【ランララ聖花祭】『黄金の小麦』を守れ!



<オープニング>


●ランララ聖花祭
「ふんふんふ〜ん♪ もうすぐ『ランララ聖花祭』だね!」
「どうした? ずいぶんご機嫌だな」
 鼻歌交じりに小躍りしている金狐の霊査士・ミュリン(a90025)に、ヒトの武人・アヤノ(a90093)が首を傾げる。
「何言ってるの、アヤノちゃん。ランララ聖花祭と言ったら美味しいお菓子が食べられるじゃないっ」
 じゅるり。口から溢れるよだれをフキフキするミュリンにアヤノは思わず苦笑を浮かべた。
「……ミュリン、お前は女の子だからお菓子をあげる方だろう?」
「えっ。女の子はお菓子もらえないの?」
「……多分な」
 そのアヤノの言葉にがーーーん!! とショックを隠し切れないミュリン。
 アヤノはでっかい冷や汗を流しながら友人を宥めた。
「……まあまあ。折角の機会だ。今回は作る側に回ってみたらどうだ?」
 アヤノさん。またそんな恐ろしいことを……。
 その場にいた冒険者達の顔が青ざめる。
「そうだね。アンジーお師匠様や皆に手伝って貰えば何とかなるかな……」
 うーん、と考え込むミュリン。
 ……多分、何とかならないと思いますが。
「そうだ。アヤノちゃんも皆も一緒にお菓子作ろうよ。折角のお祭りだし、楽しまないと損だよねv」
 にっこりと微笑んだミュリンが冒険者達に向き直り、それもそうだ、と同意した彼等もお菓子の本を手に取る。
「え? いや、私は仕事があるし……」
 そして、そのミュリンの言葉に慌てて顔を赤らめるアヤノに、冒険者達が微笑んだ、その時。
「……あ」
 お菓子の材料を手にして、ミュリンが凍りつく。
「……どうした?」
 その様子にアヤノと冒険者達が首を傾げる。
 そんな彼らに、ミュリンは申し訳なさそうな笑みを向けて……。
 どうやら、何か視えてしまったらしい。
 お祭りでも冒険者達は忙しいようであった。

●小麦粉を守ろう
「そう言う訳でね、皆にお願いがあるんだけど……」
 そう切り出したミュリンに、冒険者達が話を聞くべく身を乗り出す。
「『ランララ聖花祭』のお菓子作りに使われる小麦粉が、グドンに狙われてるみたいなの」
「……はい? 何でグドンが小麦粉なんて狙うんですか?」
 冒険者達が至極初歩的な問いを口にするが、ミュリンは笑顔で頷いただけだ。
 要するに分からないらしい。
 とにかく、グドンが来る以上は何とかしなければならないことは確かで……。
 冒険者達は溜息をつきながら、続きを促した。
「えっとね。『黄金の小麦』って言う小麦を作ってる村があるんだけど、そこの倉庫にグドンが入り込むみたいなの」
 ミュリンの話によれば、その小麦は、その穂の色が黄金を思わせることから『黄金の小麦』と呼ばれているらしい。
 その小麦から作られる小麦粉は雪のように白く美味で、ランララ聖花祭のお菓子にも良く使われているのだという。
 そして入り込むグドンの数は3匹。倉庫の中に置いてある小麦粉を滅茶苦茶に引っ掻き回す姿が視えたらしい。
 そんなことになれば村の人々はもちろん、ランララ聖花祭のお菓子作りにも影響が出ることだろう。
「ふーん。分かった。グドン達から『黄金の小麦』を守ればいいんだな?」
 彼女の言葉を要約し、纏める冒険者達。ミュリンはうんうん、と頷き……そして、嬉しそうに冒険者達を見上げる。
「ついでにね。小麦粉、少し分けて貰えるようにお願いして来てくれないかな〜?」
 その一言に微笑む冒険者達。確かに、その小麦粉でお菓子を作れば、想い人への素敵なプレゼントになるだろう。
「そうそう。その村、梅の花が沢山咲いてて、風光明媚ないい所なんだって。恋人同士で行ってみるのもいいかもね☆」
 そして、悪戯っぽく付け加えるミュリン。
 冒険者達は、横にいる恋人を見つめ……そしてどんなお菓子を作ろうかと考えつつ、出立の準備を始めるのだった。

マスターからのコメントを見る

参加者
金狐の保護者・ナナカ(a00009)
東風士・ミカヅキ(a00678)
ミュリンの騎士・アルシェンド(a01411)
鋼鉄の護り手・バルト(a01466)
覚醒の夜明け・アルテア(a01578)
蒼を纏いし白き癒し手・ニーナ(a01794)
七彩舜獣・ハチャック(a02091)
風奏楽師・オルティネート(a03006)


<リプレイ>

●罠を張ろう
「そっち押さえててくれ」
「了解した」
 鋼鉄の護り手・バルト(a01466)と重騎士・アルシェンド(a01411)、2人の重騎士が『黄金の小麦』のある倉庫の入口に罠を仕掛けている。
「今日はお菓子作りに専念……したいところですが、グドンが出てくるんでしたっけね」
 力仕事は男手に任せた、と見物を決め込んでいる白夜を彩るオーロラの癒し手・ニーナ(a01794)に、ロープを張る手伝いをしながら頷く覚醒の夜明け・アルテア(a01578)。
「そうだな。その為にも小麦を護らなくてはな」
 その言葉に、仲間達が頷いて。
「ああ。グドン達にやるわけにはいかんからな」
 銀の風詠・オルティネート(a03006)もそれに同意するように続ける。
 アルフィのお菓子作りの為にも……と続いた呟きは、彼もお祭りを楽しみにしている証拠。
「せっかくのお祭ですから、お仕事を早く終えて、のんびり致しましょうね」
「はい。皆様のお菓子が楽しみでございます」
 卵などのお菓子の材料を抱えて忙しそうに動き回る静流の術士・ナナカ(a00009)に、倉庫の中の小麦の位置を確認していた東風士・ミカヅキ(a00678)が微笑んで頷き返す。
「ミュリンの作ったお菓子が致命的に不味いって本当だろうか……」
 そして呟く恋する男アルシェンド。
 様々な期待や不安が入り混じり、グドン捕獲作戦は幕を開けたのであった。

●グドン退治
「グドン……はい、終了〜♪」
 とナナイロ・ハチャック(a02091)が言ってしまう程に、それはあっさりと終わった。
 罠の仕掛けは踏み込むと網が展開され目標を捕獲、樹の上に吊るされると言うもので、簡単であるが故に見破られやすいのが欠点だったのだが、それをフォローするべく、冒険者達は少し策を講じていた。
 見張りに穴があるように見せかけ、グドンを誘導したのだ。
 低知能なグドン達は、入口から人が消えるとこれ幸いとばかりに突撃し……。
 ぶらりぶらり。
 3匹の犬グドン達が、網の中で悲しげな声をあげる。
「本当に恐ろしい程あっさり引っかかりましたわね……」
「まあ、グドンだからなぁ」
 呆れ顔のニーナに、ハチャックがさもありなんと頷く。
「グドンの三枚おろしはどのようになりますかね……」
「グドンって喰えるのか?」
「……試してみるか?」
 にっこりと微笑んで物騒な事を言うミカヅキの横で、更に物騒な事を相談中のバルトとアルテア。
「グドンさん? 何故このような事なさるのですか? 小麦粉が無茶苦茶になったら……」
 長くなるので以下省略(わぁい)。
 そして、お決まりのナナカの説教が続き、グドン達が涙目になってきたところで、ニーナが優しい微笑みを彼らに向けた。
「今日はお祭りですし、あまり手荒な事はしたくないんですの。大人しくして下さらない?」
「此処には甘い物はない〜♪ あるのは白き粉、黄金の小麦〜♪ もう此処へは来ないと誓うなら〜縄を外し解き放とう〜♪」
 そして、言い聞かせるようなオルティネートの歌声。
「だが、約束を違えた時には……次は容赦しない」
 その声に合わせるように、後ろでどっせーい! と大地斬で薪木を粉砕するアルシェンド。
 彼らの一見優しげな目は、その実こう語っていた。
 引かぬなら 潰してしまえ 犬グドン。
 さすがに喰われたり潰されたりは嫌なのだろう。グドン達はコクコクと頷き。
 こうしてお祭りが終わるまでの間、彼らは網の中で過ごす事となった。

●お料理をしよう
 グドンを早々に片付けた冒険者達は、早速『ランララ聖花祭』のお菓子作りを開始した。
「さぁ、アルフィ。頑張れ。そのエプロンもしっかり付けて……」
「な!? エ、エプロン!? 俺に着ろと!?」
 ガーーーン! と衝撃を受けるアルフィールに、彼はにっこり微笑んで頷いて。
 その微笑みに負けて、彼女は渋々だがエプロンをつけた。
「大丈夫、似合ってる。可愛いよ」
 その言葉に、彼女の頬が朱に染まり、オルティネートの微笑みが、ますます深くなった。
「ミュリン。菓子を一緒に作らないか?」
 そして、村人から分けて貰った『黄金の小麦粉』を手に、アルシェンドがミュリンに声をかける。
 それに明るく頷いて、ミュリンは調理台へと回った。
「ミュリン殿は何が食べたいのでございますか? 作りたい物でも結構でございますよ」
 小首を傾げて優しく問うミカヅキに、ミュリンはう〜〜んと真剣に考え込む。
 なかなか一つに絞れない彼女に、ナナカがにっこりと微笑んだ。
「じゃあ、色々作ってみましょうか」
「うん♪」
「今まで集めた食材、そして、この『黄金の小麦』があれば、必ずや伝説の『黄金色のお菓子』が完成出来る。頑張れ、ミュリン」
 様々な食材をドンドンドン、と並べたアルテアがミュリンを励ます。
 今迄聞いた事もない『黄金のお菓子』と言う名前に、ミュリンとバルト、そしてレシピ収集家のミカヅキが目を輝かせる。
「アルテア殿、それはどのようなお菓子でございますか?」
「うん。それはな。古の時代より、地方領主や代官が好んだと伝え聞いたお菓子で……」
 アルテアの怪しげな薀蓄が続く中。
「よし。皿洗いは俺に任せてくれ」
 働かざるもの喰うべからずを実践中。食い倒れ番長バルトが袖をまくって流し台に立つ。
 役割分担がしっかり決まったところで厨房に目をやると、チョコクッキーを作りながら可愛いエプロンをしたニーナが心配そうにミュリンを見つめている。
 ミュリンが『破壊兵器』を作ると聞き、様子を見て、気がついたら注意してやろうと思っていたのだが……。
「間違えすぎです……」
 ニーナは思わず天を仰いで呟いた。
 卵はキチンと割れないで殻が入ったままだわ、チーズと間違えて石鹸を削ろうとするわ、砂糖と塩を間違えるわ……。
 そりゃ破壊兵器にもなる訳ですよ。ええ。
「ええと……ミュリンちゃん? そこは違いますのよ」
「手が危のうございますよ。気をつけて」
「あああ。それでは入れすぎですわ」
 ナナカとミカヅキ、ニーナの優しく厳しいツッコミ……もとい指導。
 ルシールがそれを微笑ましくで見守りつつ、バルトに手伝いを要請する。
「味見か? 大歓迎だ!」
 それを味見の要請だと勘違いしたバルトが目を輝かせて走って来て。
 そんな彼を、仲間達が微笑ましく見守っていた。

 その一方で。ハチャックは1人、厨房のすみっこで悩んでいた。
「サリカが最近、料理の依頼を受けまくっている……なんだろう? ……って、ランララしかねぇだろうが、俺よ」
 ビシッと1人ツッコミを決めたハチャックは、気になるあの子、サリカの様子を伺う。
 見ると案の定、サリカはお料理の練習中だった。
 そっと溜息をつくハチャック。
 そう、彼はサリカが誰にお菓子をあげるのか知らないでいた。
 ドコの誰かもわかんないヤツにあげるお菓子作りを手伝ったりして。
 何だか情けなくて目の前が涙で霞む。
 そこで素直にサリカに聞いてみる事を思い立ち、ハチャックの目がキラリと輝く。
「しかし、なんですな。これは高度なテクニックが求められますな」
 そうですね、ハチャック先生。あくまでもさり気なくですからね〜。
「てか、こういうの聞くの俺のガラじゃなー、無いよな……」
 いやいや。そこで諦めちゃったら男じゃないっすよ。先生。
「もし、俺の野生のカンがアレならば、俺の可能性がちょっとは……いやいや、結構……あるような気がしました」
 おお、そうですか。それは良かった! では思い切って聞いてみようじゃありませんか。
「で、誰なんですか? サリカさん」
「……何の話?」
 わー。直球だよ。全然さり気なくないよ。ハチャック先生!
 突然話を振られたサリカは、キョトンと彼を見つめていたが、すぐに止めていた手を動かす。
 暗黒料理の使い手と言うだけあって、作るものはものすごいらしいが、最近は特に一生懸命だった。
 そんな彼女の姿はとてもいい。凄く可愛いと思う。
 最近は、ちゃんとした料理のコツが発揮される場合が多くなってきて、サリカの成長が嬉しくもあった。
「そんな事よりハチャック。お菓子作り教えてよ♪」
「はいはい」
 結局彼女が誰にお菓子を渡すのかは聞き出せなかったが、気持ちよくサリカが完成品を相手に渡せればいい。
 そう願って、ハチャックはサリカに料理の手解きを始めた。

「お茶が入りましたよ〜」
 その声に、お菓子を完成させた仲間達がわらわらとテーブルに寄って来る。
 ニーナの一声がお茶会開始の合図となった。
「ミュリンちゃん、良く頑張りましたわね。ご褒美にお菓子のフルコースですわよ☆」
「私のお菓子もどうぞ」
 ナナカとミカヅキの言葉にわーーーい! と万歳をして喜ぶミュリン。便乗してバルトまで喜んでいるのはまあお約束。
「ミュリンのお菓子は無事に出来たのか?」
 アルシェンドの問いに、ミュリンは大きく頷いてお菓子を差し出す。
 特訓の成果で前回よりは大分マシになっているようだが、何だか怪しげな赤い色をしたクッキーである。
「……万が一の準備は万端ですわ」
 にっこり微笑むニーナの手には救急医療用具一式。
 要するに、骨は拾ってやるから安心して逝って来いと言う事らしい。
 彼女の焼いたクッキーを手にした面々は、そっと自分の口に運ぶ。
「……う、うまい……よ」
「食べ物は楽しく食べないと美味くならないよな、うん」
 何かそう言うアルシェンドとアルテアの顔が苦しそうなのは気のせいだろうか。
 バルトも謎なアドバイスをしている辺り、ちょっとキているのかもしれない。
「あ。ホント? 良かった。色付けに赤いの入れてみたんだ。綺麗でしょ」
 この奇妙な赤さは唐辛子かーーーッ!
「……お茶が良く合いますわね」
 今回はしっかりミュリンのお菓子を口にしたナナカは、涼しげな顔で微笑んだ。

 ミュリンが仲間達と談笑している間も、アルシェンドとアルテアは黙々とミュリンお手製唐辛子クッキーを食べていた。
 アルシェンド曰く、騎士として、女性に恥をかかせる訳にはいかないそうで。
 ミュリンが一生懸命作ってくれたものなら、死んでも残さず食べるつもりらしい。
 一方でその隙をついて、バルトが食いまくりモードに突入。
「油断一瞬、食い物一口だ」
 などと言う謎な格言を言いつつ、ミュリンや他の者からもしっかりお菓子を奪い取ってゆく。
「バルトちゃん……フォーク封印するよっ!?」
「む……っ」
 睨み合うバルトとミュリン。
 そんな彼の袖を、そっと引っ張る細く白い腕。
 それに気付いて脇に目をやると、小首を傾げ、捨てられた仔猫のような目をしたルシールが彼を見上げていた。
「あ〜。すまん、ルー。え〜っと……食べさせてくれるか?」
「はい……」
 その言葉に、ルシールが優しく微笑んで、言われるままに彼の口にお菓子を運ぶ。
「ん。美味いな」
「そう? 良かった。バルトの為に一生懸命作ったのよ」
 ルシールがさり気に男冥利に尽きる事を言っていたりするのだが、食べる事に夢中のバルトはそれに気付かない。
「ん〜。やっぱ、ルーの作るお菓子は最高だな!」
「……全部食べて下さいね、バルト」
 そんな鈍感な彼に可愛らしさを感じて、ルシールは微笑んだ。

「……どうだ?」
「うん。美味しいよ」
 アルフィールが作ったのはバタークッキーだが、仄かなバニラの香りと控えめな甘さがまた彼女らしい。
 初めてにしてはなかなかの出来栄え。彼女は将来有望そうだ。
「しかし、突然『花嫁修業』とか言い出すから吃驚したぞ。何かあったのか?」
 オルティネートの言葉に、また頬を染めるアルフィール。
 何があったも何も、彼の為なのだが……オルティネートは少し鈍いらしい。
「でも、何だか嬉しいよ。毅然としている普段もいいけど、そういう家庭的なアルフィも見ていて微笑ましい」
 また頬を染めた彼女に、オルティネートは思わず笑ってしまう。
 ちょっとムッとした彼女に、ごめんごめん、と手を合わせた。
「……出逢った頃より普段見せる表情が豊かになったよな?」
「そうかな。あまり自覚はないけど」
 いつも毅然としていて、出会った頃は頬を染めるなんて事もしなかった彼女が、確実に変化している。
 それが楽しいと思うし、何より美しいと思う。
「もっともっとアルフィの色んな顔見てたいから……傍に居てくれ、な?」
 照れを隠せず、少し赤くなりながら囁くオルティネート。
 磨けば磨く程に輝くオルティネートだけの宝石は、また少し頬を赤らめて……静かに頷いた。

「ミュリン、これはクッキーのお礼だ」
 男の意地で唐辛子クッキーを完食したアルシェンドは、自分で作ったチョコレートケーキをミュリンに差し出す。
 そしてミュリンが大喜びでそれを受け取ったのを見て、真剣な表情で彼女に切り出した。
「1つお願いがあるんだが。……私をミュリンの騎士にしてくれないか?」
「……わたしの騎士?」
 ミュリンがキョトンとした顔でアルシェンドを見る。
「ああ。何があっても『君を守ると誓う』……騎士にね」
「えー? アルシェンドちゃん、お仕事は〜?」
 自分ばかり守っていては冒険の仕事が出来なくなると思ったらしい。
 心配そうに見上げて来る彼女の頭をぽんぽんと撫でる。
「それはもちろんするよ。ミュリンのお願いなら」
「うん。じゃあ、いいよー」
 あっさりとした返事。
 ミュリンはきっと言葉の意味の半分も分かっていないだろう。
 そうなる事は予想していたし、何より誓った事に意味があって。
 後はこの言葉の意味を分かってくれるまで、傍に居ればいい。
 そんなアルシェンドの決意など知らずに、ミュリンは彼に明るい笑顔を向けた。

「はい。ミュリンちゃん。あーん、して下さいませv」
「あーんv」
 ナナカと共に不思議なラブラブ空間を生み出す中、ミュリンは友人が1人足りない事に気がついた。
「あれ? アルテアちゃん、帰っちゃったんだ」
「ええ。御用事を思い出されたとか……」
「ふーん」
 ふと見ると、自分の外套の上にお菓子の包み。その横に1通の手紙が添えられていて。
 ミュリンはそれが自分宛てなのを確認すると、封を切って読み始めた。
『ミュリン、俺はお前を一人の女性として、愛している。
 いつか俺の妻にできたら……そして、お前と、お前の幸せ全てを護り続ける アルテア』
「うにゅ? ツマ……って奥さんの事?」
 手紙を読んで少し思案気味のミュリン。一生懸命意味について考えているようだが……。
「あらあら、まあまあ……」
 その横でナナカが、それにどう答えたものかと思案して。
 アルテアの春は、まだまだ先のようである。

 こうして、『黄金の小麦』は冒険者達の手により無事に護られた。
「皆様……素敵でしたわ」
 ぽっと頬を赤らめつつ言うのは、カップル達の様子をデバガメ……もとい、観察していたミカヅキの談だが。
 うっかりグドン達を網に入れたまま来てしまい、慌てて戻って対処した言うのは微笑ましいナイショ話である。


マスター:猫又ものと 紹介ページ
この作品に投票する(ログインが必要です)
冒険活劇 戦闘 ミステリー 恋愛
ダーク ほのぼの コメディ えっち
わからない
参加者:8人
作成日:2004/02/27
得票数:恋愛4  ほのぼの21 
冒険結果:成功!
重傷者:なし
死亡者:なし
   あなたが購入した「2、3、4人ピンナップ」あるいは「2、3、4バトルピンナップ」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
 マスターより許可を得たピンナップ作品は、このページのトップに展示されます。
   シナリオの参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。