ(a90148)の耳を掴む。びくんと体を振るわせたペルシャナに気にせず、突撃ヒトノソ元気っ子・リュミー(a90245)はその耳をゆっくりとムニムニとしはじめた。時折強く引っ張られるその動きに、ペルシャナは困惑した表情のまま息を弾ませる。
「な、なぁっ……りゅ、リュミーちゃん……ムニムニ、やぁっ……なぁ〜んっ」
「なっ……なぁん! だ、だって耳が邪魔なぁ〜ん! が、我慢するなぁ〜ん!」
 嫌がっても、リュミーはその手を止めることは無い。背中に胸を密着させて、後ろから何度もムニムニムニムニ。そして大きく引っ張った瞬間、ペルシャナの口から悲鳴にも似た声が漏れ出す。
「な、なぁ〜ん! クーニャちゃん、助けてなぁ〜んっ!!」
「なぁっ……ちょっ……し、尻尾……尻尾くすぐったいでござっ……なぁ〜ん!」
 そう言ったペルシャナは、目の前で悩んだ顔をしていたヒトノソ忍者・クーニャ(a90310)の尻尾にしがみつき、引っ張り始める。ひらひらとスカートが揺れるのも構わず、ペルシャナは尻尾をぺしぺし叩いたり、クニクニ揉んだり。
「駄目っ……で、ござるなぁ〜んっ……! ……二人ともっ、やめるなぁ……んっ!」
「……なぁふ!」
 そして最期に、クーニャの指がリュミーの頬を直撃した。そしてその頬をぷにゅぷにゅ、ぷにゅぷにゅ。
「なぁ〜ん!」
「ござるなぁ〜ん!」
「なぁふっ!?」
 酒場の片隅で、絡まりあった感じに固まったヒトノソ三人娘。
 そんな彼女達を見ながら、お茶を用意したストライダーの霊査士・テスリア(a90293)が深緑の霊査士・ディクス(a90239)へと聞いた。
「……何やってるんですか、あれ」
「……いや、髪の毛を切ろうとしてるらしいんですけど」
 なるほど。確かにリュミーの手には、鋏が握られていたような気がしないでもない。 

 そんな事はさておいて、と用意したお茶を啜りながら霊査士二人は冒険者達を呼び寄せた。勿論、その中にはヒトノソ三人の姿もあるが、彼女達はまだ絡まったままだ。
「兎に角、依頼のお話をしましょう。まずはこの果実を見てください」
 3人組の様子に溜息を一つついて、テスリアは冒険者達に青い小さなドライフルーツを手渡す。その間に、ディクスが言葉を続けた。
「見て分かるとおり、これは普通の干し葡萄です。ですが、この実を『奇跡の実』と言って人々に売りつける集団が現れました」
 二人の話は、こうである。
 とある町に、一組の行商人が立ち寄った。彼らは瓶に詰められた干し葡萄を見せてこう言ったのだ。
「皆さん、これは自分の姿を理想通りに変える代物です。この実を二粒飲み込んで、一晩を過ごせばあら不思議、貴方の望みどおりの姿になります」
 そう聞いた町の人たちの頭には、思い思いの理想の姿が描かれただろう。そんな純粋な彼らに、行商人はにっこりと微笑み言葉を続ける。何時もは財を持つ領主様などに買われる品々、けれど今日一日は特別に皆様の家にある宝物一つで交換して差し上げましょう、と。
 町の人々は我先にと家の家宝を行商人へと差し出した。そして手にした二粒を飲み干して、次の朝日が昇るのを待ったのだ。
「……でも、一晩明けても人々の姿は変らなかったそうです。当たり前といえば当たり前なんですけど」
 そして朝日が昇る頃には行商人一行の姿が町から消えていたそうだ、と肩を落としてテスリアは冒険者達にそう告げた。
「行商人というのは真っ赤な嘘、本当は盗賊団の一味のようでした」
「しかも、町から消えた直後には盗賊団ごと拠点を移動しています」
 拠点をも動かしてしまう彼らの足取りは、町や村の自警団では追いきれるものではなく、既にいくつかの村と町が被害にあっているという。
「そしてもう一箇所、抑えておいた方が良い場所がありそうです。……これは、霊査をした時に見えたのですが」
 詐欺のような行為で味を占めた盗賊達は、次に狙う町の近くにある小さな葡萄畑に目をつけた。
 そろそろ干し葡萄の在庫がなくなってきたらしく、その畑で在庫を補充しようという考えのようだ。
 一人でも盗賊を逃がせば、また違う盗賊達と共謀し、似たような事を違う町で行なうだろう。
 それを防ぐ為には、町と拠点、そして葡萄畑。その三つを同時に抑えなければならないのだ。

●ペルシャナの願い
「皆さんには、町に行って町の人々に『奇跡の実』を売りつけている盗賊達の捕獲をお願いします」
 『奇跡の実』……つまりは只の乾し葡萄の入った瓶を見せながらディクスが説明を開始するが、
「……なぁ〜ん」
 ガックリと項垂れたペルシャナが溜息を付いた。
 何時もはピンと張ってる赤い実の付いたノソリン尻尾も、先ほどリュミーに揉まれまくっていたノソリン耳も心なしか元気が無い。
「え〜っと……ペルシャナさん?」
 一瞬無視しようかと思ったディクスであるが、床にペタンと座り込んでのの字を描いているペルシャナを見て、何となく放って置いても置けなかったのか声を掛ける。
「ディクスちゃん……ペルシャナは……ペルシャナはエンジェルになってみたかったのなぁ〜ん」
 そんなディクスを上目遣いで見つめるペルシャナ。
 本当に『奇跡の実』は駄目なのなぁ〜ん? ペルシャナ、エンジェルになれないのなぁ〜ん? とか、そんな視線である。
 ふわふわの羽を持つエンジェル、ぼぉっとしていると風に吹かれてしまうエンジェル、そんなエンジェルに少しだけなって見たいとペルシャナは思っているようだ。
 ディクスは何とも言えない微妙な笑顔をペルシャナに向けると、
「ペルシャナさんは今のままでも充分に可愛いですよ?」
 とか歯の浮くような台詞を吐いたものである。
「……!? はわわ! も、もしかして、ディ……ディクスちゃんもペルシャナの耳ムニムニを狙ってるのなぁ〜ん!?」
 しかし、何をどう勘違いしたのかペルシャナは野獣を見るような視線をディクスに向けてあとずさる。
「違いますよ。だから、変な誤解を招くような事を言わないように」
 自分の耳を抑えて涙目でイヤイヤするペルシャナにディクスは冷静に突っ込んだものである……何かに怯えたような表情で周りを見回していたのは多分気のせいだ。
「兎に角、町人に成り済ますなり正攻法で追いかけるなり、手段は問いませんので町に出て盗賊を捕まえて下さい」
 はぁ……と一息ついた後、ペルシャナの眼前に指を突き立てて言い聞かせるようにディクスが説明する。
「ふに……解ったなぁ〜ん」
「……まぁ、盗賊を捕まえた後に、盗賊達が持っている『奇跡の実』を食べても誰も咎めたりはしないと思いますよ?」
 やっぱりガックリ項垂れてしまったペルシャナに仕方が無いですねとディクスが言うと、
「本当なぁ〜ん!? えへへー、それじゃペルシャナ頑張って盗賊を捕まえるなぁ〜ん♪ リュミーちゃんとクーニャちゃんには負けないのなぁ〜ん!」
 ペルシャナはパァっと顔を輝かせて一緒に冒険に出てくれる仲間を探し始めた。

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参加者
暁天の武侠・タダシ(a06685)
そよ風が草原をなでるように・カヅチ(a10536)
光輝の青騎士・エリック(a23338)
月夜に舞い降る銀羽・エルス(a30781)
紅の魔女・サレナ(a46398)
紫霞の・カオル(a48252)
緑にして深緑・ヱ(a49063)

NPC:赤い実の・ペルシャナ(a90148)



<リプレイ>

●町角の冒険者
 なぁんなぁん、なぁ〜ん♪ ななんなぁ〜んなぁ〜ん♪
 ご機嫌な様子で赤い実のついた尻尾をフリフリと振りながら歩く、赤い実の・ペルシャナ(a90148)……早く奇跡の実を食べてエンジェルさんになって見たいなぁ〜ん♪ と言う空気が全身から溢れ出している。
「ペルシャナは、なんでエンジェルになりたいんだい?」
 そんなペルシャナに白塗りの仮面を被った、デカマカラル・エリック(a23338)が声を掛ける。
 正義のヒーローを自称するエリックはヒーローらしく子供の夢を壊さないように、オブラートに包んだ感じでペルシャナに問うが、
「なぁ〜ん? なんでって……なぁ〜ん……なぁん? なぅ……」
 そんなに深いことを考えているはずも無く、なぁ〜ん? とペルシャナはしきりに首を傾げ……普段使わない脳味噌を使ったせいかうつらうつらし始めた。
「私はエンジェルよりヒトノソになってみたいなぁ〜んけどね」
 うつらうつらしているペルシャナの肩を揺すりながら、そよ風が草原をなでるように・カヅチ(a10536)は言う。
 人生どんな不思議な事が在るか解らないのだし、自分で自分の枠を決めちゃう事も無い。
「私は大人になっても夢見続けるドリーマー。グリモアパワーで解決なぁ〜ん」
「解決なぁ〜ん♪」
 あんまり気合の入らない感じで片手を挙げたカヅチに、なんだか解らないけどペルシャナも同調して片手を挙げるのだった。

「思い通りの姿になれる奇跡の実!? すごい、それならボクも『せくしぃなお姉さん』になれるかもっ☆」
 紫霞の・カオル(a48252)は、せくすぃに憧れる年頃なのか両手をぐるんぐるん回しながらせくすぃを連呼している。
「盗賊を……盗賊? どっちかと言うと詐欺師の気もしますが……」
 紅の魔女・サレナ(a46398)はあれ? と小首を傾げた後に、兎に角その連中を捕まえれば良いんですよね! と自分を納得させた。
「ふむ、偽者か否かはすぐにわかることじゃが……ああも純粋にされると少し可哀想じゃの」
 グリモアパワーなぁ〜ん♪ と喜んでいるペルシャナの方を見ながら、緑にして深緑・ヱ(a49063)は首を傾げる。あの喜びっぷりを見ていると、詐欺師を捕まえるよりペルシャナがショックを受けぬよう配慮するほうが難しいかもと思えるのだ。
「……って、詐欺なの!? ……期待させやがって、ゆーるさーんなーのだー!」
 どうしよー、新しい服とか……あ、下着も買わなきゃいけないよねっ♪ とか一人で盛り上がっていたカオルが、実は詐欺だったらしいと今気付いてムガー! と怒り出した。
「うん、まあ、なんだ。このあたりの住人は純真なんだな」
 そんなカオルの様子を見てこの辺りの住人はこんな感じなのだろうか? と、武侠・タダシ(a06685)は何処か疲れたような顔で一人ごちた。
「奇跡、ですか?」
 月夜に舞い降る銀羽・エルス(a30781)の顔が陰る。奇跡がそんなに得やすいものならば……と色々思うところがあるのだろう。
(「とりあえず、人の願いを利用し、暴利を貪るのは、決して許せない」)
 エルスは決意を新たにするように、小さな拳に力を篭めた。

●真面目に行こう
「皆さん、これは自分の姿を理想通りに変える代物です」
 タダシの提案で町の広場に向かった一行は、早速怪しげな口上を述べる男を見つけた。
「……解りやすいな」
 詐欺師としてそのレベルの低さはどうなのか? と思わなくも無いタダシであったが、見つかり難いよりは良いだろうと自分を納得させると、集まっている一般の人々に混じって盗賊たちの話に耳を傾ける。
「この実を二粒飲み込んで、一晩を過ごせばあら不思議、貴方の望みどおりの姿になります!」
「おお! それはなんてスゴインダー!」
「コレは、今買わないとイッショウコウカイシソウダー!」
 もの凄い棒読みでサクラらしき男2人が、奇跡の実を持ち上げる。いくらなんでも、そんなのには引っ掛からないだろうと思うかもしれないが、世の中勢いで買っちゃう事もあるのである。
「本当に何もできるのか? 例えば……恋の事も?」
 羽と武器をマントで隠したエルスが右手の甲を唇に当てながら悩ましげな表情で盗賊に話かける。
「いえ、何でもは出来ません。望んだ姿になれるだ……」
 町中でマント姿の少女である、怪しいにも程がある。盗賊は何でも出来る訳無いじゃんと一蹴しようとして……さりげなくエルスの右手の甲につけられた宝石に視線が釘付けになり、
「ですがお譲ちゃんが美しい大人の姿になれば、その恋も叶うでしょう!」
 追い払う気から一転して売り込む気満々である。
「本当!? ボクはセクシィーなお姉さんになりたいんだけど……本当になれるかな?」
 羽根をリュックに穴を開けてその中に隠したカオルが切実な面持ちでエルスと盗賊との会話に割り込んだ。
「ああ、勿論さお譲ちゃん、俺も昔は背が小さかったんだが、ほれ見ろ! 今はこんなに立派な大人さ!」
 サクラ役をやっていた男が、コレも奇跡の実のおかげさ! とウインクする。
「へーーー! 凄いね! あ、この実っておいしいの?」
 うわー! と目を輝かせながら凄い凄いとはしゃぐカオルを見て、サクラの男は気分を良くしたのか――
「はっはっはー! 当然さ美味いさ、干し葡萄だからな!」
「「おいっ!?」」
 ――言っちゃった。
「くそぅ! 謀ったな!」
 お約束気味な捨て台詞を吐くと、盗賊はバラバラに逃げ始める。
「逃がすかよ」
 多少あきれ気味にタダシが両の手から粘着性の高い糸を放つと、干し葡萄だと言っちゃった盗賊が絡め取られる。
「――♪」
 残りの2人も、エルスが胸に手を当てて眠りに誘う歌を歌うとあっさりと眠ってしまった。

 カオルが眠った男2人と、糸に絡め取られた男を改めて縄で縛る。
「巻き込んでしまって申し訳ないな」
 一連の様子を唖然として見ていた周りに居た人々にタダシは謝罪を述べ、
「もうあんな話を信じないで、この世界には奇跡は……無い」
 何だか憂いを秘めた表情で呟くエルスに、周りの大人たちは苦笑いするしかなかった。

●不真面目に行こう
 ――ワイワイガヤガヤ
 町の一角に人だかりが出来ている。
「さぁ! よってらっしゃい見てらっしゃい! 此処に取り出だしたりますは『奇跡の実』! 一口食べればあら不思議、たった一晩で貴方の望むままの姿になれるスーパーウルトラ素敵ダイナミックな食べ物さべいべー!」
 なにやら妙な口上を謳いながら『奇跡の実』とあからさまなラベルが張ってある瓶を掲げる男が1人。
(「始まったようじゃの」)
 その様子を近くに占いの店を構えてずっと待っていたヱが見守る。何故盗賊の一団が現れる位置に予め店を構えられたのか? ……グリモアパワーである。
 それは兎も角、ヱは不審な動きをする輩が居ないかどうか目を凝らして観察しようとして――ヱは失念していたらしい、人が集まれば当然盗賊たちの姿は人込みに紛れてしまう訳で、占い師として店を構える彼女の目からは盗賊の姿など見えないのである。
(「く、妾としたことが、うかつ……あまりにうかつだったのじゃ!」)
 なんてこったい! と、青空を見上げる……空はとっても青いのに、何故か滲んで見えた。

 そんな見た目6歳の占い師は置いておいて、

 集まった人々は口々に本当かよ? 嘘くせー。などなど、にその胡散臭さを指摘するが、
「もしや貴方は!? ああ、やっぱりそうだ。先日は有難うございました。おかげさまでこのように美しい体を手に入れることが出来ましたよ!」
 バイーン☆ キュ☆ ボイーン☆ な女性がアハーン☆ なポーズでこれ見よがしに自分の体を観衆にさらすと、周りの男どもからは「おおー!!」と歓声が上がる。
「スゲー! マジスゲー! まさに肉体の構造改革ヤー!」
 そして、その女性に呼応するように、むさ苦しい男が大声を上げた。棒読みだったけれど。
(「あの2人かな」)
 集まっている人達に紛れ込んでいたカヅチが、ムチムチ☆ な女性と、棒読みの男に的を絞って……丁度その時、売り口上を謳っていた男と視線が合ってしまった!
 多数の冒険を潜り抜けてきたカヅチである、普段はどんなにおちゃらけていてもそのオーラは熟練の冒険者の物だ。
(「拙いですね、もしかしたら私のオーラで冒険者だとばれてしまうかも知れませんなぁ〜ん」)
 と、内心どきどきのカヅチであったが、
「さぁ、どうする? 今ならお買い得だよベイベー!」
 男はニッコリと微笑んで、カヅチに瓶を見せ付けてきた……あの実を食べれば冒険者のオーラが身につくかなぁ……嗚呼、お願いグリモアパワー。
「はわわ! 本当なぁ〜ん!? すごいなぁ〜ん!」
 遠くを眺めて黄昏てしまったカヅチに何か悪いことをしたかな? と首を傾げる男の目の前に、ペルシャナが現れ感動した面持ちで目をキラキラと輝かせている。
「ああ、本当さお嬢ちゃん! お嬢ちゃんは何になりたいんだい?」
「えへへー、ペルシャナね、エンジェルさんになりたいなぁ〜ん♪」
「エンジェルさん?」
「そうなぁ〜ん。ほら、サレナちゃんみたいになりたいなぁ〜ん♪」
「あ、こんにちわ〜♪ サレナで〜す♪」
 エンジェル? と首をかしげた男に、ペルシャナは完全武装かつミレナリィドール付きで、にこやかに手を振るサレナを指差して――
「「「って、お前等冒険者かよ!?」」」
 色んな意味で予想外だったらしく、慌てた男達は我先にと逃げ出す!
「絢爛っ!!」
 そんな盗賊たちの前に立ちはだかる白塗りの仮面の男! アンジュリオンアーマーと名付けた鎧に強大な力を流し込み、正義のヒーローっぽい格好になる!
 そして白い仮面をはずして――真っ白な顔色にペイントと言う、どう見ても悪役面なエリックの素顔が開かされる!
「うわーん、ママーあの人怖いよー!」
 ニヤリとニヒルに……むしろキシャー! と笑うエリックを見て子供が泣いていたりするけど、気にしたら負けだ。
 エリックの顔を見て、立ちすくむ男達……そりゃ立ちすくむかもしれない、理由はいえないけど。
「ペルシャナ、あの盗賊一味に紅蓮の咆哮を頼むっ!!」
「なぁ〜ん!」
 エリックの指示通りにペルシャナが叫び、
「おとなしく奇跡の実をよこすなぁ〜ん」
 そこはかとなく悪役っぽい台詞を吐きながらカヅチが額から眩い光を放って、盗賊の男達の自由を奪う。
「逃がしませんよ」
 カヅチの光を逃れた女も、待ち伏せしていたサレナが放った七色に輝く木の葉に捕らわれ完全に身動きが取れなくなった。

 一般人が集まっているところで捕縛は拙いだろうと思っていたヱであったが、こうなってはそんな事も言ってられない。
「死にとう無ければ、大人しゅうすることじゃの」
 周囲に薄暗い空間を作り出し、不吉なことを言うと……脅すには十分だったのか、盗賊たちは大人しくなった。

●叶わぬ願い?
「はう……やっぱり駄目だったなぁ〜ん。グリモアパワーでも変身出来なかったなぁ〜ん。……あ、美味しいなぁ〜ん」
 まぁまぁ、これでも食べて元気出して? とタダシから渡されたエンジェルっぽい形をしたブドウパンを齧りながら、めそめそとペルシャナが落ち込んでいる。
「ペルシャナさんは今のままでも充分に可愛いですよ?」
 カヅチがそんなペルシャナの肩を叩いて慰める、勿論下心なんて無いらしい。
「……実は、エンジェルでもいつも楽しいではない」
 エルスがペルシャナにそっと囁くように話しかける。風に飛べたらと枝にかけられて、とんでもない目にあったりもするのだ。
「ヒトノソも可愛いと思いますよー」
 と言いつつエルスは、首を傾げるペルシャナの耳をムニムニと揉んで――
「ふ……なぅ……やぁ……なぁ〜ん」
「ぁ、ちょ、ちょっと止めて……そんな、あぅ」
 お返しとばかりにペルシャナはエルスの背中の羽をサワサワと揉み返す。
 何だかんだで楽しそうなペルシャナを見て、気の回しすぎだったのじゃろうか? と、ヱは笑うのだった。

【おしまい】


マスター:八幡 紹介ページ
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ダーク ほのぼの コメディ えっち
わからない
参加者:7人
作成日:2006/06/14
得票数:ほのぼの38  コメディ4 
冒険結果:成功!
重傷者:なし
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