ブラッドワイン



<オープニング>


●ブラッドワイン
 カーネルの貴族が最高のワインを造るため、メイドとしてやってきた娘達を手に掛けているらしい。
 貴族の名はガルバラン。
 カーネルでも名の知れた貴族の一人だったのだが、ワインの事になると人が変わってしまうため、悪い噂ばかりが目立っている。
 コイツが最高のワインを造るため、毎日のように研究を続けていたのだが、その結果とある材料が必要である事が分かったらしい。
 その材料とは……生娘の血だ。
 ……何とも馬鹿げた話だろ?
 挙句の果てに自分の娘まで手に掛けたって噂まで流れている。
 このままでは関係のない娘まで犠牲になってしまう。
 そこでガルバランが娘達を手に掛けた証拠を掴み、ヤツを捕まえて欲しいんだ。

マスターからのコメントを見る

参加者
聖水の湖女中・シャワー(a01071)
白鴉・シルヴァ(a13552)
大海原のお嬢様・ルーコ(a30140)
闇色の蝶は新月に舞う・ナオミ(a32461)
毒杯・リヴァ(a32814)
闇夜の刺客・リーナ(a34480)
陸王・ブレス(a35451)
白雪の虎小姫・アンリ(a37796)
図書館の幽霊・ルノア(a42211)
凍月の蒼・エセル(a43317)
闇夜に咲く三色菫・クワイア(a48838)
老いたる白虎・テツノシン(a50694)
NPC:ゼブラーウーマン・パルディラ(a90126)



<リプレイ>

●屋敷
「……若い女性の生血を使って究極のワインを作ろうとしているなんて許せませんね」
 ガルバランに対して激しい怒りを感じながら、大海原のお嬢様・ルーコ(a30140)が拳を震わせた。
 本当は自警団の手など借りず、自分達の手でガルバランを断罪したいのだが、真実を明らかにするためには、囮となって屋敷に潜入し証拠を手に入れる必要がある。
「……何かに夢中になる事はいい事だと思うけど、誰かを犠牲にしなければ得られないトクベツは間違っていると思うから……。これ以上、犠牲者を増やさないためにも真実を明かしてガルバランさんを捕まえなきゃね!」
 ルーコの肩をぽふりと叩き、闇色の蝶は新月に舞う・ナオミ(a32461)がコクンと頷いた。
 ガルバランが若い女性を殺害している証拠がないため、現時点では罪人として裁く事さえ出来ないようだ。
「……本当に嫌な事件ですね。証拠がなければ何もする事が出来ないなんて……」
 ガイから預かった報告書に目を通し、白雪の虎小姫・アンリ(a37796)が溜息をつく。
 ガルバランは屋敷に閉じこもったまま、ワイン作りに専念しているため、屋敷の中で何が起こったとしても、それが外部に漏れる事はない。
「本当に許せないよねっ! 何の罪もない女の子達を殺してワインにしちゃうなんて……。絶対に証拠を掴んで罪を償わせないとねっ!」
 ガイのツテを使って招待状を手に入れたため、ゼブラーウーマン・パルディラ(a90126)が仲間達を連れてガルバランの屋敷にむかう。
 ガルバランの屋敷は無数の蔦に包まれており、庭には沢山のカラスが集まっている。
「それじゃ、行きましょうか」
 ドアノッカーを何度か叩き、闇夜の刺客・リーナ(a34480)がゴクリと唾を飲み込んだ。
 扉の両脇にはボディガードが立っているのだが、何も話そうとはしないため、まるで置物のようである。
「お待ちしていましたよ。狭いところですが、ゆっくりしていってくださいね」
 入り口の扉がギィッと音を立てて開き、屋敷の中から立派な髭を蓄えた紳士が姿を現した。
 ……紳士の名はガルバラン。
 カーネルの街の貴族である。
「えっと……、持ち物は全部預けておかなきゃ駄目なんだよね? やっぱり服も脱がなきゃ駄目なの?」
 心配した様子でガルバランの顔を見つめ、パルディラがボソリと呟いた。
「ああ、もちろんだとも……。ワイン作りは気を使うからね。悪いケドこれに着替えてくれるかな?」
 真っ白な薄布の服をパルディラ達に手渡し、ガルバランが更衣室まで連れて行く。
 更衣室の中には全身が映るほどの大鏡が置かれており、荷物を預けるための箱がひとりずつ用意されている。
「みゅ〜、大きなお屋敷なのよ。お部屋ってどのくらいあるのかにゃ?」
 瞳をランランと輝かせ、ナオミがガルバランの腕を掴む。
 もちろん、演技でやっている事だが、ガルバランは嬉しそうにナオミの頭を撫で回す。
「それじゃ、一緒に数えてみようか。ふたりっきりでのんびりと……」
 天使のような笑みを浮かべ、ガルバランが瞳をキラリと輝かせる。
 表面上は人のいい紳士を装っているが、彼女達を狙っているのは間違いない。
「あ、あの……。招待状に特別なチェックがあると書いてありましたけど、一体誰がチェックする事になっているんですの?」
 このままではナオミに危険が及ぶため、ルーコが招待状に書かれたチェックに触れる。
「はははははっ……、そんなわけないだろ。これはメイド達の仕事だからね。ちょっとくすぐったいかも知れないけど、すぐに終わるから我慢していてくれよ」
 爽やかな笑みを浮かべてメイドの方をぽふりと叩き、ガルバランが部屋の外へと出て行った。
 ガルバランに肩を叩かれたメイドはビクッと身体を震わせ、怯えた様子でルーコ達の身体をチェックする。
「……ご安心ください。わたくしめは味方です。皆さんを助けに参りました」
 辺りの様子を確認した後、アンリがメイドに囁いた。
 するとメイドはホッとした表情を浮かべ、アンリ達の着替えを手伝い始める。
「それじゃ、案内してもらえますか? 例の風呂へ……」
 ガルバランに怪しまれてしまうマズイため、リーナがメイド達に頼んでワイン風呂まで案内してもらう。
 ワイン風呂にはガウン姿のガルバランが待っており、ワイングラス片手にリーナ達を歓迎した。
「……随分と遅かったんですね。さぁ、お風呂にでも入ってのんびりしてください」
 扉を閉めて鍵を見せつけるようにしてゴクンと飲み込み、ガルバランが両手を開いてニコリと笑う。
 ワイン風呂の出入り口はひとつしかないため、鍵がなければ逃げ出す事など出来はしない。
「ど、どうしてこんな事をするの!?」
 驚いた様子で後ろに下がり、リーナが仲間達に対して合図を送る。
 外で待機している仲間達が救出に来るまで迂闊な事は出来ないため、何とかして時間を稼ぐ必要がありそうだ。
「はははははっ……、いまさら気づいても手遅れだっ! お前達はわしのために、ワインの元になるのだから!」
 勝ち誇った様子で胸を張り、ガルバランが高笑いを響かせた。
 それを合図にメイド達が気まずい様子で視線を逸らし、手に持っていたナイフでリーナ達に斬りかかる。
「ルーコの達以外にも酷い事をしてきたんですの!?」
 メイドの攻撃を素早くかわし、ルーコがガルバランの前に立つ。
「はははははっ、何か勘違いをしているんじゃないのか? わしは何もやっていない。すべてメイド達のした事だからな」
 含みのある笑みを浮かべながら、ガルバランが着ていた服を脱ぎ捨てる。
「本当に酷い事をする人ね……。それでメイド達に恩でも着せているつもり……?」
 襲い掛かってきたメイドに当て身を食らわせ、ナオミがガルバランに攻撃を仕掛けていく。
 しかし、ガルバランの前にはメイド達がいるため、彼女達を倒さなければ先には進めない。
「そこまでして、わたくしめを怒らせたいのでございますね。ならばこちらも本気を出させていただきましょう」
 我慢の限界に達したため、アンリが慈悲の聖槍でメイドを倒す。
 メイド達には悪い気もするが、意識がある限りガルバランには逆らえないのだから、気絶させておくしかない。
「ふっ……、ならばこちらも本気を出すまで。もちろん、お前達の相手はメイド達だがな」
 そう言ってガルバランがメイド達を嗾け、高笑いを響かせるのであった……。

●ボディガード
「……最高のワインが聞いて呆れるな。それを飲んでいた貴族達も異変に気づかなかったわけだから、同罪かも知れないが……」
 囮役の冒険者達が屋敷の中に入った事を確認し、蒼月の葬華・エセル(a43317) がマントを羽織って羽根を隠す。
 屋敷の入り口にはボディガード達が立っており、険しい表情を浮かべて剣を握り締めている。
「……噂には聞いていたが、まさか乙女の生き血を使っていたとはな」
 アビスビールを飲みながら、陸王・ブレス(a35451)がガルバランの屋敷を睨む。
 ブレスは酒場でいっぱい引っ掛けて情報を集めていたのだが、噂話の域を超えないためどれも証拠にはならない。
「うぇ……、血のワインっすか? 悪趣味だなぁ、おい。これだから金持ちってヤツは駄目なんだ!! 女の子は生身が1番だろが……!!」
 納得のいかない様子で愚痴をこぼし、白鴉・シルヴァ(a13552)が拳をギュッと握り締める。
 シルヴァが最後の言葉を言った瞬間、仲間達から生暖かい視線が送られたが、彼はその事にまったく気がついていない。
「まさか乙女の血を使ってワインを造っているなんて……。一体、何を考えているの、此処の人は……。私利私欲のために娘達を殺めているだけでも罪なのに……。そこまでして求めた物がワインなんて……。本当に愚かな人ね」
 呆れた様子で溜息をつきながら、黒きぬくもりを抱く白翼・リヴァ(a32814)が屋敷の入り口まで歩いていく。
「この屋敷に何のようだっ! 見たところ招待客ではないようだが……」
 リヴァの喉元に剣を突きつけ、ボディガードが警告まじりに呟いた。
「俺の彼女がメイドとして、この屋敷に仕える事になったが、それからまったく連絡が無いんだ。それで心配していたら、悪い噂を聞いて……。だから一目でいいんだっ! 彼女に会わせてくれ!」
 リヴァを守るようにして前に立ち、シルヴァがボディガード達に頼み込む。
「……フン。どんな噂を聞いたか知らんが、そんな娘は此処にはいない。みんな家族の同意を得て屋敷に来ているからな。それでも納得する事が出来ないのなら、娘の名前を言ってみろ」
 含みのある笑みを浮かべながら、ボディガード達がシルヴァに詰め寄った。
「おいおい、会わせてやればいいじゃねぇか。そうすりゃコイツだって納得するだろ」
 アビスビールを一気に飲み干し、ブレスがボディガードの肩を掴む。
 しかし、ボディガードは冷たい視線をブレスに送り、決して話を聞こうとしない。
「本当に此処にはいないのか? ……娘の名前はエレナ。半年前から働いているはずだ」
 このままでは門前払いを喰らうため、エセルが適当に名前を言った。
「……エレナだと? 知らねぇなぁ。分かったら、帰ってくれ。今日はお客が来ているんでな」
 卑下た笑みを浮かべながら、ボディガードが門の前に立つ。
「素直に答えられるわけが無いよね。……もう死んでいるんだから。彼女が屋敷を脱走した時に、この手紙を貰ったんだ。この屋敷で何が行われているのか細かく書かれた手紙をね」
 懐からチラリと紙を見せ、リヴァがボディガード達にカマを掛けてみる。
 次の瞬間、ボディガード達の顔色が変わり、お互いの顔を見合わせた。
「……やっぱりな。おまえ達は気づいていなかったのか。あの日、彼女が俺達に会っていた事を……」
 いまさら嘘だとは言えないため、シルヴァが堂々とハッタリとかます。
「な、な、な、何の事だが分からんな。と、とにかく、その手紙を渡すんだっ!」
 あからさまに動揺しながら、ボディガード達がリヴァを睨む。
 手紙が仮に本物だった場合、ガルバランの怒りを買う事になるため、何としてでも回収しておく必要がある。
「どうせおまえ達はこう思っているんだろ? そんな事はあり得ない。まわりに人は居なかったはずだって……。それなのに、手紙を奪い取ろうとしているのは、まさか……って思っているからじゃないのか?」
 ボディガード達の顔色を窺いながら、エセルが小馬鹿にするようにしてクスリと笑う。
「よほど死にたいようだな。……後悔するぞっ!」
 それと同時にボディガードが雄叫びを上げて、素早く剣を振り下ろす。
「……おっと。暴力はいけねぇな、暴力は……。何なら俺が相手をするぜ」
 空になった瓶を使って剣の一撃を受け止め、ブレスが銘酒【愚鈍殺し】を取り出しボディガードをブン殴る。
「て、てめぇ! やりやがったな!?」
 あっという間に仲間が倒されてしまったため、ボディガードが悲鳴を上げて尻餅をつく。
「本当の事を話した方がいいんじゃないのかな? ここで死にたくなかったら……」
 そう言ってリヴァがボディガードの目の前で振り下ろした鎌を止め、最後のチャンスを与えるのだった。

●ガルバラン
「随分と表が騒がしくなってきましたね。そろそろ、わたし達も動きましょうか?」
 茂みの中からヒョッコリと顔を出し、聖水の湖女中・シャワー(a01071)がコソコソと裏口まで移動する。
 裏口の門は固く閉ざされており、しばらく使用された形跡は無い。
「一応、鍵が掛かっているな。錆びついちまって、壊れかけているが……。とりあえず錠前を壊してみるか」
 錠前を掴んでガチャガチャとやった後、闇夜に咲く三色菫・クワイア(a48838)がニヤリと笑って扉を開けた。
 それと同時に扉が大きな音を立て、クワイアが慌てた様子で茂みに隠れる。
「……気をつけないと殺すわよ」
 クワイアの首をガシィッと掴み、黒の少女・ルノア(a42211)が警告まじりに呟いた。
「そんな事を言っても仕方が無いだろ。まさかこんなに元気よく開くとはね。まぁ、ボディガード達に気づかれた様子もないし、問題ないだろ?」
 辺りの様子を確認した後、クワイアが屋敷の庭に忍び込む。
 何処からか犬の鳴き声が聞こえているが、表にいた仲間達が足止めしてくれているようだ。
「さて、悪徳貴族を懲らしめてあげるとしますかのぅ。確か名前は……ガルランバだが、アルデバランと言いましたかな? ふぉふぉふぉっ……」
 飄々とした態度で屋敷の庭を歩いていき、老いたる白虎・テツノシン(a50694) が勝手口から屋敷の中に入っていく。
 次の瞬間、奥の部屋から悲鳴が上がり、中から何かの壊れる音が聞こえてきた。
「あ、あれはパルディラさんの悲鳴っ!? ……急ぎましょう。手遅れになる前にっ!」
 すぐさま悲鳴のした部屋を目指し、シャワーが体当たりを喰らわせる。
 しかし、数度の体当たりでは扉が開かず、仲間達も加わって体当たりを浴びせていく。
「……そこまでよ。まさか材料が乙女の血とは……、悪趣味ね」
 何度か体当たりをして扉を壊し、ルノアが部屋の中に飛び込んだ。
 部屋の中にはメイド達が倒れており、パルディラ達とガルバランが戦っている最中だった。
「何だ、貴様等はっ! ボディガードは何をやっているっ!?」
 不機嫌な表情を浮かべながら、ガルバランがルノア達を怒鳴りつける。
「そんなに大きな声を出さなくても分かります。……覚悟してくださいね」
 パルディア達を守るようにして前に立ち、シャワーがガルバランに答えを返す。
 その間にパルディラ達は気絶したメイドを連れ、ガルバランの部屋から出て行った。
「ふぉっふぉっふぉっ、おぬしの悪行もここまでじゃよ。大人しくお縄に付くが良い……」
 立派な髭を触りながら、テツノシンが口を開く。
 その言葉に反応し、怒りを露わにするガルバラン。
「……生きて帰れるとは思うなよ」
 全身の筋肉を隆起させ、ガルバランがテツノシンの胸倉を掴む。
「ふぉっふぉっふぉっ、わしとて昔は『水影の猛虎』と呼ばれておったのじゃて、まだまだ若いモンには負けはせぬわい。さぁ、クワイアさん。懲らしめてあげなさい」
 殺気に満ちた表情を浮かべ、テツノシンがクワイアを嗾ける。
「……って、俺かよっ! いい加減にしろよ、じいさん」
 驚いた様子でツッコミを入れ、クワイアが眠りの歌を歌う。
「ぐおっ……」
 呻き声を上げて頭を揺らし、ガルバランが眠りにつく。
 テツノシンはその光景に満足し、幸せそうに髭を弄る。
「禁忌に触れたのよ、あなたは……」
 ガルバランを冷たく見つめ、ルノアが緑の束縛を使う。
 その後、屋敷の中から白骨化した娘達の亡骸が発見され、ガルバランは自警団に捕まり裁かれる事になるのであった……。


マスター:ゆうきつかさ 紹介ページ
この作品に投票する(ログインが必要です)
冒険活劇 戦闘 ミステリー 恋愛
ダーク ほのぼの コメディ えっち
わからない
参加者:12人
作成日:2006/06/20
得票数:ミステリ1  ダーク8  コメディ2 
冒険結果:成功!
重傷者:なし
死亡者:なし
   あなたが購入した「2、3、4人ピンナップ」あるいは「2、3、4バトルピンナップ」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
 マスターより許可を得たピンナップ作品は、このページのトップに展示されます。
   シナリオの参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。